矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2016-11-21中学受験の塾通い

質問

小5の息子がいます。小4から大手塾に通っており、小4の後半くらいからほぼ真ん中のクラスで、上位のクラスに上がれません。
本人としては塾の勉強をがんばっているようですが、第一志望の偏差値までまだ10ポイントくらいは届いていません。
同じ塾のお友だちは、塾と家庭教師を併用している方が多いのですが、子供の成績を上げるために併用する方法は有効なのでしょうか。

回答

 こんにちは。
 前回、「塾をやめたい」と言い出した5年生の娘さんをお持ちのお母さまのお悩みに回答しました。そこでも言及しましたが、5年生の秋は中学受験生にとっては各科目「高いハードル」が存在します。「勉強がつらい」「塾をやめたい」などと訴える子どもたちが本当にたくさんいます。そんな時期であるにもかかわらず、息子さんは一生懸命がんばっているとのこと。これからが楽しみですね。

 さて、成績的に伸び悩んでいるため、家庭教師の併用をお考えだそうですが、ここはあまり焦らず、成績低迷の原因を探ってみましょう。
 まずは、息子さんを担当する塾の講師に直接電話して尋ねてみることです。息子さんに欠けているものについて具体的にアドバイスがもらえるかもしれません。そのアドバイスを受け取ったら、息子さんがそれを実践するよう導いてほしいと思います。
 もし、塾の講師からのことばが抽象論に終始してしまったり、講師自身が息子さんの課題を見つけられていなかったりしたら、次のことをおこなってみてください。

4教科の中で最も苦手な1科目にしぼって改善を図る。

 たとえば、苦手科目が社会だとすれば、「宿題はどのくらいかけてやっているのか」「どういうやり方で用語を暗記しているのか」「ノートの使い方は適切か」「授業から帰ったあとの復習はどの程度やれているか」……社会の学習に関わる一つ一つの作業がきっちり無駄なくできているかをチェックしてみましょう。必ずや改善点が幾つも見出せるはずです。
 「え!? たった1科目でよいのですか?」と当惑されるかもしれませんが、それでいいのです。
 得意科目をさらに伸ばすよりも、苦手科目を「そこそこ」のレベルに仕上げるほうが遥かに楽です。
 想像してください。80点の算数を100点にするよりも、30点しか取れない社会を50点にするほうが現実的ですよね。どちらにせよ「全体で20点上積み」したことに変わりはないのです。


指導


 このような試みをおこなってもなお成績的に伸び悩んでいるようなら、そこではじめて家庭教師や個別指導塾の併用を検討されてもよいかもしれません。その際、「この科目も、あの科目も」と欲張らず、あくまでも苦手な1科目からスタートすべきです。
 マンツーマンの授業になるでしょうから、本当にその講師が息子さんの課題をちゃんと見抜き、成績向上に寄与できる授業を提供できるかどうかを見極めねばいけません。たとえば、息子さんが個別指導の体験授業(お試しの授業)を受講したあと、「とっても分かりやすかった!」という感想を口にしたら要注意です。
 なぜか? 苦手科目の底上げを図るのですから、「わかりやすい」授業ではダメなのです。短時間で苦手単元のすべてを理解するなど不可能ですから。「ちょっと難しかったけれど、ポイントはつかんだから、しっかり復習しよう」――そんな前向きなことばが息子さんから発せられるようならば、「良質な授業」である可能性は高いです。

 信頼に足るか、足らないか――家庭教師もしくは個別指導塾講師の基準をわたしなりにまとめてみました。
1.通塾している大手塾のカリキュラムにちゃんと準拠しているか。
 →「予習型」か「復習型」どちらのタイプになるのかも確認しましょう。
2.授業での説明が一方通行的になっていないか。
 →息子さんにヒアリングしてみましょう。息子さんがノートを自らどの程度書きこんでいるのかもチェックポイントの一つです。
3.大手塾での指導経験のあるベテラン講師か。また、専門的にその科目を指導している講師か。
 →大手塾での指導方法を理解している講師がよいでしょう。また、「何でも屋」のごとくいろいろな科目を指導している講師は、授業の質が悪いことが多いです(全員が全員とはいいませんが)。学生アルバイト講師はちょっと不安ですよね。「勉強が好き」になるのが目的ではなく、「得点を伸長させる」ことが確たる目標なのですから、その要望に応えられる講師を慎重に見つけたいものです。
4.息子さんの課題や今後の方策を具体的に説明してくれるか。
 →お母さまが納得できる説明ができなければ話になりませんよね。
5.(個別指導塾の場合)授業に集中できる環境を整えているか。
 →パーティションで仕切ってあるだけで、周囲の声が丸聞こえの個別指導塾が多いようですが、これは論外です。もっとひどいのは、複数の生徒を一人で抱えている場合です。息子さんを見ながら、一方では中学生の指導を……なんていう指導はもってのほかです。

 息子さんの成績向上を目指して「誠実」に「謙虚」に取り組んでくれる講師と出会えるといいですね。「成績が上がったのはわたしのおかげ」「成績が低迷しているのは大手塾のせい」……そんなことばを口にするような講師は素人丸出しといっても過言ではありません。

 なんだか今回はシビアな文言が多くなってしまいましたね。というのも、わたしはいろいろな家庭教師、個別指導塾の講師の「イヤ」な話を耳にしてきたからです。どうぞご海容ください。

 息子さんが成績的にも精神的にも大きく伸びて、志望校に合格できることを願っています。



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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。
中学受験業界に精通されている矢野先生へ、ぜひ受験の不安や疑問などお寄せください!




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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。


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