こんにちは。
息子さんは来年(4年生)から塾通いする予定なのですね。
中学受験に必要な各科目の「学習習慣」は、塾通いしたあと少しずつ身につけていければ問題ないでしょう。わたしが気になるのは「息子の性格は席に座っているのが苦手で、落ち着きがないところがあります」とおっしゃっている部分です。
息子さんの普段の様子はどうなのでしょうか。「夏休みは遊びがメインだった」とありますが、たとえば、昆虫採集、野球やサッカー、ゲームなどどんな分野でも構いませんので、「何かに長時間一意専心した」という経験はありますか。あるいは、何に対しても集中力が持続せず、「やり遂げた」と胸を張れた経験がない状態でしょうか。
前者であればわたしはさほど心配は要らないと考えます。一つの物事に没頭した経験があるならば、(もちろん簡単にはいかないでしょうが)中学受験勉強でも、同じような姿勢が芽生えてくる可能性が高いからです。
一方、後者のようなタイプの子は残念ながらいまのままでは中学受験勉強が上手くいかない可能性が極めて高いでしょう。このような子には「何かに継続して取り組めた」という小さな成功体験を味わえるよう、親が導いてやる必要があります。
この場合、本当に「些細なこと」で良いのです。
「夕食が終わったら必ず自分の食器を片付ける」でもよいですし、「毎日18時から5分間は家の掃除を手伝う」でもよいです。それができたらスタンプなどを押印して、連続7日間とか10日間とか続いたら思い切り褒めてやりましょう。その積み重ねで、「何かに集中して取り組む」ことを体得していくのだとわたしは考えています。
いずれにせよ、毎朝算数の演習をやらせるとか、国語の漢字の書き取りをさせるとか……次年度以降の勉強習慣を身につけさせるために、そんな「勉強」に無理して取り組まなくてもよいとわたしは思います。そして、そんなことを無理強いしてしまうと、息子さんが「勉強」そのものを忌避しようとする危険性も孕んでいると考えます。
保護者としてつい焦ってしまうお気持ちはよく理解できます。でも、ゆっくりじっくり息子さんの成長を見守ってやることこそ大切なのだとわたしは思います。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(文春新書)、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)。現在、プレジデントOnline、こそだてオウチーノなどで記事を連載している。