こんにちは。
新型コロナの感染者が増加の一途を辿っていて、残念なことに終息の気配すら感じられませんね。
小規模な塾がオンライン対応をおこなっているか否かを気にされるのは当然のことだと思います。
わたしの経営する塾の話をいたします。わたしの塾は自由が丘と三田の2教場を構える小規模な中学受験専門塾です。
昨年の4月~5月の緊急事態宣言下でわたしたちが選択したのはZOOMなどを活用したオンライン授業ではなく、授業動画の配信でした。
オンライン授業ではこちらの熱量をダイレクトに伝えるのは困難です。そして、その状態で「その場限り」の授業をおこなうことにわたしたちは抵抗感を抱きました。
この点、授業動画ですと1問1問を丁寧に解説することができますし、なおかつ子どもたちが何度も「リピート再生」することが可能です。
子どもたちに週の前半に動画を視聴して学習してもらったあとは、希望者を対象に個別の質問対応を電話などでおこないました。
慣れない動画に最初は戸惑っている子どもたちがいましたが、大半は自分なりの学習ペースで徐々に取り組めるようになりました。
そして、緊急事態宣言が明けたあと、意外なことが起こりました。
それまで大手塾に通塾していた子どもたちが、わたしの塾に「転塾」するケースが相次いだのです。
その理由を尋ねると、オンライン授業では塾との「距離」を遠く感じて、学習に身が入らなかった点が筆頭に挙がったのです。
此度のコロナ禍のような事態が生じたときは、小回りのきく、かつ、「距離の近い」小規模塾がその強みを発揮するのかもしれません。
お嬢様が希望している小規模塾が昨年の緊急事態宣言下でどのような対応をしたのか。この点をストレートに尋ねてみるとよいでしょう。そして、今後同様の事態で対面授業が難しくなった場合、どのような策を講じるのかも質問してください。その返答次第で入塾するか否かを決定するとよいでしょう。
今回のパンデミックでわたしがつくづく感じたのは、中学受験はやはり「ライブ授業」が一番だという至極当たり前のことです。オンライン授業や動画授業をいかに充実させても、ライブ授業には到底及びません。子どもたちが学びに打ち込めるのは、「学習環境に集中できる教室」「ライバルとなるクラスメート」「講師による授業」「さまざまな教材やプリント」といった複合的な要素がライブの場にあるからです。「ちょっとした声かけ」や「板書する音」……そんなノイズでさえ、子どもたちの学ぶ意欲を喚起する一因になるのではないでしょうか。
新型コロナ感染者が減少し、「マスクを外した」子どもたちが元気いっぱいに塾で学べる日が来ることを願っています。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(文春新書)、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)。現在、プレジデントOnline、こそだてオウチーノなどで記事を連載している。