矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2021-01-29中学受験の塾通い

質問

 先生、こんにちは。現在1年生の娘がおります。中学受験を視野に入れ、春から塾通いさせるかどうか悩んでいます。勉強は好きなタイプなので、今後受験勉強に自然と移行できるよう早めに入塾させ、勉強の習慣を身につけさせたいと考えているのですが、先生はどう思われますか。早いうちから塾通いすることのデメリットなどございましたらアドバイスをいただきたいです。よろしくお願いいたします。


回答

 こんにちは。
 まず、質問をしたいと思います。
 何年生から塾通いを始めると中学受験の全範囲を網羅できるでしょうか?
 2年生? それとも、3年生でしょうか?

 実は5年生なのです。意外に感じられるかもしれませんね。
 大半の中学受験塾は5年生~6年生の2年間で中学受験に出題される単元をすべて学習します。
 それでは、なぜそれ以前から塾通いを始める子が多いのでしょうか。それは、5年生以降は質・量ともにかなりハードなものが課されます。その本格的な2年間の「受験勉強」に備えて、早期からの塾に通うのです。言ってみれば5年生以前の塾での学習は「助走期間」なのですね。
 わたしの観察するところでは、中学受験のための塾通いは3年生~4年生からスタートするのが一般的です。つまり、1年生~2年生からの塾通いはかなりの「早期組」に当たるといってよいでしょう。

 さて、1年生~2年生の塾通いさせることの是非についてです。
 バレエやスイミング、ピアノと同列である「一つの習い事」といった感覚で保護者が塾を位置づけられるのであれば、早期の塾通いはアリだと考えます。これによって、お子さんが学ぶことを心から楽しめるようになれば、その後の学力伸長につながっていくことでしょう。

 一方、中学受験のための大切な塾通いと考え、保護者が子の学習の一挙手一投足ばかりが気になってしまうのであれば、早期の塾通いは避けたほうが賢明でしょう。このタイプの保護者は子のテストの得点に一喜一憂し、知らず知らずのうちに子に「良い点数を取らねばいけない」というプレッシャーを与えてしまい、結果として子が勉強を「苦役」のように感じさせてしまう危険性があるのです。

 付言するならば、塾サイドにとっては別に1年生~2年生から塾で学習に取り組まずとも中学入試で不利になることはありません。経営的に側面でいうと、低学年から塾通いしてくれたほうが「塾生数」は安定することでしょう。でも、このような塾側の論理に巻き込まれず、保護者は冷静に、かつ慎重に早期からの塾通いのメリット、デメリットについて熟考することが大切です。
 この記事がご参考になると幸いです。



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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当。
2020年度より国語専科「博耕房」という新ブランドを自由が丘に出校した。
著書に『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)など多数。
現在、AERA dot.(朝日新聞出版)、ビジネスジャーナル(サイゾー)、プレジデントOnline(プレジデント社)などで連載記事を担当。
中学受験業界に精通されている矢野先生へ、ぜひ受験の不安や疑問などお寄せください!




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プロフィール

中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。


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