こんにちは。
お子さんは一人部屋での学習に慣れているのですね。成績が伸びているのであれば、その学習スタイルを変更する必要はないでしょう。
ただ、こういう質問をされるということは、お子さんの成績結果が芳しくなく、不安を抱かれているのかもしれませんね。
一人部屋はお子さんが「自由」にふるまえる空間です。
「一人部屋に籠っている時間は長いのにどうして結果が出ないのだろう?」という疑問をお持ちならば、以下の可能性を考えるべきです。
1.集中力が続かない。ぼうっとしている時間が多い。
2.宿題などで不正をおこなっている。たとえば、解答の丸写しなど……。
3.計画的に学習を進められていない。その日にやるべきことが分かっていない。
この3点のうち1つでも当たっているならば、おっしゃるように「リビング学習」に切りかえるのも手だと思います。
『子どもの才能は間取りが育てる』(マイナビ新書)の著者である諸葛正弥さんに「リビング学習」の意味を尋ねてみました。
諸葛さんはこう言います。
「リビング学習の最も大きな意味は『孤独感の防止』です。一人部屋に籠っていると心理的に追い詰められてしまう子が多いのです。そうなると、勉強は苦行であるというイメージを植え付けてしまうことになります。対して、リビングで学ばせると親がそこにいてくれる、見守ってくれているというその空間が子に安心感を与えるのです」
そして、諸葛さんはその際の親の所作についてこうアドバイスをくれました。
「子がリビングで学んでいるときに、親がテレビをみていたり、雑談に興じていたりするのは論外です。親は新聞や本を読む時間に充て、互いに『学ぶ』空気をそこで共有すべきなのです。この姿勢が子を孤独感から解放するのです。互いに相手に配慮するという大切な心持も同時に学ぶことができますしね」
リビング学習は「学ぶという基礎」を構築する手段です。そこで、学ぶ楽しさや要領を覚えた子ならば、一人部屋でだってちゃんと学習に打ち込めるようになるはずです。
お子さんの学習が上手くいっていない……ということならば、リビング学習をきっかけにしてみてはいかがでしょうか。その先の目標は「どこだってちゃんと学習できる」そういうたくましさをお子さんに備えてもらうことです。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。