矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2018-06-29中学受験の家庭学習

質問

現在、小学校5年生の娘を持つ父親です。
娘は私立中学受験を目指し大手塾ともう一つ教室に通っています。
偏差値は4教科で50~55程度ですが、算数の成績が45前後に留まっています。
週の勉強時間は家庭勉強が25時間程度(算数はその内8時間程度)で、勉強スタイルは国、社、理を母親、算数を父親が付きっきりで見ています。
4年生の時も同時間程度勉強していましたが、5年生になると勉強量が増え毎朝毎晩と親子で激しいバトルをしながらの勉強になっています。
このまま進めるにも親子共々ストレスMAXで、家庭教師を頼みたい所でもありますが、これからかかるお金を考えると頼むのをためらう状況です。
娘は自由時間を求めており、決めた勉強時間を少しでも過ぎると大騒ぎをし、これ以上勉強時間を増やすのも難しく、5年生の後半以降勉強がより難しくなっていく事を考えるとより一層不安になりつい焦ってしまいます。
受験を止めるかどうかを娘に聞くと続けるといっていますが、上記状況を打開の検討が手詰まりになっています。
今後受験を続けると考えたとき、どんな手が有りますでしょうか?

回答

 こんにちは。


 具体的な回答をおこなう前に、「勉強/学習」ということばと、「教育」ということばについて持論を述べたいと思います。


 わたしは「勉強」ということばがあまり好きではありません。「強いる」という意味が含まれていて、なんだか子が「やらされるもの」「苦しいもの」といったイメージがあるからです。


 でも、そもそも「勉強」「学習」とは、子が新しい知識をどんどん獲得することだと考えます。そう。何かを学ぶということは、自分の知らなかった世界を自らの内に手繰り寄せることなのです。言い換えれば、人は学んでさまざまな知識を仕入れれば仕入れるほど、目に見える世界は一気に広がっていくのですね。
 こう考えると、「勉強」「学習」とは本来はとても楽しくて、かつエキサイティングなものです。


 つづいて、「教育」ということばについて立ち止まって考えてみましょう。
 わたしの考える教育とは「教え、育てる」ことではありません。わたしは「教育」を「(子が)自ら教わり、育つように導くこと」と定義しています。つまり、周囲の大人たちが子の「自立心」をいかにして引き出すかを熟考し、それを具体的な行動に移すのが「教育」ではないでしょうか。



 わたしは20年以上中学受験の世界で多くの子どもたち、ご家庭と接してきましたが、成績をぐんと伸ばし第1志望校に合格する子、そして、中学校に入学して以降も学力向上を果たす子に一脈通じているのは、「主体的」に学ぶことを楽しめる子であるという点です。


 さて、上記のことを踏まえれば、親が子に付きっきりで教えなければならず、それにより互いにバトルを繰り返し、ストレスが増長されていくという状況は健全なものではありません。


 このような悪循環を断ち切るためには、中学受験の学習における「親子の分離」が必要です。


 もし、いまお通いの大手塾が「ご家庭のサポートありき」のシステムであれば、ここは思い切って塾を変えてください。
 中学受験塾といってもその特徴はさまざまです。
 わたしは「ご家庭のサポート」を求めすぎない塾、たとえば、自習室や質問できる環境が整っているところに転塾すべきと考えます。
 それまで当然のようにおこなっていた親のサポートがなくなってしまうと、しばらくは各科目とも成績が低下することでしょう。でも、一度親が手を離すと決めたからには辛抱強くお嬢様を見守ってほしいと思います。自ら学習に取り組む姿勢を徐々に身につけていければ、それに伴い成績もじわじわと上がってくるはずです。


「中学受験の勉強をする」のではなく、「中学受験を利用してどういう勉強姿勢を身につけてもらうか」に重きを置き、日々のお嬢様の成長に目を向けてほしいと思います。


 親子関係が改善するとともに、お嬢様が楽しく学べるようになることを心より願っています。



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矢野耕平先生は大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。

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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)がある。


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