こんにちは。
女の子は概して丁寧な字を書けるのですが、男の子は字が雑な子が多いですよね。わたしも採点や記述添削などをしているとそのあまりの「汚さ」にイラッとすることがよくあります。
ただ、字を「ゆっくり」「丁寧に」書くことを強要すると、途端に学力面でスランプになってしまうケースがあるのです。どうしてでしょうか。
字が雑な男の子、とりわけ学力上位の子は「文字を書くスピードよりも頭の中で『書きたい』内容がどんどん思い浮かび、慌ててそれに追いつこう」とした結果、判読に苦慮するような字を書いてしまうように思います。
つまり、「文字」の綺麗さを最優先にしてしまうと、そこばかりに意識が集中してしまい、頭を働かせなくなってしまう、思考停止に陥ってしまう危険性があるのです。
息子さんの様子を見ていて、このケースに該当するのであれば、そこはぐっと我慢して見守ることも一つの手だと思います。
また、ノートをあたかも「芸術作品」のように綺麗に仕上げようと専心するタイプの子がてますが、概して学力面で低迷していることが多いのは、いま挙げた理路と密接に関係しているのだろうと考えています。
わたしが男子校の説明会などに足を運んだ際によく聞くのは、「雑な字はさほど気にしていない」ということです。加えて、「どんなに汚い字であっても、こちらでそれらをなんとか識別するように努めています」と公言する学校もあるくらいです。学校の先生方も先述した理路を痛感しているからでしょう。
ただし、国語でいうと「漢字の書き取り」だけについては、ゆっくりじっくり時間をかけて「丁寧な」字で書くよう指導すべきです。ここだけは「トメ・ハライ」をはじめ、入試のときには厳しく採点されることが多いからです。
また、算数の「数字」の書き方があまりにも酷い場合、これもやはり指導したほうがよいでしょう。たとえば、「0」と「6」、「1」と「7」の区別がしづらいなど……。計算ミス多発の原因になってしまいますので、ここは気をつけさせるべきです。
息子さんが前向きに勉強に励み、学力を向上させることを願っています。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。