こんにちは。
夏休みの読書感想文は、本が好きな子にとっては数時間で仕上げられる課題。だが、そうでない子にとっては、読書感想文は「地獄のような課題」です。そして、後者のタイプの子の作成する「読書感想文」に目を通してみると、本の内容を無理やりツギハギしたものが多く見られます。それって「読書感想文」ではなく「要約」なんですよね。
それでは、どのようにして良い「読書感想文」が仕上げられるのか、その導き方について説明していきましょう。
①子ども自身に本を選ばせる
親が課題図書を押し付けても、どうしても子は「受け身」の読書になってしまいます。そうなると、本を読むこと自体に言い知れぬ苦痛を抱き、当然その内容はあまり頭に入ってきません。
では、どうするか?
わたしは親が書店へ子を連れていき、子自身の手で「読みたい本」「興味のある本」を選ばせることだと考えています。子が本選びに迷っているときは、「背伸びせず、学年相応か1~2学年下のレベルの物語(小説)」や「短編が収められている物語(小説)」を探すように助言するとよいでしょう。
そして、子がやっと「じゃあ、この本に決めた!」となれば、なぜその本を選んだのか。その理由を子にメモ書きさせてください。
②本にマーキングする
子が本を読むときには次のような指示を出してください。
「本を読みながら、これはなんだか面白いな、印象に残るなというセリフや文があれば線を引こう。ただし、十箇所以上に引いたらダメだよ」
十箇所以内に線を引かせるという「制限」を設けることで、子が慎重に本を読んでいけるという効果があります。また、このマーキングは読書感想文を作成する際に役立つのです。
③読書感想文の構成
子が本を読了すれば、いよいよ読書感想文の作成に入ります。
読書感想文は以下の3構成で作成させてください。
1.この本を選んだきっかけ
書店を出た際にとったメモに基づいて、数多くある本の中からなぜこの本にしたのかを最初に説明させるようにしましょう。
2.この本で印象に残ったセリフ → 自身の体験談
マーキングをしたところをさらに3箇所以内にしぼりましょう。その文やセリフが心に残ったということは、言い換えれば、自身の体験(経験)でも同じような場面があった可能性が高いのです。その時の体験談を詳しく記述させましょう。
たとえば、「このセリフを見て、ぼくは自分が小学校○年生のときのことを思い出した。それは~」という具合です。
3.この本を読んで、これから心がけようと思ったこと。
最後に、この本を読んで学んだことは何か。感動したことは何か。そして、それをこれからの自分の生活の中でどのようにいかしていくつもりかを書かせていきましょう。
ざっくりとではありますが、このように進めてはいかがでしょうか。
読書感想文の作成がわが子に本への興味を喚起させるきっかけになればいいですよね。
感想文を書き終わったら、「よく書けたね!」と満面の笑みでほめてやることもお忘れなく。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。