矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2019-10-31中学受験の家庭学習

質問

 先生、こんにちは。小学5年生の娘のことでご相談です。娘は読書が好きでたくさん本を読むのですが、国語の成績があまりよくありません。かなりはやいペースで読み終えるので初めは感心していたのですが、どうやら雑に読んでいるようなのです。じっくり読ませれば、国語の点数アップにつながるのでしょうか。

回答

 こんにちは。
 読書が好きだけれど、国語の成績に反映されないということですね。
 わたしも同じ点に引っかかりを覚えています。つまり、「はやいペース」で読んでいるということです。
 自分の気に入った部分だけ(あるいは、気に入ったフレーズだけ)を読んで、あとは飛ばし読みをする……そんな姿勢がいつの間にか癖になってしまったのではないでしょうか。
 中学入試の読解問題には「速読」は必要ありません。逆に、一つ一つの表現に一度立ち止まって、その背景や登場人物の心情をじっくりと考える姿勢が求められています。
 試しに、娘さんが一冊の本をハイペースで読み終えたあと、次のような質問を投げかけてみてはいかがでしょうか。
 「主人公ってどんな性格なの?」
 「主人公の身にふりかかってきた大きな出来事ってどういうもの? そして、その出来事って何で起きてしまったんだろう?」
 「主人公以外の主要な登場人物って誰がいるの? そして、主人公との関係性はどういうものなんだろう?」
 娘さんはこの手の質問におそらく即答できないだろうと考えます。
 その上で、本を「速読」することのマイナス点をストレートに伝えるべきかと思います。

 先ほど申し上げた「中学入試の読解問題で『速読』は必要がない」……こう聞いて、「ええ!? 娘の志望校はかなりの長文が出題されていて、素早く読み終えないと解答欄を埋めることができないのですが」と疑問を抱く保護者もいらっしゃるでしょう。
 確かに、受験校によっては制限時間の中で文章を短時間で読みこなさなければならないところが数多くあります。
 でも、「速読」のための練習は「精読」以外にないとわたしは確信しています。
 文章の表現一つ一つに立ち止まること、登場人物の心情変化を丁寧に読みほどいていくこと……このような「精読」の積み重ねを長期間おこなっていくことによって、徐々に文章を読むスピードが速くなっていくのだと考えます。「ちゃんと内容面が頭の中に残る『速読』」でなければ意味がないということです。

 ただ、雑とはいえ、娘さんが読書に目が向いているのはたいへんに頼もしいです。ですから、その手法をちょっと変えるだけで娘さんの目にする世界がガラリと変わること、そして、そこには大きな喜びが待っていることを娘さんにお伝えください。



中学受験に関する相談や質問を受付中です!

毎月、お寄せいただいたお悩みの中から先生が2つを選んで上旬と下旬に回答いたします。(お悩みを採用させていただいた場合でも、ご連絡はしておりません)
すべてのご相談には回答できませんので、あらかじめご了承ください。また、個別のご質問に対して、メールでの直接回答はいたしかねますので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。


矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。
中学受験業界に精通されている矢野先生へ、ぜひ受験の不安や疑問などお寄せください!




  • はてなブックマークに追加
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア

テーマ一覧

ブログ内検索

プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。


月別

以前の月を見る

編集部オススメ