矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2016-12-15中学受験その他

中学受験生の皆さんにとっては東京・神奈川県の国公立・私立中学入試本番まで50日をきりました。いや、埼玉県・千葉県・地方校首都圏入試を考えると、3週間ほどで入試本番を迎える受験生も多いことでしょう。体調に留意しつつ総仕上げに励んでほしいと思います。

 さて、今回のブログは中学入試における面接の対策がテーマです。以前、わたしのブログにて公開していた記事を再掲します。


 近年は減少傾向にあるものの、中学校の入試では面接を課す学校が多くあります。面接も願書同様、合否には一切関係ないと明言したいところですが、そうとも言い切れません。
 たとえば、面接を課す学校の試験の合格得点ラインが4科合計400点中255点だと仮定しましょう。その場合、255点以上は合格、254点以下は不合格となるはずです。しかし、合格ライン周辺には数多くの受験生がひしめいているもの。たとえば255点に30名もの受験生が存在していて、なおかつ、そこから10名の合格者をセレクトしなければならない場合(学校側は合格者を何名ぐらいにするか予め決めているのです)、何が決め手になるのでしょう。そう、それが面接評価なのです。無論、面接はあくまでも形式的に実施しているに過ぎず、合否に全く影響のない学校も多くありますが。

受験面接

 そして、もうひとつ面接対策に取り組まなければならない理由があります。それは、面接の手応えが悪かった場合、翌日の入試に悪影響を与えてしまうことが多く、逆に、面接の感触が良かった場合、翌日の入試に好影響を与えることが多いからです。

 2月1日にA中学校という面接を課す入試に臨んだとしましょう。ほぼ全ての学校が4科目の試験を終えたあとに面接をおこなうはずです。子どもは各科目の試験問題より、より「最近おこなわれた」面接のほうを記憶しているもの。事実、面接を課す学校の入試を終えた子どもに試験の感触を尋ねると、「面接ではね…」と口にする子どもが多いのです(もちろん、こちらは科目の出来不出来が気になっているのですが)。 これをもってしても、面接の出来不出来がその日の子どものモチベーションを決定づけることがわかりますね。たとえ、各科目の試験結果に自信があっても、面接で失敗してしまえば、それだけで塞ぎこんでしまう子どもは多いのです。そうなれば、翌日の入試に差し支えてしまいます。前日の入試の感触の悪さを引きずったまま入試に臨んでも本来の力を発揮できるはずはありません。

 連日の入試で張り詰めている子どもたち。大切なのはその日の入試については完全にリセットして、新たな気持ちで翌日の入試に備えることです。そうなるためにも、事前の面接対策はしっかりおこないたいものです。

受験面接

 それではまず、子どもたちが中学入試における面接に臨む姿勢について説明します。

 そもそも、なぜ中学入試で面接をおこなうのでしょうか。それは、その子どもが学校で問題なくやっていけるかどうかを見極めるためです。裏返せば、面接はその子どもの長所を積極的に評価する場でなく、深刻な問題がないかどうかを炙り出すためにおこなわれるのです。つまるところ、面接とはかくもネガティブな側面を持つのです。

 実際に複数の中学校の先生方に「面接による合否」について尋ねたところ、「面接で合格することはないが、面接で不合格になることもある」と異口同音におっしゃいます。学校名こそ出しませんが、都内の某難関中学校では「面接で不合格になる子どもが毎年存在する」そうです。聞けば、「自校に対して否定的な見解を持って入試に臨んでいて、投げやりな態度を見せたから」「こちらの質問に対して、何も答えずただただ俯いていたから」といったものです。つまり、常識の範囲内であれば、面接で不合格になることはまずないと断言してよいでしょう。但し、先の前者の例は極めて稀なケースであるように感じられますが、後者のケースに該当してしまう恐れのある子どもは案外多いのではないでしょうか。

 そうならないために、まずは面接に臨む姿勢について説明します。多くの「中学入試面接指南書」が刊行されていますが、細かな注意点が多すぎるように思います(面接だけで一冊の本を完成させるためにはどうしても細かなことを書かざるをえないのでしょうが…)。私から子どもたちに注意してほしいポイントは次の通り。

1.背筋を伸ばして、堂々としているようにふるまう。
2.大きな声で返事や質問の回答をする。
3.相手(試験官)の目を見て話す。

 これだけです。この3点を守ることができれば十分です。たとえ好印象を与えることはできなくとも、悪い印象は抱かれないはずです。「ええ!? でも、面接で試験官に良い印象を持ってほしいのですが…」という親の叫びが聞こえそうですね。もう一度繰り返します。面接とはネガティブな側面を持つものなのです。好印象を抱いてもらうための訓練をしている時間があったら、苦手科目の学習に専心したほうがよっぽど志望校の合格に近づけるはずです。

 1についてですが、「背筋を伸ばして堂々とふるまう」なんて子どもが生意気に見られないか心配される方もいらっしゃるでしょう。しかし、考えてみてください。面接の場で緊張しない子どもはほとんどいないはず。「背筋を伸ばして堂々としている」つもりでも、実はいたって「標準的な姿勢」になっているもの。それでいいのです。逆に「いつも通りの姿勢」を心掛けさせると、緊張からか面接の場でフニャフニャと萎れてしまう子どもが多いのです。ですから、子どもに襲い掛かる「緊張感」をも計算に入れて、あえて大袈裟な指示を出すことも必要なのです。

 2に関して。こちらも1と同じです。「大きな声を出しているつもり」でも、実はいたって普通の大きさの声だったりするのです。

 3の項目ですが、不得手にする子どもが多いでしょう。試験官の目を見てにこやかに話せるのが一番良いのですが、どうしても見知らぬ大人と目を合わせられない、あるいは、目を合わせることによってガチガチに硬くなってしまう子どもには「目を見るのでなく、ネクタイの結び目(にあたる部分)を見ながら話すこと。そうすれば失礼な態度には見えないはず」とアドバイスします。

 次回は面接での言葉遣いについて説明します。お楽しみに。



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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。
中学受験業界に精通されている矢野先生へ、ぜひ受験の不安や疑問などお寄せください!




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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。


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