これまで3回にわたって「面接」の注意点について説明しました。それぞれのポイントに留意することで面接練習の一助になれば嬉しいです。
さて、学校により面接形態は様々です。子どものみが面接対象になっている学校は概して面接軽視のところが多いように感じられます。しかし、親の面接、あるいは、親子面接が実施される学校は面接を重視しているところが多いと推察できます。
それでは、「親子面接」の留意点についてお話します。
学校側は何を診たくて親子面接をおこなうのでしょうか。極言すれば、「家庭内のコミュニケーションがしっかり図れているかどうか」を判断したいためです。そして、中学受験自体が親の受験でなく、子どもの受験になっているのかどうかを見極める手段であるとも言えるでしょう。
典型的なのが、慶應義塾中等部の面接です。ここの学校の面接では家庭内のコミュニケーションについての質問が多く投げかけられるのです。また、同時に子どもにどれだけの自主性が備わっているのかをも看破しようとしています。
たとえば、過去にこんな面接の問答がおこなわれました。
「(わざと特定の人物に目を向けないで)家庭の中でどんなお手伝いをしていますか?」
焦った母親は、
「はい。子どもには一週間に一度は料理の手伝いをるやらせています。」
と答えました。
しかし、これではアウトなのです。
面接官は、質問を向けられている対象が曖昧模糊としている場合、子ども自身が回答してくれることを期待しているのです。
親子面接が課される学校を受験される親は、「あくまでも受験の主体は子どもである」という意識を持って臨むべきでしょう。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。