こんにちは。
「読書の秋」が到来しましたね。これは最近言われ始めたことではありません。
実際に、唐の著名な歌人である韓愈が「燈火親しむべし」という一節を詠みました。これは「秋になると涼しくなり、何かと過ごしやすい季節であるから、灯りの下で読書をするにはとても良い時期である」という意味です。
娘さんは小学校4年生とのこと。この時期から本の面白さ、奥深さを味わうことができると、語彙力や読解力が向上するだけでなく、世界をぐんと広げることができます。
さて、最初に本を選定する際には、図書館ではなく親子で書店に足を運んでほしいと思います。
図書館だと一気に多くの本を借りることができますが、だからこそ、本を選ぶ際の真剣さが欠けてしまうことがあります。つまり、「とりあえずたくさん借りておいて、その中で気に入ったものをあとから考えよう」という甘い姿勢になってしまう可能性があります。
その点、親が直接購入してくれる一冊の本であれば、子はどの本を読もうかしっかり吟味しようとするでしょう。そして、入手した本は「自分だけのもの」になるのですから、本を大切に取り扱おうとする思いが強くなるはずです。
子が本選びに悩んでいたら、おすすめは短編が幾つも採録されている物語がよいでしょう。最初から長文を読ませるよりも、まずは一篇だけでも「ちゃんと読み終えた」という成功体験をさせることが必要です。そんな成功体験を積み重ねていくうちに、「もっと分厚い本にチャレンジしよう」という気持ちが自発的に湧いてくるものです。
最後に、子が読書に没頭するための環境づくりについて持論を述べたいと思います。
わたしの塾に通う子どもたちを対象に、読書についてちょっとした調査をしたことがあります。
その際に判明したことは、「親が読書好きならば子も読書するようになる」「親が本を読まないなら子も読書があまり好きでなくなる」ということです。
お父さんやお母さんが普段から嬉々として読書にのめりこんでいる……そんな姿を見て、子も読書することへの憧れが強まっていくのでしょう。逆に、親が子に「読書しなさい」なんて強制したにもかかわらず、子が本を読もうとしているその隣で親がスマホをいじっている……なんてことであれば、子が積極的に本に向かうはずはありません。
たとえば、1週間に1度「読書タイム」を設け、親子それぞれが読書を思い思いに楽しむ……そんな環境づくりができているご家庭の子は読書によって自分の世界を広げていくことができるでしょう。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。