矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2018-07-20中学受験その他

質問

 矢野先生、初めまして。
 夫のことで相談です。
 2月20日のご相談を拝見して、逆のことで悩んでいらっしゃる方もいるのだと少し心強く思いました。わが家の夫はむしろ色々口を出してきます。でも具体的に何をするというわけではないです。
 夫はどうにも精神論をふりかざすタイプで困っています。
 息子が中学受験に挑もうとしているのですが、塾に行かせても「塾で小手先の受験勉強だけしたって意味がない、もっと地道にコツコツ勉強をしてその成果でいかれる学校へいくべきだ」ということをわたしに言ってきます。(塾が嫌いみたいです)
 先日わたしが志望校のオープンスクールに参加して過去問をもらってきたら、「こんなカンニングみたいなことをして恥ずかしくないのか!」と怒ってしまい、それを自分の部屋に持っていってしまいました。
 効率よく勉強するのは楽をすることだと勘違いしているようです。しかも、夫の中では楽をするのは許せないようです。
 コツコツ努力することが素晴らしいのはわかりますが、受験には効率も大切だと思います。
 どうやって説得したらいいでしょうか。

回答

 こんにちは。
 ご主人はなかなか大変な人ですね。心中をお察しします。いまどき珍しい頑固一徹の方なのでしょう。
 このようなご主人に対する方策は以下の2点が考えられます。


1.ご主人に中学受験への数々の思い込みに気づかせ、全面的に協力をしてもらう。
2.ご主人はこれ以上変わらないとあきらめて、放っておく。


 1についてですが、ご主人は息子さんの中学受験に決して「無関心」ではないことが感じられました。中学受験などどうでもよいと思えば、塾に通わせること自体叶わなかったはずですし、オープンスクールの過去問を取り上げるようなことはしないでしょう。案外、取り上げた過去問を自室でじっくり見ている可能性すらあると思っています。
 ご主人の思い込みはいろいろありそうですが、「塾は小手先のテクニックを教える場所」ではありません。中学受験に挑むのであれば、大多数の子どもたちは2年~4年程度かけて週に何回も塾に通い学習に打ち込んでいます。学習の質量ともに高いレベルが問われるのが中学入試。一朝一夕に成績を伸ばせるテクニックなどというのは存在しません。
 お母様は「コツコツ努力するのは素晴らしいのは分かりますが……」とおっしゃっていますが、塾だって「コツコツ努力」することを求めますし、その姿勢がなければ中学受験で上手くいくことはありません。


 ご主人にこの点を理解してもらうためには、塾の保護者会などに足を運んでもらうのが一番です。たとえば、わたしの経営する塾では「公開授業」といういわば「保護者参観」をおこなっています。ここに参加されるお父様は多く、「わが子はなかなか手ごわい内容に取り組んでいるんだな」というのを感じてくださるようです。
 ご主人を最初から煙たがるのではなく、「塾の指導を知ったうえで、あなたのアドバイスがほしい」と頼んでみてはどうでしょうか。内心は受験に「関心」のあるご主人であれば、渋々……といったふるまいを見せながらも、塾のイベントへの参加など協力してもらえるかもしれません。
 そうなると、塾ではかなり本質を突いた学習に取り組んでいることを実感してもらえるでしょうし、中学受験の世界を知れば、過去問を入手して志望校を目指すのは当たり前であることを理解してもらえるでしょう。



 2はあの手この手の働きをしようが、ご主人のその頑固さが変わらなかった場合の「最終」の対処法です。この場合、受験間際になって「俺はそんな学校に行かせたくはない!」などと突然介入し、母子を困らせるリスクがあります。そうならないように、事前に「息子の中学受験のことは母親のわたしに一任してください」とはっきりと自身の役割を伝えておく必要があるでしょう。


 余談ですが、わたしは先日大学院生の子からこんな話を聞きました。
 彼女のお父様はまさに頑固一徹。彼女が進学した中高一貫校、大学ともに「入学するまで」は、「俺はそんな学校は嫌いだ」と難癖をつけていたそうです。
 でも、彼女がいざ卒業してみると、お父様は娘の通った中高一貫校、大学の大ファンに変身していたそうです。
 そういう天邪鬼な性格の持ち主は男に多いような気がします(面倒くさいですね)。


 ご主人の偏見が正され、ともに息子さんの中学受験に寄り添えるようになることを願っています。



中学受験に関する相談や質問を受付中です!

毎月、お寄せいただいたお悩みの中から先生が2つを選んで上旬と下旬に回答いたします。(お悩みを採用させていただいた場合でも、ご連絡はしておりません)
すべてのご相談には回答できませんので、あらかじめご了承ください。また、個別のご質問に対して、メールでの直接回答はいたしかねますので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。


矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。
中学受験業界に精通されている矢野先生へ、ぜひ受験の不安や疑問などお寄せください!




  • はてなブックマークに追加
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア


テーマ一覧

ブログ内検索

プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)がある。


月別

以前の月を見る

編集部オススメ