こんにちは。
ご主人はなかなか大変な人ですね。心中をお察しします。いまどき珍しい頑固一徹の方なのでしょう。
このようなご主人に対する方策は以下の2点が考えられます。
1.ご主人に中学受験への数々の思い込みに気づかせ、全面的に協力をしてもらう。
2.ご主人はこれ以上変わらないとあきらめて、放っておく。
1についてですが、ご主人は息子さんの中学受験に決して「無関心」ではないことが感じられました。中学受験などどうでもよいと思えば、塾に通わせること自体叶わなかったはずですし、オープンスクールの過去問を取り上げるようなことはしないでしょう。案外、取り上げた過去問を自室でじっくり見ている可能性すらあると思っています。
ご主人の思い込みはいろいろありそうですが、「塾は小手先のテクニックを教える場所」ではありません。中学受験に挑むのであれば、大多数の子どもたちは2年~4年程度かけて週に何回も塾に通い学習に打ち込んでいます。学習の質量ともに高いレベルが問われるのが中学入試。一朝一夕に成績を伸ばせるテクニックなどというのは存在しません。
お母様は「コツコツ努力するのは素晴らしいのは分かりますが……」とおっしゃっていますが、塾だって「コツコツ努力」することを求めますし、その姿勢がなければ中学受験で上手くいくことはありません。
ご主人にこの点を理解してもらうためには、塾の保護者会などに足を運んでもらうのが一番です。たとえば、わたしの経営する塾では「公開授業」といういわば「保護者参観」をおこなっています。ここに参加されるお父様は多く、「わが子はなかなか手ごわい内容に取り組んでいるんだな」というのを感じてくださるようです。
ご主人を最初から煙たがるのではなく、「塾の指導を知ったうえで、あなたのアドバイスがほしい」と頼んでみてはどうでしょうか。内心は受験に「関心」のあるご主人であれば、渋々……といったふるまいを見せながらも、塾のイベントへの参加など協力してもらえるかもしれません。
そうなると、塾ではかなり本質を突いた学習に取り組んでいることを実感してもらえるでしょうし、中学受験の世界を知れば、過去問を入手して志望校を目指すのは当たり前であることを理解してもらえるでしょう。
2はあの手この手の働きをしようが、ご主人のその頑固さが変わらなかった場合の「最終」の対処法です。この場合、受験間際になって「俺はそんな学校に行かせたくはない!」などと突然介入し、母子を困らせるリスクがあります。そうならないように、事前に「息子の中学受験のことは母親のわたしに一任してください」とはっきりと自身の役割を伝えておく必要があるでしょう。
余談ですが、わたしは先日大学院生の子からこんな話を聞きました。
彼女のお父様はまさに頑固一徹。彼女が進学した中高一貫校、大学ともに「入学するまで」は、「俺はそんな学校は嫌いだ」と難癖をつけていたそうです。
でも、彼女がいざ卒業してみると、お父様は娘の通った中高一貫校、大学の大ファンに変身していたそうです。
そういう天邪鬼な性格の持ち主は男に多いような気がします(面倒くさいですね)。
ご主人の偏見が正され、ともに息子さんの中学受験に寄り添えるようになることを願っています。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。