こんにちは。
夏休みの自由研究については一体どういうものに取り組むべきか頭を悩ませる親子が多いようです。
わたしは「自由」ということばがキーワードだと思います。
息子さんが興味を示している対象は何でしょうか?
息子さんが好きな場所はどこでしょうか?
息子さんが打ち込んでいるスポーツは何でしょうか?
自由研究の「ネタ」はそんなふうに案外身の回りにゴロゴロと転がっているはずです。
たとえば、息子さんが野球を好きならば、プロ野球の各球団の特色や主力選手などを調べたらいかがでしょうか?
あるいは、息子さんが電車好きならば、普通列車を幾度も乗り換える「仮想旅行スケジュール」を立てるのも面白いかもしれません。
「え? でもそれでは、中学受験勉強に役立たないのでは!?」と思われるでしょう。
わたしは自由研究を中学受験勉強に無理やりつなげる必要はないと考えています。
「自由研究」はあくまでも息子さんが「自由」にテーマを設定して、それをしっかり調べることに意味があると考えています。親はあくまでもサポート役。息子さんの自由研究にちょっと距離を置きつつ、それでも付き添うという感覚で臨むのがよいと思います。
わたしは「ひとつの物事を深く追究し、とことん調べ上げる『構え』を構築する」ことこそが自由研究の意義、醍醐味と考えます。
このような「構え」を早期のうちに身につけることは、息子さんの今後学習に取り組むうえで大きな意味があると確信します。
そして、身近な題材を用いて、「自分自身のことばで語る」自由研究が完成すれば、それはオリジナリティあふれる唯一無二の作品となるのです。
この時期、書店へ足を運ぶと、いわゆる「自由研究キット」が並べられています。しかし、これらは結論ありきで作られていて、そこへ子を誘導するような内容になっていることが多いのです。そうすると、敷かれたレールの上を走るだけであり、オリジナリティとはかけ離れた自由研究となってしまいます。市販のものだけあり確かに見栄えは良いのでしょうが、このような「不自由」な研究には学びを喚起する効果はないと考えます。
息子さんが自由研究を通じて、自ら考え調べる喜びを体得できることを願っています。
そして、息子さんのその経験はいつしか中学受験の学習にも良い影響を与えるものと思っています。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(文春新書)、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)。現在、プレジデントOnline、こそだてオウチーノなどで記事を連載している。