矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2018-08-20中学受験その他

質問

 6年生の娘のことで、ご相談させてください。
 娘は非常にマイペースな性格です。我が道をひたすらゆくとでも申しましょうか、周りを見て、自分の位置を確かめるということをしません。それが良いところだとは思いますが、悪いところでもあるというか。受験では不利なんじゃないかと心配です。
 同じ学校を志望しているお友達よりテストの点数が悪くても知らんぷりしています。むしろ、なんとかちゃんも同じ中学へいくんだって!と喜んでいました。(自分より成績の良い子が同じ学校を目指す=手ごわいライバルが増えるということをわかっていないんでしょうか)
 夏休みになり、夏期講習のクラス分けで自分だけ下のクラスに入れられても平気な顔をしています。なんでもすぐ「だいじょぶだいじょぶ」と言うんです。
 もう6年生の夏休みだというのにこんなことで本当に大丈夫なんでしょうか。
 危機感を覚えさせるにはどうしたらいいでしょうか。

回答

 こんにちは。
 中学入試本番まで残すところあとわずかになりました。親としてはどうしても焦ってしまいますよね。一方、現状に危機感を全く抱かず楽観視するような言動をとるお嬢様に対して思わず苛立ちを覚えてしまうお母様のお気持ちはよく分かります。


 お母様は『娘に危機感を抱かせるべき』とおっしゃっていますが、危機感というものは「抱かせる」ものではなく「抱く」ものです。すなわち、お嬢様が「中学受験」を自分自身の問題として引き受けなくてはいけません。
 わたしの勝手な推測に過ぎませんが、「同じ志望校の友人より点数が悪い」「自分だけ下のクラス」という経験を味わいながらも「大丈夫」を連呼しているのは、現実逃避の一種ではないでしょうか。換言すれば、心の奥底ではあきらめや不安、焦りといった感情が渦巻いている可能性があるのです。「お気楽」に見える子であっても、実は……というケースをわたしは数多く目にしてきました。



 お嬢様が日々の学習にしっかり打ち込んでいる……というのであれば、この推測はおそらく当たっていると思います。
 この場合、どのようなタイミングでお嬢様に働きかけるべきでしょうか。
 9月以降は「志望校判定模試」がおこなわれたり、「(志望校の)過去問演習」に取り組んだりするはずです。志望校の合格判定が厳しいものだった……あるいは、過去問演習をするも合格者最低点には全く届かない……そんな現実を目の当たりにしたときに、間髪入れずお母様が膝を突き合わせて、目をしっかり見据えながら、現状がどれほどまずいのかを懇々と説明するとともに、お嬢様の「不安」を引き出すよう導くことが必要だろうと考えます。こんなとき、堰を切ったように泣き出す子が多くいます。そして、このときこそが意識を改革する好機になるのです。


 そして、お嬢様が本当に「お気楽」であった場合の話です。
 これは難しいですよね。お母様からお嬢様に対して、現状では決して「大丈夫」ではないことと、その具体的な根拠を幾つも示しながら連日語りかけていくしかありません。先述した「危機感を自ら抱く」とは真逆の働きかけとなってしまいますが……うーん、それしかないのでしょうね。



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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。
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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)がある。


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