矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2018-09-20中学受験その他

質問

 先生はじめまして。
 うちの娘はいま6年生で、受験生です。
 娘本人はとてもがんばっていると思います。わたし自身のことについて、ご相談がございます。
 端的に言うと、どうしたらいいのかわからず自信がなくなってしまいました。
 中学受験は親のサポートが重要だと聞きます。しかし、わたしはとても理想的な母親とは言えないと思います。勉強を見てあげるにしても、あれこれ細かいところが気になってしまいます。見ずに放っておく勇気もありません。つい口出しをして娘にうるさがられてしまっています。
 親はどっしり構えて子どもが不安になった時だけ親身に相談に乗ってあげてくださいと学校でも塾でも言われるのですが(矢野先生のこれまでのお答えも読みましたが、同じですよね)、「どっしり構えて」とか「揺らがずに支える」とか「見て見ぬふりをする」とかいった態度がわたしには向かないみたいです。
 娘も何がそんなに心配なの? とうんざりしているのですが、具体的にこれといった心配事が出てきません。本当にただ娘が心配で、がんばっているのはわかるけれどこれで合格できるのだろうか、足りないところはないだろうか、そういったことを考えてそわそわするのです。たまに涙も出てきます。
 最近、親のわたしがこんな態度だからもしかしたら娘は勉強に集中できなくて合格できないかもしれないと考えるようになってしまいました。
 ただ不安なだけです。わかっています。でも考えれば考えるほど自分はなんてだめな母親なんだろうかと落ち込んできてしまって、とてもどっしり構えることなどできそうにありません。本番が近くなったらどうなってしまうのでしょうか。
 見ず知らずの先生にこんなことをお願いするのも変かもしれませんが、どうか喝を入れていただけないでしょうか。
 しっかりと娘の受験を見守ってあげられる母親になりたいと思います。
 長文になってしまいましたが、よろしくお願いいたします。

回答

 こんにちは。
 娘さんの受験が近づいてきて、言い知れぬ不安が次々と襲ってくるのですね。このような精神状態に陥ってしまう方は決してめずらしいわけではありません。娘さんを思う気持ちがほんの少し強すぎるだけなのだと思います。


 お母様がおっしゃっているように、時として親の不安が入試を控えた子に「伝播」してしまうケースがあります。しかしながら、娘さんの「うんざりしている」態度からすると、その心配はあまりなさそうだなあという気がします。お母様の小言に対していちいち「落ち込む」子は「要注意」ですが。


 お母様はわたしに「喝」を入れてほしいとのことですが、わたしが厳しいことをここで言い立てたとしても、多分その不安から解放されることはないでしょう。


 「喝」の代わりに、某私立中高(ミッション校)の校長先生から聞いたことばを贈りたいと思います。
「親というものは、子の成長を見守っているうちに、子に『付加価値』を付けたいという欲が出てきてしまいます。が、その欲が強すぎると子の自立を妨げてしまうことが多々あるのです。わたしは親が『初心』に返ることが大切だと思っています。つまり、子が誕生した瞬間に抱いた心に立ち戻るということです。皆さん『無事に生まれてきてよかった』と心から喜んだはずです。そう、子というのは『生きている』それ自体が尊いことなのです」



 お母様は娘さんの中学受験が心配で胸が張り裂けそうな思いを抱かれています。
 その気持ちはわたしにもよく理解できます。
 でも、中学受験で不合格になったところで大切な娘さんの「命」まで取られるわけではありません。
 不本意な結果が待ち受けていたとしても、娘さんはそれを自身の責任として引き受け、きっとたくましく育ってくれるはずです。


 そう思えば、ほんの少し気分が晴れるのではありませんか?


 そのうえで、娘さんの受験を温かく見守ることこそが母親として取るべき態度ではないかと考えます。


 それでも、どうしても不安に押し潰されそうになるときがあるかもしれません。
 そんなときは、その矛先を娘さんに向けるのではなく、ご主人や身内の方にぶちまけるのもよいかと思います(塾の講師でもよいかもしれませんね)。



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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。
中学受験業界に精通されている矢野先生へ、ぜひ受験の不安や疑問などお寄せください!




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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)がある。


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