こんにちは。
最近はタブレットを利用して通信添削をおこなったり、授業の動画が見られたり……比較的「アナログ」的な側面が強いとされる教育業界にあっても、デジタル化がどんどん進んでいます。
さて、わたしは『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)という表題だけを見ると、矛盾した二冊の本を著しています。
わたしが「デジタル教材」をどう見ているか。それを前者にまとめていますので、ここでその一部を引用したいと思います。
「子どもたちが学ぶことに興味を抱く条件はただひとつ。それは『何だか面白そう』という感覚を持つことだ。それを考えるならば、ビジュアル的に圧倒的な優位性を持ち、かつ、ゲーム性を持たせることができるデジタルガジェットが子どもたちの学びを喚起させる可能性は十二分にある。
子どもたちはiPadからすべてを学ぶのではない。iPadをスプリングボード(契機)として学んでいくのである」(矢野耕平『iPadで教育が変わる』より一部抜粋)
わたしはデジタル教材に対して決して否定的ではありません。
子の興味関心を引き出す「きっかけづくり」として、それらの教材は効果的だと考えています。
実際にお子さんはゲーム感覚でデジタル教材を楽しんでいますよね。
ただし、お母様が憂慮されるように、デジタル教材で一問一答形式の問題に取り組むだけでは、十分な学力は身につきません。換言すれば「書く能力」と「覚える能力」は紙ベースのものでなければなかなか鍛えることはできないと考えています。
「書く」とは紙に文字を刻む作業です。文字を刻みつけることによって、視覚だけでなく触覚も合わさった上で、刻んだ事柄を体得していくのです。紙に文字を「書く」ことの効用は記憶術の世界でもその重要性は指摘され、何ら疑うところはありません。
わたしは「デジタル教材」「紙ベースの教材」を別個のものとして考えて、それぞれ時間指定をおこなってお子さんが取り組むよう導いてやってほしいと願います。
中学受験に関する相談や質問を受付中です!
毎月、お寄せいただいたお悩みの中から先生が2つを選んで上旬と下旬に回答いたします。(お悩みを採用させていただいた場合でも、ご連絡はしておりません)
すべてのご相談には回答できませんので、あらかじめご了承ください。また、個別のご質問に対して、メールでの直接回答はいたしかねますので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。