こんにちは。
「IT」とはinformation technology、すなわち、インターネットを介した情報技術を意味します。
この「IT(あるいはICT)教育」ということばが学校現場で用いられて久しく、いまは多くの私立中学校や高校でタブレット端末を導入した授業やプログラミング教育がおこなわれています。
そんな話を聞くと、わが子がその潮流に乗り遅れてはいけない。ただでさえ、日進月歩のITの世界なのだから……と保護者が不安を抱いてしまうのはよく理解できます。
ただ、結論から申し上げると、わたしもお父様と意見は同じです。
小学生のうちにスマホを与える必要はありません。SNSに没頭してトラブルを起こしたり、夜遅くまで(時には布団の中に隠れて)動画に夢中になり寝不足になったりと、あまり良いことは起こらないと考えます(もちろん、小学生のうちに手痛い失敗をさせておく、というのも一理ありますが)。
調べものがあれば、電子辞書や親のPCを貸せば十分です。小学生はそれで事足りるのではないかとわたしは思っています。
「ええ!? でも、そんなことではわが子が時代に乗り遅れないだろうか!?」
大丈夫です。わたしはお母様にその回答を既にここで提示しています。どこだかお分かりになりますか?
正解は「日進月歩のITの世界なのだから」という部分です。
お父様が使われているという「ガラケー」は確かにスマホと比べると古臭く感じるかもしれません。でも、ほんの15年前を振り返ると、当時はいまの「ガラケー」にあたる携帯端末が全盛でいまの「スマホ」のような端末が登場するなど誰も想像がつかなかったでしょう。
言い換えれば、息子さんが社会人になる頃はどういう端末が普及しているのでしょうか?
その道の専門家でない限り、誰もそれを思い描けないでしょう。
ただ、一つ言えそうなのは、いまの「スマホ」は「時代遅れの遺物」と化している可能性が高いということです。
ですから、小学生のうちにスマホに触れさせることが、将来のITスキルを高めることを保証しないということです。
わたしは『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)という一見相反するタイトルの本を刊行しています。が、『iPadで教育が変わる』についてはタイトル自体がトラップになっていて、「iPadで教育そのものは何も変わらない」という内容になっています。
教育とはとどのつまり「誰が誰に何を教わるか」というのがすべてです。ITそのものが息子さんを学ばせてくれるわけではなく、息子さんがITを利用して学んでいくのです。ITとはひとつの道具に過ぎないのです。そういう冷めた視点を持つことも大切だと考えます。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(文春新書)、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)。現在、プレジデントOnline、こそだてオウチーノなどで記事を連載している。