矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2019-09-30中学受験その他

質問

 小学4年の息子がおります。最近、ITについての記事を読んでいて不安になることがあります。うちは夫がいまだにガラケーを愛用しており、小学生(おそらく中学も…)のうちは子供にスマホを与えることに大反対しています。最近、『2020年プログラミング教育必修化』についての記事を読んだのですが、家の方針のせいで、息子がこれからの時代乗り遅れないか心配です……。先生はどう思われますか。

回答

 こんにちは。
 「IT」とはinformation technology、すなわち、インターネットを介した情報技術を意味します。
 この「IT(あるいはICT)教育」ということばが学校現場で用いられて久しく、いまは多くの私立中学校や高校でタブレット端末を導入した授業やプログラミング教育がおこなわれています。

 そんな話を聞くと、わが子がその潮流に乗り遅れてはいけない。ただでさえ、日進月歩のITの世界なのだから……と保護者が不安を抱いてしまうのはよく理解できます。

 ただ、結論から申し上げると、わたしもお父様と意見は同じです。
 小学生のうちにスマホを与える必要はありません。SNSに没頭してトラブルを起こしたり、夜遅くまで(時には布団の中に隠れて)動画に夢中になり寝不足になったりと、あまり良いことは起こらないと考えます(もちろん、小学生のうちに手痛い失敗をさせておく、というのも一理ありますが)。
 調べものがあれば、電子辞書や親のPCを貸せば十分です。小学生はそれで事足りるのではないかとわたしは思っています。

「ええ!? でも、そんなことではわが子が時代に乗り遅れないだろうか!?」
 大丈夫です。わたしはお母様にその回答を既にここで提示しています。どこだかお分かりになりますか?

 正解は「日進月歩のITの世界なのだから」という部分です。
 お父様が使われているという「ガラケー」は確かにスマホと比べると古臭く感じるかもしれません。でも、ほんの15年前を振り返ると、当時はいまの「ガラケー」にあたる携帯端末が全盛でいまの「スマホ」のような端末が登場するなど誰も想像がつかなかったでしょう。

 言い換えれば、息子さんが社会人になる頃はどういう端末が普及しているのでしょうか?
 その道の専門家でない限り、誰もそれを思い描けないでしょう。
 ただ、一つ言えそうなのは、いまの「スマホ」は「時代遅れの遺物」と化している可能性が高いということです。
 ですから、小学生のうちにスマホに触れさせることが、将来のITスキルを高めることを保証しないということです。

 わたしは『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)という一見相反するタイトルの本を刊行しています。が、『iPadで教育が変わる』についてはタイトル自体がトラップになっていて、「iPadで教育そのものは何も変わらない」という内容になっています。

 教育とはとどのつまり「誰が誰に何を教わるか」というのがすべてです。ITそのものが息子さんを学ばせてくれるわけではなく、息子さんがITを利用して学んでいくのです。ITとはひとつの道具に過ぎないのです。そういう冷めた視点を持つことも大切だと考えます。



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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。
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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。


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