こんにちは。
お母様のご心配はよく理解できます。何よりお嬢様がかわいそうですね。
さて、負荷のかかる転塾などではなく、いまの環境のままでお嬢様が楽しく塾通いできるための打開策は三案挙げられます。
一つは、お嬢様自らそのご友人に嫌だと意思表示をさせることです。「わたし、そういうふうに言われるのは本当に嫌だから、今後はやめてね」と。もちろん、わたしはその友人がどのような性格なのか、お嬢様との距離感が平生どうなのかは分かりませんので、これが最善の策かは自信がありません。ただ、今後お嬢様はいろいろな人間関係の摩擦を経験していくはずです。ここできっぱりとした意思表示をさせるのも良い「勉強」になる可能性が高いのではないかと思います。
二つ目は、連絡が取れればという条件付きですが、先方のお母様に直接この問題点をそれとなく伝えることです。いまはお嬢様の話を一方的に聞いている段階ですよね。ひょっとすると、お嬢様もそのご友人の気分を害している可能性を少しは疑ってみる必要があります。このようなケースは結局「どっちもどっち」ということも多いのです。一方、この場合のリスクとしてはお母様同士に摩擦が生じてしまうかもしれない点です。慎重に言葉を選びつつ話をすることが大切です。
三つ目が一番無難な打開策かもしれません。塾の担当講師に直接この点を相談するということです。塾サイドにとっては両者とも変わらない環境で学びに打ち込んでほしいという思いは抱いているにちがいありませんから、事態が好転するように動いてくれるのではないかと考えます。
このようなトラブルはよく耳にします。そのご友人もきっとどこかでお嬢様に学力面で追いつかれるかもしれない……そんな言い知れぬ不安を抱えているのかもしれません。
事態が改善し、互いに楽しくも充実した中学受験勉強ができることをわたしは心から願っています。そのきっかけを作るための働きかけはお母様にしかできないのです。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(文春新書)、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)。現在、プレジデントOnline、こそだてオウチーノなどで記事を連載している。