矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2020-01-10中学受験その他

連載中の「中学受験お悩み相談室」は、前回につづいて、《特別企画》としてわたしの新刊『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書/朝日新聞出版)を一部ベースにし、中学受験と高校受験の最新動向について紹介したいと思います。


首都圏の進学校が続々と高校募集を停止する!

 前回の記事では、以下の3点が主たる理由で中学受験が活況を呈していると申し上げました。

(1)「中学受験熱」の高い都心部の小学生の数が増加していること。
(2)2020年度あるいは2024年度からの大学入試改革の全貌が見えず、保護者たちの不安が高まっていること。
(3)2016年度より実行された文部科学省による「大学合格者数抑制策(定員の厳格化)」により、主として首都圏の私立大学が難化していること。これに伴い、この数年は浪人生数が増加していること。

 これらに加え、さらに中学受験生が増えるかもしれないニュースが昨年飛び込んできました。

 東京都豊島区にある首都圏の女子進学校を代表する豊島岡女子学園が2022年度入試よりこれまで実施していた高校入試募集を停止し、中学入試のみの受け入れに切り替えるというものです。つまり、完全中高一貫校化に舵を切るのです。これにより、高校入試で私立の女子進学校を希望する受験生の貴重な選択肢が一つ消えてしまうことになります。

 そして、東京都豊島区駒込にある男子進学校の本郷は来春2020年度よりやはり高校募集を停止して、完全中高一貫校化に踏み切ることになりました。

 さらに、千葉県のみならず、いまや全国にその名を轟かせる進学校となった千葉県千葉市美浜区若葉にある共学校の渋谷教育学園幕張もその時期は未定ですが、完全中高一貫校化を検討しているといいます。千葉県では2017年度より理系に強い共学進学校として知られる東邦大学付属東邦が高校募集を停止したばかりです。


都立中高一貫校も高校から入れなくなる

 この流れは私学だけではありません。都立校でも同様なのです。

 都立中高一貫校をご存じでしょうか。2005年に東京都立白鴎高等学校(台東区)が附属中学校を開校し、初の都立中高一貫校が誕生しました。現在では、この都立白鷗高等学校附属中学校のほか、都立桜修館中等教育学校(目黒区)、都立小石川中等教育学校(文京区)、都立立川国際中等教育学校(立川市)、都立三鷹中等教育学校(三鷹市)、都立南多摩中等教育学校(八王子市)、都立大泉高等学校附属中学校(練馬区)、都立富士高等学校附属中学校(中野区)、都立武蔵高等学校附属中学校(武蔵野市)、都立両国高等学校附属中学校(墨田区)の計10校があります。なお、「~中等教育学校」の名称の5校は中学募集のみで、高校募集はおこなわれていません。一方、「~高等学校附属中学校」の名称の5校、名の通り中学校はあくまでも高校の付属としての位置づけであり、中学募集、高校募集双方をおこなっています。しかし、この5校の「~高等学校附属中学校」がこれから順次高校募集を停止するのです。2021年度は都立富士高等学校附属中学校、都立武蔵高等学校附属中学校が、2022年度からは都立両国高等学校附属中学校、都立大泉高等学校附属中学校が募集を停止します。なお、都立白鷗高等学校附属中学校のみは時期未定となっています。

 いずれにせよ、都内の受験生にとっては私立・都立ともに「中高一貫化」が進行している状況であり、このことが中学受験熱をさらに高くしていくと考えられます。


わが子の中学受験を考える前に

 さて、前編と合わせて記事をここまで読んだ皆さんは、「そういう状況になってしまっているなら、わが子には中学受験を選択させるしかない」と思われるかもしれません。

 実はこの発想こそが大変に危険なのです。

 ネガティブな理由に基づいてわが子を中学受験の道へ歩ませると上手くいかないケースが多いのです。

 なぜでしょうか。保護者が「仕方なく」わが子を塾に「通わせて」も成績は一向に伸びません。お子さん自身にもそのスタンスは伝染します。つまり、「塾に通わされている」という受け身の姿勢では学ぶための「器」など備えられるわけがないからです。

 わたしは中学受験で「算数」「国語」「理科」「社会」と幅広い学習ができるのはお子さんの視野を広げる有益なものと確信しています。

 学ぶことが好きになり、自ら問題に積極的に取り組んでいこう、分からないことはどんどん質問しようという姿勢を培った子は知識を吸収するその「器」をどんどん拡げていけるのです。

 このようにわが子を導いていくためにも、わが子の中学受験を後押しする「ポジティブな理由」を保護者が見つけてほしいと考えています。


大学受験



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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。
中学受験業界に精通されている矢野先生へ、ぜひ受験の不安や疑問などお寄せください!




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プロフィール

中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(文春新書)、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)。現在、プレジデントOnline、こそだてオウチーノなどで記事を連載している。


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