矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2020-06-30中学受験その他

質問

先生、こんにちは。小5の息子。新型コロナウイルスの影響による学校閉鎖も終わり、今は嬉しそうに登校しています。休校中は塾や学校の宿題をこなしていましたが、まったく覇気がなく、宿題も途中で飽きてしまい……。今後もこうした状況が起こらないとも限りませんし、心配になりました。友達の中には家のほうが勉強できたという子もいると聞きましたが、うちの子ときたらむしろ遊び癖、怠け癖がついてしまったように思います。学校も始まったことですし、通常通りに戻していきたいのですがどのように励ましたら良いでしょうか。


回答

 こんにちは。
 息子さんは学校が再開されて嬉しそうに登校されているとのこと。本当によかったですね。
 その嬉しさはそれまでの休校期間中に抱いた「閉塞感」の裏返しではないでしょうか。
 お母様は学校や塾の授業がおこなわれていなかったときに息子さんが「覇気がない」「宿題に飽きてしまう」状態になってしまったことを心配されていますが、それも仕方がないとわたしは考えます。

 先日、わたしは心理学者であるクルト・レヴィン『社会科学における場の理論』(ちとせプレス)という本を読みました。この本に書かれていたのは、人の行動はその場のさまざまな要素によって決定づけられるというもの。
 これを学校や塾という「学びの場」に置き換えてみると、子どもたちが学びに励めるのは、「学習環境に集中できる教室」「ライバルとなるクラスメイト」「講師による授業」「さまざまな教材やプリント」といった複合的な要素がそこにあるからでしょう。何より、他者とコミュニケーションを図れる機会もそこにはたくさんあり、そんな時間が子どもたちの「息抜き」になります。

 こう考えると、学校も塾もない……このような環境が子どもたちにストレスを与える可能性は高いと考えます。自宅に籠りっきりになってしまうと学習意欲が減退するのは当たり前のことです。

 お母様は「友達の中には家のほうが勉強できたという子もいる」とおっしゃいますが、そういうタイプの子どもたちは確かに一部いるでしょうが、わたしは息子さんのようなタイプの子のほうがよっぽど多いだろうと思っています。
 万一、今後「自粛期間」が再びやってきた場合は、たとえば1日の塾の学習は2時間などと決めて、だらだらと過ごさせず、「遊び」と「学び」をしっかり区切ることが大切です。

 息子さんは5年生。中学入試本番まであと1年半ほどですね。
 早く通常の学習を進めていきたいと焦る気持ちは十分理解はできるのですが、いままでの「異常事態」の期間が長かったことを考えると、息子さんに対してすぐに「完璧」を求めずに、学校や塾の学習に徐々に慣れていく……その様子を見守ってほしいと願います。

 息子さんが前向きに中学受験勉強に励める日がやってくるとよいですね!


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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。
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プロフィール

中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(文春新書)、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)。現在、プレジデントOnline、こそだてオウチーノなどで記事を連載している。


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