こんにちは。
塾の講師の顔色を窺いながら、その科目の力の入れ具合を決める……というのは大変よろしくないですね。
わたしが一番心配なのは、中学受験勉強のモチベーションが息子さんの「内」に存在していないのではないかという点です。極言すれば、勉強を「やらされて」しまっているのです。これはいけません。
わたしが平生より口にしていることがあります。
「教育」とは、「教え育てる」ことではなく、「(子が)自ら教わり、自ら育つように導く」ことであり、「学習」とは「(子が)自ら学び、自ら習う」ことなのです。この主体性が培われなければ、塾にいくら通おうが学力はなかなか伸びていかないものです。
中学受験の主役は息子さん本人です。それはそうですよね。入試を経てその中学高校に通学するのは息子さんなのですから。
ちょっと厳しいことを申し上げます。気を悪くはなさらないでください。
いまのままの姿勢だと中学受験そのものを考え直したほうがよいかもしれません。
「どうして中学受験するのか?」「本当に行きたい学校はあるのか?」「中学に入学後何か取り組んでみたいことはあるのか?」「塾に通っていることをどう思うか?」「いま目標にしている成績数値はどんなものがあるのか?」……。
これらをご家族の中で話し合う時間を設けるべきです。
その際、発言の中心は息子さんになるようにうまく導いていく必要があります。
息子さんに本心を語らせることで、ひょっとしたら勉強面で受け身になってしまっている思いもよらない原因が浮かび上がってくるかもしれません。
繰り返します。中学受験の中心は息子さんです。
息子さんがその中心になれないようでしたら、中学受験は時期尚早ということで、高校受験を選択されてもよいかもしれません。一方、いまの息子さんの学習姿勢はただの甘えであり、今回の話し合いを機に息子さんが気持ちを切りかえ、中学受験勉強に臨めるのであれば、親として温かく見守ってやってほしいと思います。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。