こんにちは。
娘さんは小学校5年生とのこと。入試まで1年以上ありますので、ゆったりとした気分でいろいろな学校の説明会に参加できますね。お母様が見学して気に入った学校があれば、今度は娘さんと一緒にその学校を訪れてみましょう。
私立中高一貫校は、創業者の強い思いがいまでも学校のそこかしこに息づいていたり、何層にも渡る数多の卒業生(OB・OG)たちが育んできた空気があったり、あるいは、長きにわたる生徒指導経験から編み出されたその学校独自の指導方針や学習カリキュラム、そして、行事があったり……。お母様には、どのような文化がこの学校にはあるのだろうという観点で説明会に参加されるとよいでしょう。
さて、ご質問への回答です。学校説明会での先生方の話に耳を傾けながらチェックしてほしいポイントは以下の通りです。
中高6年間でどんな子どもたちに育てたいと学校側は考えているか。
え? それ以外はないのですか? と戸惑われ、拍子抜けされるかもしれません。そうです。この1点のみで構いません。この点を保護者にしっかりと伝えられる学校、訴えることのできる学校は「良い学校」だとわたしは考えています。
もちろん、説明会で話される内容は、学習カリキュラムのこと、行事のこと、部活動のこと、進路指導および大学合格実績のことなど多岐に渡るでしょう。でも、それらは先に挙げた「中高6年間でどんな子どもたちに育てたいと学校側は考えているか」という点に付随するものでしかないのです。ここを無視して表面的な説明に終始するような学校があれば、果たして信頼を置ける学校なのか疑いの目を向けるべきです。
いまは10月下旬。これから多くの私立中学校で学校説明会や文化祭がおこなわれます。もちろん、これらのイベントには足を運んでみるべきです。その学校をより知るための資料も多く貰うことができるでしょうし。しかし、これらは「その学校の公のイベント」です。ですから、外部公開の「よそゆきの姿」であることが多いのです。
私はその学校の本質を見きわめたいのであれば、普段の学校の様子を見に行かれることを勧めています。たとえば、登下校の様子をつぶさに観察するだけでも、「どんな教育が施されているのか」を垣間見ることができますし、良くも悪くもその学校の意外な一面を発見できるかもしれません。
お母様、そして娘さんが素敵な学校と出会えることを願っています。
中学受験に関する相談や質問を受付中です!
毎月、お寄せいただいたお悩みの中から先生が2つを選んで上旬と下旬に回答いたします。(お悩みを採用させていただいた場合でも、ご連絡はしておりません)
すべてのご相談には回答できませんので、あらかじめご了承ください。また、個別のご質問に対して、メールでの直接回答はいたしかねますので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。