こんにちは。
お子さんの進学先を決めるのは塾講師ではありません。あくまでもご家庭の総意で決定すべきものです。もちろん、お子さんの受験結果を考えて、塾講師サイドから受験校のご提案、併願校のアドバイスをすることはあるでしょうが。
ご質問の内容から察するに、「そんなところよりこっちはどうだ」とその講師はさらに難しい学校を提示しているのだと思います。それが、塾として「難関校の合格実績」を作ろうとしている姿勢が透けて見えるならば、聞くに値しないものと考えます。
あくまでも我が家で熟考した上で、第1志望校を決めているので、それを変更するつもりは毛頭ない……そう言い切って構いません。
それで気分を害する講師などまずいないと思いますが……いかがでしょうか?
さて、ここで別の可能性を探ってみましょう。
すなわち、その講師が「良心」に基づいて別の学校を薦めている場合です。そして、現時点での志望校を別段貶しているわけではなく、ただお子さんからの伝聞でお母さんがそう思い込んでしまっていることはないでしょうか。
わたしもときにご家庭の受験候補になっているところ以外の(より学力レベルの高い)学校を提案することがあります。
それは、そのお子さんの中学校・高校生活を考えたうえで、精神的にも学力的にもより伸ばしてくれそうな学校はどこだろうかと考えた上のことです。
たとえば、お子さんの現状の偏差値が60としましょう。ひょっとしたら、ご家庭で進学を希望している学校のレベルは50かもしれない。でも、最初からトップレベルの成績で入学するよりも、お子さんと同レベル、あるいはより高いレベルの同級生が揃っている……そういう環境のほうがお子さんの学びをより喚起してくれるのではないかという判断を下すこともあります。
もし、お子さんを担当している講師がそのような観点で別の学校を薦めているのであれば、耳を傾けてもよいと思います。それを確認するためにも、一度お母さんとその講師で面談されてみてはいかがでしょうか。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。