矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2018-10-12中学受験の学校選び

質問

 矢野先生、初めまして。
 秋の早い段階で志望校をある程度絞っておくと良いと言われたので、本腰を入れて考え始めました。
 第1志望校は随分前から決まっており、うちの子はそこを目指してがんばっていますが、併願校をピックアップするのは親の役目と考え、わたしも勉強中です。(偏差値が近いだけでなく日程や移動など考えることが意外と多いのですね…)
 そこでご質問ですが、1月入試の学校というのはどうなのでしょうか。
 早めに受験本番の雰囲気を体験できるのはたしかに良いですが、もし落ちてしまったら落ち込みそうです……。
 お試しと思って気軽に受験するにはけっこうな倍率の高さだったので、悩んでいます。
 ただ、第1志望校の入試がいきなり最初に来るのもなあと不安を抱いています。
 1月入試の学校の決め方のポイントなどをお教えください。

回答

 こんにちは。
 入試直前期になりました。
 第1志望校は随分前から決まっているとのこと。その憧れの学校にお子さんが合格、進学できることを心より願っています。


 さて、第1志望校の合格を考える上で、1月に実施される入試に挑むことは有益だとわたしは考えています。
 1月は埼玉県や千葉県の学校だけではなく、都内を入試会場として寮制度を設けている地方の学校の入試がおこなわれます。


 東京や神奈川在住の受験生の大半は、1月入試を実施する学校は進学候補にはなりません。距離面を考えればいたしかたないことでしょう。
 しかしながら、これらの学校の入試は模擬試験ではありません。本物の「入学試験」です。「地元の」受験生の中には、その学校への進学を熱望し、受験勉強に日夜打ち込んできた子がたくさんいるはずです。ですから、1月入試の学校を受験する当日は「この学校が第1志望校だ」というくらいの強い気持ちで試験に臨むことが必要です。
 その学校の「合格」を本気で目指す受験生が含まれる「本番」は、緊張感が漂っていることでしょう。その独特の雰囲気の中で入試問題に「全力で」取り組み、実力を発揮しなければいけません。
 また、学校が試験会場になっているならば、ちょっとした「障壁」に出くわす可能性があります。教室の暖房が効きすぎていて「暑く」感じたり、反対に暖房の恩恵に授かれない場所で「寒い」思いをしたり……。机の表面がちょっと凸凹していて書きづらかったり、いつもと違う環境に戸惑ってしまい、試験の時間配分が上手くいかなくなったり……なんて経験をするかもしれません。



 このようにみていくと、1月の入試を受験することには大きな意味があるのです。
 良きにせよ悪しきにせよ、これらの経験こそが2月1日以降の「本命校」の入試本番に向けた絶好の「備え」となるのですね。
 ですから、「1月受験はあくまでも練習台」「どうせスベリ止め」などという甘い認識を持ってはいけません。もちろん、お母様はこのことを重々承知の上で心配されていることは文面から伝わってきますので、この点については杞憂に過ぎないと思いますが。


 わたしの経営するスタジオキャンパスの塾生たちのほとんどは1月に入試が実施される学校を複数受験します。これらの受験校をどこにするか保護者と相談する際は、子どもたちの第1志望校にする学校や、ひとりひとりの性格面などを考慮することになります。
 たとえば、第1志望校がいわゆる難関校の一角であれば、1月入試は「不合格」を覚悟の上で、倍率の高い難関校の受験を勧めることがあります。2月の第1志望校と同じレベルの子どもたちが集う入試を体感しておくべきだという考えがあるからです。もちろん、1月には「合格確実」な別の学校を受験してもらい、そこでちゃんと自信を付けさせておくことも忘れないようにします。
 今春の事例でいうと、わたしの担当していたクラスでは1月入試の学校で「不合格」を味わった子が3名いました。が、結果として全員が「本命」の学校に合格をしています。彼ら彼女たちは「不合格」にショックを受けながらも、結果が出たその日のうちにその学校の入試問題をやり直して、どこが悪かったのか自己分析したのです。手痛い経験があったからこそ、同様のミスを2月1日以降で避けられたのではないかとわたしは感じています。
 一方、自分に自信がなくすぐに「へこんで」しまうタイプの受験生には、あえて「連勝確実」な受験パターンを勧めます。通うつもりがない学校とはいえ、「合格証書」を受けとれば、親子ともに嬉しいですし、2月1以降に向けて弾みがつくことは間違いありません。


 なお、「進学候補には決してならない」と考えていたはずの1月の学校が、思いのほかアクセスのよいことに気づき、また、その雰囲気に親子ともに魅かれることで、突如「進学候補」になる事例も数多くあります。こうなると、「進学先」がひとつ確保できたという安心感が子の自信を生み出し、2月1日以降の入試で実力をいかんなく発揮できるケースもあります。


 入試本番まであとわずかですね。
 親子ともに素晴らしい中学受験が経験できることを祈っています。



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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。
中学受験業界に精通されている矢野先生へ、ぜひ受験の不安や疑問などお寄せください!




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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)がある。


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