こんにちは。
入試まであと少しですね。
にもかかわらず、模試の結果から志望校の合否判定が厳しいのですね。お母様、そして、お嬢様が落胆する気持ちはよく理解できます。
メールの文面だけでは、詳しいことは分かりませんが、志望校合格を目指して中学受験勉強を始めたのは3年生からでしょうか? あるいは、4年生からでしょうか? いずれにせよ、塾に通い、長い時間をかけて受験勉強に打ち込んできたものと思われます。
だからこそ、この時期に受験を「ストップ」するのは「なし」です。
お嬢様には一番行きたい学校、第1志望校があるのですよね。であれば、模試では厳しい判定が出ているのかもしれませんが、第1志望校は必ず受験してほしいと思います。
その上で、「安全校」をしっかり確保してもらいたいとわたしは考えます。
具体的には模擬試験の平均偏差値より-3~-6のラインが「合格可能性80%」となる学校です。
いまからでも遅くはありません。そのような学校の資料を取り寄せたり、直接見学させてもらったりしましょう。いまは消極的な気持ちからしれませんが、意外なところに「掘り出し物」があるかもしれません。
「そんなにレベルの低い学校には通わせたくない」
お母様はひょっとするとそう思われるかもしれません。
たとえば、近年の中学入試は女子校中心に「定員割れ」状態のところが多くあります。
「定員割れの学校に進学する意味があるのか?」と考える保護者も大勢いらっしゃるでしょう。でも、「入試レベル」以外の側面、たとえば、教育方針や校風、諸活動などに着目すると、わが子にとって「かけがえのない学校」になる可能性だってあるのです。
以前、定員割れを引き起こしているある私立女子中高一貫校の理事の方からこんな話を伺いました。
「小学校の卒業アルバムで『あれ? こんな子、ウチのクラスにいたっけ?』って言われるような物静かで全く目立たない子っているでしょう。わが校はそんな子ばかりが集まるのです」
理事の方はこう続けました。
「だから、わが校では『いるかいないか分からなかった』そんな子たちひとりひとりに対して、中高6年間の中で1度はスポットライトを照らす機会を作ることを心がけています」。「誰だって自分に注目してくれるのは嬉しい。そういう成功体験を味わわせてやりたいのです」
実際、この学校に通っている子の保護者から次のようなことばを頂戴したことがあります。
「まさかあの子が学園祭の舞台に立って笑顔でいる姿を見るとは以前は全く想像できませんでした。あの学校に引き合わせてくださったことを本当に感謝しています」
偏差値はあくまでも一つの尺度に過ぎないとわたしは思っています。
お母様はどのようにお考えでしょうか?
ここまでお嬢様ががんばって取り組んできた受験勉強。
もちろん、第1志望校に合格できるのが一番ですが、お嬢様に確かな結果=「合格証書」が手元に届くような受験パターンをお母様が構築してやってください。
「子どもの気持ちをどのように導けばよいでしょうか」とお母様はおっしゃっていましたが、わたしは中学入試に対して「腹を括って」臨む姿勢をお母様がお嬢様に見せることこそ大切なのだと考えています。
お母様とお嬢様に笑顔の春が到来することを心から願っています。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。