矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2019-01-11中学受験の学校選び

質問

 先生、こんにちは。第一志望を公立中高一貫校にしようとしている小5の子を持つ母親です。
 公立中高一貫校を第一志望にする場合の、併願校について、アドバイスをいただけますか。
 経済的に負担が少ないため、公立の中高一貫校なら…と思って小4から受験勉強にのぞんでいますが、併願校に悩んでいます。
 受験を、公立中高一貫校1校のみにするか、私立を併願するか。
 もし私立中学校だけ受かった場合、経済的に進学させるのは厳しいため、そもそも併願させないほうが良いかもしれないと思っています。よろしくお願いします。

回答

 こんにちは。
 公立中高一貫校を志望されているのですね。経済的な負担が少ないうえに、各校の特色もさまざまで魅力のある選択肢だと思います。

 首都圏では私立中学校を第1志望校にしている子どもたちが近年は公立中高一貫校を併願する流れも生まれています(公立中高一貫校は2月3日入試ですので、2月1日・2日を中心に実施される私立中学校の入試と掛け持ちしやすいのです)。ただし、難関校に合格できるレベルの子であっても、事前に対策ができていないと公立中高一貫校にはなかなか合格できません。なぜなら、事前の対策が不十分で本番に臨むケースがほとんどでしょうから。

 なぜでしょうか?
 それは、私立中学受験向けの学習と公立中高一貫校向けのそれが全く異なるからです。

 前者は難解な語句や知識が必要ではあるものの、何年か塾通いを続ければ得点に結びつきやすい問題揃いということができます。
 一方、後者は「適性検査」と呼ばれ、基礎的な一般常識、教養を満遍なく身に付けているかが試されています。また、作文(論述)が多く表現力も必要となります。正直申し上げると、塾に通えば確実に得点力が向上すると言い切れない性質の問題です。
 ともに、長い時間をかけて対策する必要性があるのですが、両者はいわば「水と油」の関係といえるでしょう。
 ですから、公立中高一貫校を志望して、その対策に注力してきた子が、私立中学校を併願しようとしてもなかなか良い結果にはなりません。

 しかしながら、近年は公立中高一貫校を志望する受験生を取り込もうとする「適性検査型」の入試をおこなう私立中学校も登場しています。もし、併願されるならばこのような入試スタイルの私立中学校を選ばれるとよいでしょう。
 ただ、「経済的に進学させるのは厳しい」ということであれば、無理して私立中学校を受験する意味はないようにも思います。

 たとえば、お母様の懸念されるように、公立中高一貫校は残念な結果だったが、私立中学校には合格したとしましょう。
 「ちゃんと結果が出て良かったね。これを自信の種にして、これからの公立中学校でがんばろう」と親子ともに割り切れれば何も問題はありません。けれど、子が「合格した私立中学校にどうしても通いたい」と言い出したら(「合格証書」をもらえればそう言い出す可能性は高いでしょう)、親として困ってしまうのではないでしょうか。
 それならば、公立中高一貫校一本にしたほうが良いと考えます。

 最後に。
 先述した「適性検査型」の入試をおこなう私立中学校の中には「特待生制度」(学費免除など)を設けているところが幾つかあります。そのような学校を調べてみるのもよいかもしれません。




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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。
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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。


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