こんにちは。
息子さんは水泳が得意なのですね。泳ぐことが苦手なわたしは憧れてしまいます。
息子さんがこれから先も水泳を続けていきたいという確固たる意志があるのならば、継続的に水泳に取り組んでいくべきだと思います。スポーツであれ音楽であれ、心技体のバランスを維持しながらその向上に努めなければならない習い事は、「間を空けてしまう」ことはできる限り避けたいものです。どれも元の状態(レベル)に戻すには、休んだ期間の何倍もの時間が必要と言われています。
さて、ご質問を拝読していて引っかかる点がありました。
それは「水泳」か「中学受験」のどちらを取るかという二択でお考えのところです。
どちらも両立しながら進めていくという道は(息子さんの性格にもよりますが)考えられないものでしょうか?
わたしの経営する中学受験専門塾スタジオキャンパスでもハードな習い事と両立しながら、見事に志望校合格を果たした子は大勢います。
たとえば、シンクロナイズドスイミングの強化選手として活躍していた子は、週3回の塾通いの日以外はずっとプールに通っていました。
少年野球のエースとして秋口まで大会に参加していた子もいます。
12月の下旬におこなわれるバレエの発表会で主役を張った子もいます。
そう、これらはすべて受験生(6年生)の話であり、昨年、一昨年の事例です。
彼ら彼女たちに一脈通じているのは「時間の使い方が抜群に上手い」点です。
習い事に精励している子たちはほかの受験生たちよりも「時間の重み」を感じていたのかもしれません。そして、何か一つのものに秀でている子は、物事に集中するという姿勢が出来上がっていることが多いのです。彼ら彼女たちはちょっとした隙間となる時間を利用した勉強を積み重ねて、成績を向上させ、見事に難関校合格を実現したのです。
もちろん、口で言うほどこれは簡単な話ではありませんが、水泳と勉強を両立できるか否かをいま一度熟考してほしいと願っています。
老婆心ながら、最後に一言。
息子さんが納得しないまま、中学受験のために「水泳」を取り上げるようなことは絶対にしないでください。このような子は中学受験勉強を「自ら取り組むもの」という意識が持てず、「やらされているもの」という感覚になってしまいます。こうなってしまうと、学力伸長を図るのは難しくなってしまうでしょう。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。