矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2019-06-05中学受験の学校選び

質問

 はじめまして。小4の娘が中学から美術を学びたいと希望しており、中学受験を考え始めました。
 きっかけは、学童のあとに預けられる場所の先生が美術を学んでいて、時期によって、恐竜だったり、アニメのキャラクター作品だったりを立体的にした作品を飾ってくださり、それがとても好きで、その先生みたいになりたいと言っていること。また、娘は早生まれもあり、精神的に少し幼さが残り素直過ぎるので、中学では私立に行かせて、自由に伸び伸びと勉強してほしいと思っています。
 しかし、もし美術以外のものに興味が出てきたらと考えると、美術は高校のタイミングで決めてもよいのかと思っており、まだ決めかねています。もし受験する場合、今後どういったタイミングで志望校を決定したら良いかアドバイスをお願いいたします。

回答

 こんにちは。
 お嬢様が心から憧れる先生と出会えてよかったですね。「美術を学びたい」という具体的な目標をお嬢様自身が掲げ、中学受験に踏み切るのはある意味「理想的なスタート」といえます。

 美術に力を入れている女の子の通える代表的な私立中高を何校か挙げますと、まず女子美術大学付属(杉並区/女子校)でしょう。その名の通り、美術教育を中心としたカリキュラムを編成しています(他科目の授業であっても、美術と関連した横断的な内容を取り入れるなどの試みをおこなっているほど)。進学実績に目を向けても、大半の卒業生たちが系列の女子美術大学をはじめ、美術と関連する分野へ進みます。
 そのほかにも、以前芸術コースがあった名残で、いまでも芸術分野の選択講座が充実している吉祥女子(武蔵野市/女子校)。女子進学校を代表する難関校ですが、美術系の大学に進学する子がたくさんいるのも特徴的です。
 あるいは、系列校に横浜美術大学があるトキワ松学園(目黒区/女子校)。この学校は教育の三つの柱のうちのひとつが「美の教育」です。校内のいたるところに美術作品が展示されていて、その道を志す子どもたちが多く通っています。
 そのほか、美術系の部活動が充実している共学校・女子校は数えきれないほどあります。合同説明会や学校説明会、あるいは、文化祭など、いろいろな学校を見学されることをおすすめします。

 さて、懸念されているように、憧れの先生が身近にいるとはいえ、小学校4年生の時点で「美術」への道を志そうと決めてしまうのは早計です。「美術」にさらに興味を抱き、自ら作品作りに精力的に取り組めるようお嬢様を導きつつ、中学受験勉強が捗るよう支えてやってほしいと願います。
 最終的な志望校選び(併願校を含む)は6年生の夏が明けてからでも決して遅くはありません。そのときにお嬢様の美術への熱がどうなっているのかを基準にして受験校を決められるとよいでしょう。



 最後に、老婆心ながら。
 「娘は早生まれもあり、精神的に少し幼さが残り素直過ぎる」ということばに少し引っかかりを覚えました。確かに、早生まれの子はとりわけ幼少時において体力面・精神面で周囲の同級生たちと比較するとその成長がやや遅いケースが見られます。それでも、この「早生まれだから……」という文句は今後禁句にしてほしいのです。この文句はお嬢様の成長を阻む呪いのことばになる可能性を孕んでいると考えます。

 お嬢様の未来を切り拓くための良い中学受験になることを祈っています。


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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。
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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。


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