こんにちは。
ご存じかもしれませんが、昨今の首都圏中学受験の世界では大学付属校が人気を博しています。
その理由を大まかではありますが、2点に分けて説明します。
① 2020年度、2024年度よりおこなわれる「大学入試改革」の全貌が見えない状態であり、わが子が大学受験に挑むことに不安を抱く保護者が多い。
② 文部科学省主導の「大学入試定員厳格化」政策の影響で、首都圏の私立大学入試では熾烈な争いが繰り広げられていて、各校の難度も上がっている。また、浪人生の数も増加の一途を辿っている。このため、わが子を大学付属校に入れることで安心感を抱きたいという保護者が多い。
さて、中学受験の段階でお子さんが大学付属校に進むのは、保護者サイドからすると、お子さんが大学までの道のりを確保できることになり、魅力的に映るかもしれません。
しかしながら、お父様のおっしゃるご不安はよく理解できます。たとえば、息子さんが立教大学の付属校に進学したとしましょう。ところが、高校生になってから「医者になりたい」と言い始めたらどうしましょうか。なぜなら、立教大学に医学部はないのですから。そうなると、その時点から医学部進学を目指しての予備校通いが必須になります。そして、その予備校で席を並べている中高一貫の進学校に通う子どもたちの大半が、「先取り学習」をおこなっていて、受験勉強スタート時点にもかかわらず、既に大きな差が生じてしまうこともあるのです。系列大学への進学率が高い付属校の多くは、大学受験など意識しないゆったりとしたカリキュラムを組んでいるものです。
一方、最近は「他大学への進学」のサポートを充実された付属校も登場しています。
たとえば、中央大学横浜中学校高等学校。中央大学の付属校ではありますが、他大学受験のためのカリキュラムが用意されています。国立大学、もしくは(中央大学に該当学部のない)私立大学を目指す子たちには「中央大学への推薦権を保持」した状態で受験できるのです。
このように、付属校といってもそれぞれに特色があります。事前にその学校がどのような教育体制・進学カリキュラムを用意しているのかを念入りに調べることをお勧めします。
また、日本大学や東海大学といった「総合大学」の付属校も魅力です。総合大学ゆえ、たいていの学部・学科は揃っています。このような学校を検討されるのも手ではないかと思います。
お子さんには中高時代にある特定の部活動や課外活動を充実させたい、もしくは、将来目指したい道がほぼ決定しているということでなければ、進学校を候補に入れてよいのではないかと考えます。
親子ともに心から進学したいと思える魅力あふれる学校を見つけられることを心から願っています。
中学受験に関する相談や質問を受付中です!
毎月、お寄せいただいたお悩みの中から先生が2つを選んで上旬と下旬に回答いたします。(お悩みを採用させていただいた場合でも、ご連絡はしておりません)
すべてのご相談には回答できませんので、あらかじめご了承ください。また、個別のご質問に対して、メールでの直接回答はいたしかねますので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。