こんにちは。
これはなかなか難しい問題ですね。
1年間で学校に通学するのが250日としましょう(授業のあるのは200日程度でしょうが、部活動や行事の準備などを考えるとこんなものでしょう)。1回の往復で4時間かかるので、1年間では1000時間、中高6年間では家と学校の行き来に6000時間費やすことになるのです。
始発駅なら確かに電車の座席に座って読書でもして有意義な2時間が過ごせそうな気がします。でも、電車に乗った際に周囲の中高生たちをチェックしてください。読書する姿はあまり見かけず、スマホに没頭している姿が目につかないでしょうか。お嬢様が毎日往復の4時間「スマホ漬け」になる可能性を考えるとぞっとしてしまいます。
また、気になるのは「非常事態」の際に、学校から家までの距離があることです。
たとえば、2011年の東日本大震災の際には自宅に帰れず学校に宿泊したという私立中高生たちが大勢いました。なお、その直後の入試(2012年度)では「川を渡って通う学校」の受験を敬遠するご家庭が増えました。
お母様はこの機会にさらに大きな天変地異を想定して学校を考えるのも大切なことではないでしょうか。家までのルートや学校の防災環境(備蓄の有無のチェックなど)を確認しておくべきでしょう。
さて、いままでお嬢様自身、受験候補校となる学校には何校ほど足を運ばれましたか。
この秋にでも、多くの学校にお嬢様を連れていかれるとよいでしょう。いま憧れている学校より近くに、もっと気に入る学校があるかもしれません。
いろいろなリスクを考えた上で、あの手この手を尽くした上で、それでも2時間要する学校がお嬢様にとって「かけがえのない学校である」という判断をご家庭が下せば、その学校を目指して中学受験勉強に邁進してほしいと思います。
お嬢様の中学受験が上手くいくことを心より願っています。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。