矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2021-05-17中学受験の学校選び

質問

 先生、こんにちは。小6の娘の母親です。娘は小4から某大手塾に通いました。しかし、4月のアタックテストで4科目偏差値52、算数に至っては38をとってしまい算数の特殊算でつまずき自信が全くなくなってしまいました。このため5月に退塾させました。
 その後、今後のことを話し合いました。夫は体調不良を起こしてまで中学受験させる必要はないとの意見。娘は、お母さんとお父さんに任せるよと。
 私立型の勉強の負荷が高いのかと考え、公立の中高一貫校の文化祭へ気分転換がてらに連れていったところ、適性検査ならやってみたい!というので都立専門塾へ転塾を決めたのが4年生の冬季講習でした。今もその塾へお世話になっているのですが、やはりある程度特殊算が絡んでくるので模試の偏差値も伸びず首都圏模試の偏差値で50ギリギリを漂っています。
 算数は今年の2月から家庭教師をお願いし4年生の問題まで遡り演習を重ねてもらっています。しかし、娘も自学自習を習慣化してやっているし、家庭教師、塾の宿題も真面目に取り組んでいますが成績が伸びず、この子の伸びしろはないのかとも親も自信がなくなりかけています。
 中学受験は撤退する気持ちはないので受検はしますが、偏差値30~40台の私学でも近所の公立中へ通わせるよりメリットはあるのでしょうか?アドバイスいただけますと幸いです。


回答

 こんにちは。
 娘さんの具体的な状況がよく分かりました。
 今回は少々手厳しいことを申し上げますが、そこはご容赦ください。

 結論から言うと、いまのご家庭の状況では中学受験自体回避することを考えてもよいのではないかと考えました。もちろん、上述のご質問の中に盛り込まれた情報を見る限り……という話です。

 「偏差値30~40台の私学でも近所の公立中に通わせるよりもメリットはあるのか?」というご質問がありますが、これは「分かりません」と答えるよりはありません。その点におけるメリット・デメリットの判断はご家庭が下すよりほかないからです。偏差値的には決して高くはない学校でも、行事や部活動が充実していたり、その学校独自の魅力ある教育が行われていたり、伝統校を中心に大学の指定校推薦枠が充実していたり……そんなさまざまな長所をその学校に見出して、大半の中学受験保護者は受験を決めるのです。ですから、「偏差値30~40台の私学」と一括りにする感覚にわたしは違和感を抱きました。

 公立の中高一貫校は高倍率のところが多く、昨今は「私立中学受験組」が併願校のひとつとして参入する傾向が強まっています。いまの成績状況ではちょっと厳しいかもしれませんね。

 ご質問に目を通していて、とにかく気になるのはご家庭が受験に対して「腰を据えて」取り組んでいないように感じられるところです。
 「算数の特殊算でつまずいて自信をなくした」ことがきっかけで塾を辞めたとありますが、算数を克服するために時間をかけて課題を抽出し、改善を図るために具体的な方策を講じたでしょうか。塾通いを始めてたった数か月後の模擬試験の数値だけを見て、「いまのままではダメだ」とすぐにあきらめてしまったのではないですか。
 また、お嬢様の「お母さんお父さんに任せる」という受け身の発言も大変気にかかるところです。

 受験の主役は紛れもなくお子さん本人です。本人がある程度「その気」にならなければ、成績は一向に伸びないのは当たり前のことです。わたしは常々「やる気スイッチ」なるものがもしあるならば、それはご両親や塾講師が直接押すことはできず、お子さんが自ら押さないといけない……そんな性質を持つと考えています。
 ちょっとした成績動向に対して一喜一憂、右往左往しているご両親を見て、お嬢さんが何だか「冷めて」しまっているように感じられるのは気のせいでしょうか。

 わたしが一番言いたいことは「わが子に対してすぐにあきらめないでほしい」ということです。伸びしろなどどんな子にもあるに決まっているじゃないですか。

 もう一度「受験」そのものについて家族で話し合いを重ねてください。
 そして、親がとるべきスタンスについて熟考してほしい。心からそう願います。


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矢野耕平先生
中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。




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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。


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