矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2016-08-25中学受験の勉強法

質問

夏休みがもうすぐ終わりますので、受験生のわが子はこれから志望校の過去問に取り掛かる予定です。
第一志望校と併願校の過去問は、何年分くらい解くべきでしょうか。
また、効果的な過去問の取り組み方や、注意点などアドバイスをいただけますか。

回答

 こんにちは。
 夏休みが終わると、入試本番まで残すところ僅かですね。
 さて、ほとんどの塾ではこの9月より志望校の「過去問」(過去出題された入試問題)の演習の指示を子どもたちに課しています。

 さて、第一志望校及び併願校は何年分解けばよいのか? というご質問ですが、受験する学校によってその回答内容は異なります。受験するそれぞれの学校は「進学候補か否か」「入試問題が独特か」「入試回数はどれくらいあるのか」……そういった様々なことを複合的に考えた上で、どのくらいの熱量を持って過去問に取り組めばよいのかを決めなければいけません。さらに、入試本番まで残された時間は有限ですから、受験校すべての過去問10年分を演習、その見直しまでおこなうのは無理というものです。

 それでは、どのように計画を立てて過去問に取り組むべきなのでしょうか。
 わたしの経営するスタジオキャンパスに通うAさんを具体例として挙げて、説明してみましょう。


 スタジオキャンパスに通うAさんは模擬試験の平均偏差値は60です。第1志望校はA中学校(偏差値64が合格率80%ライン/以下同じ)。2月1日・3日の2回受験をするつもりです。第2志望校は2月2日・4日に入試があるB中学校(偏差値58)であり、第3志望校は2月1日の午後に入試がおこなわれるC中学校(偏差値54)です。3校とも進学候補として考えています。また、1月には埼玉県のD中学校(偏差値52)と千葉県のE中学校(偏差値49)を受験しますが、あくまでも2月1日を見据えた入試であり、距離的なことを考えても進学候補ではありません。

 さて、Aさんが受験する学校それぞれの入試問題の特徴は以下の通りです。

A中学校
……国語・社会・理科は記述問題が多い。算数は途中式まで採点対象になる。
B中学校
……どの科目も記号問題が多く、模擬試験のようなオーソドックスなもの。
C中学校
……国語は毎年記述問題が出るが、それ以外の科目はオーソドックスなものが出題される。
D中学校・E中学校
……基礎知識を丁寧に問う標準的な問題揃い。

 なお、スタジオキャンパスでは、毎週土曜日・午後に6年生は教室に集まって、過去問演習に取り組みます(各自が制限時間をタイマーなどで測りつつ)。課されているのは1校1年分(4科)の演習。その日の夜、翌日の日曜日を使って、「過去問ノート」に答案貼付・丸つけ・直しをおこない、それを月曜日の授業時に提出。各科目担当者が添削の上、水曜日に返却。水曜日~金曜日にかけて、添削を参照しながら再度やり直しをおこないます。これが過去問取り組みに関する1週間の流れです。


 過去問の計画を立てる場合、「時間的な制約」を無視してはいけません。わたしの塾では前述した通り、1週間に1校1年分(4科)の演習・丸付け・直し・(添削を受けての)再度のやり直しを課しています。

 9月~12月(冬期講習会直前)までで16週間程度。換言すれば、過去問16年分がこの期間内で取り組むことのできる限界量となります。この16年分を志望順位や各校の入試問題のクセの強さを考慮しつつ、どう割り振っていくか決めていかねばなりません。

 それでは、先のAさんは9月~12月の16週間で取り組む過去問の配分をどうすればよいでしょうか。わたしなら、次のような配分を指示します。

 A中学校……(1回目入試)4年分/(2回目入試) 4年分
 B中学校……(1回目入試)3年分/(2回目入試) 3年分
 C中学校……(午後入試)1年分/(国語のみ) + 4年分

 A中学校の入試問題のクセが強く手こずるようであれば、思い切ってA中学校を各5年分、B中学校を各2年分取り組むよう調整してもよいかもしれません。

 なお、D・E中学校は進学候補の学校でなく、入試問題も基礎知識が問われる内容ですから、1月のD・E中学校入試直前期に各1年分取り組めば十分です。

 また、入試直前の1月はD・E中学校1年分のほかに、いままでの「過去問ノート」を見返して、自身の弱い部分をもう一度見つめなおすことが肝要です。

 この「過去問ノート」とはどのようなものか、ご参考までに「算数」「社会」のノート例を公開します。

※下の画像をクリックすると、PDFファイルが開きます



志望校合格のためにはなぜ過去問の演習・直しが不可欠なのか。その意味と、過去問に取り組む上でのポイントを次回公開したいと思います。ご期待ください。


※第4回目(後編)は9月上旬に公開予定です。

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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。
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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。


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