矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2016-09-07中学受験の勉強法

質問

夏休みがもうすぐ終わりますので、受験生のわが子はこれから志望校の過去問に取り掛かる予定です。
第一志望校と併願校の過去問は、何年分くらい解くべきでしょうか。
また、効果的な過去問の取り組み方や、注意点などアドバイスをいただけますか。

回答

 こんにちは。
 今回は前回のご質問(過去問の取り組みについて)の続編です。

 各学校の「過去問」は所詮過去の問題であり、もう二度と同一の問題はその学校では出題されることがありません。されど「過去問」の取り組みは大切です。なぜでしょうか。

 今回この回答を用意するに当たって、都内の有名私立女子校の国語科教諭に入試問題について直接尋ねてみました。そのやり取りの一部を公開します。


矢野「新しく入試問題を作成する場合に、自校の過去問を見返すことがありますか?」

国語科教諭「もちろん見返しますね。昨年度までと比較して難易度にブレはないか、問題の体裁はちゃんと過去のものを踏襲しているかをチェックしています」

矢野「やはり貴校を受験するに当たって過去問にはしっかり取り組むべきですか」

国語科教諭「取り組むべきでしょう。いま申し上げたように、過去問をベースにして、新しい入試問題を作成しています。また、学校説明会などでも『過去問をたくさん解いてください』とアドバイスしていますしね。入試問題を作成する教員たちには、『わが校に入学したいと過去問にしっかり取り組んで準備をしてくれる受験生に良い点数を取ってほしい』という思いが根底にあるはずです」

矢野「過去問をしっかり解いて傾向を把握するのは大切ですか?」

国語科教諭「もちろん大切です。入試問題には相当のこだわりを持って作成する教員が多いですからね。たとえば、国語でいうと特定の教員が好むテーマの題材なんてものもありますしね。これは設問でも同様ですよ」


 いかがでしょうか。過去問の重要性が伝わってくる話ですよね。

 実際、特定の学校の過去問を何年分も研究していると、問題を作成する教員の「クセ」が浮かび上がってきます。国語を例に挙げると、「物語文は複雑な人間関係を描いたものが毎年出題されているな」とか、「説明文では哲学的なテーマが多く出題されるな」とか、「選択肢では同じようなパターンで惑わそうとしているな」とか……様々なことがみえてきます。

 もちろん、塾側はそのような「クセ」を子どもたちにしっかり伝えることを忘れてはいけませんが、子どもたちがその「クセ」を見抜き、それらを咀嚼して得点力へと昇華させるためには、自らが過去問に挑む中で実感しなければいけません。


 さて、最後に過去問に取り組む上での注意点を3点にまとめます。

 

1.制限時間内で解くこと。

 最初は時間無制限でじっくりと……は必要ありません。入試問題に取り組むスピードを体感すべきと考えています。丸付け・見直しの際にじっくり反省できればよいのです。

2.得点に一喜一憂しないこと。

 入試本番で合格点を超えればよいのです。過去問の得点が悪くても落ち込む必要はありませんし、そのまた逆も然り。しかも、配点や模範解答、部分点の与え方などを公開している学校は少数ですから、算出した得点は必ずしも正しいとは限りませんし。

3.塾をぞんぶんに利用すること。

 たとえば、記述問題や算数の立式など「△」(部分点がある)の対象となる問題が数多くあります。そんな問題の採点は塾の講師に依頼して、客観的に出来不出来を判断してもらうことが必要です。なお、ネットで公開されていたり、民間が発行したりしている「過去問の模範解答」には首を捻りたくなるような解答例が掲載されていることがあります。また、志望校で好んで出題される問題の類題などを塾に依頼して用意してもらうのも効果的です。


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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当しています。
著書として『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)など多数あります。
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プロフィール

1973年東京生まれ。大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立し、代表に就任。東京・自由が丘と三田に校舎展開している。また、学童保育施設「ABI-STA」特別顧問 も務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『iPadで教育が変わる』(マイコミ新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)など多数。2018年12月上旬に「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる! 」(SB新書)が刊行。


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