こんにちは。
普段の成績は良いのに、模擬試験の成績が芳しくないとのこと。それは心配ですね。
それでは、考えられる原因を幾つか書き出して、それぞれの対処法を示してみましょう。
最も考えられる原因としては、お子さんがある種「一夜漬け」的な学習に陥ってしまい、総合的な学力が培われていないということです。これは毎週のようにテストが実施される塾にお通いのお子さんに多く見られる現象です。
たとえば、週末にテストがあり、その週に学習した範囲から出題されるとしましょう。すると、この週末のテストで良い得点をとるためだけの学習に(無意識のうちに)なってしまっている。換言すれば、テストが終わればもうその該当範囲は「用済み」になってしまい、記憶から削除されてしまう。そして、また次の週末に向けての学習が始まる……その繰り返しになっているのかもしれません。
そうなると、毎週毎週のテストで高得点を取ることができても、より広い範囲で出題される模擬試験では思うように得点できないという事態が生じてしまいます。
この場合、学習計画の全面的な見直しが必要です。たとえば、週に1度は前週、前々週の学習範囲の復習に充てるなどして、より広い範囲の定着を目指した学習を意識すべきです。
次に、これはあまり考えたくない原因ですが、子が親の前でだけ「いい恰好」をしていることです。すなわち、普段から成績をごまかしている可能性を吟味しなければいけません。良い点数を取った確認テストやプリントだけを親に見せ、そうでないものはひた隠しにしてしまう……。だからこそ、模擬試験の成績は実力通りなのに、親にとっては普段と比較して著しく悪いように思えてしまう。
そのような場合は、お子さんを責め立てるよりも親である自身の言動をまず見つめ直すことが大切です。子に対してプレッシャーをかけすぎていないか、あるいは、得点結果ばかりを気にする発言をしていないかどうか……。親のスタンスを少し変えるだけで、子が安心して「ミス」をさらけ出せることもあります。
最後に挙げたい原因は、文字通り「本番に弱い」、つまり、メンタルが弱いことです。
もしお子さんが受験生ということであれば、中学入試までに残された時間はあまりありません。この場合、とにかく他塾の模試などを含めて「場数」を多く踏ませることも必要でしょう。
また、第1志望の学校の入試が2月1日以降であれば、1月に埼玉県・千葉県・地方(首都圏入試会場)の学校の入試を数多く受けて、入試の雰囲気に十分慣れておくことをお勧めします。
お子さんが自信を持って「堂々と」入試本番に臨めることを願っています。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。