こんにちは。
「あと1年ほどの勉強で」とありますので、お子さんは5年生なのでしょう。
明確な志望校があるにもかかわらず、現状ではなかなか手の届かない成績結果になってしまっている……保護者はもどかしい思いを抱いてしまうでしょうし、当人もつらい気持ちになっていることでしょう。
あと1年で偏差値(学力的な数値)はいかほど伸長するか?
お子さんのことを直接知らないわたしには残念ながら「分かりません」としか言いようがありません。
無理に回答をひねり出すならば、「これからの1年間で成績が上がる子もいるし、あまり変わらない子もいるし、下がる子もいる」ということです。
別にふざけているわけではありません。正直に答えるとこういう回答にしかならないのです。
ただし、成績をぐんと伸ばせる子とそうでない子の違いならば説明できます。
それは「器の容量」の差異にあります。
中学入試までの1年間、算数・国語・理科・社会とも膨大な知識、解法などを吸収することが必要です。子どもたちを観察していると、それらのものをぐんぐん吸収できる「大きな器」を備えている子もいれば、反対にほとんど吸収できない「小さな器」しか有していない子もいます。
別に先天的な能力を指しているのではありません。
この器の容量を決定づけるのは「学習」の姿勢だと確信しています。
「学習」と書きましたが、自ら「学ぶ」「習う」姿勢を持っている子は成績をぐんぐん伸ばしていきます。つまり、主体的に中学受験勉強を進めていける子、学ぶことを楽しめる子はびっくりするくらい多くの知識を吸収していきます。
一方、他者から「学ばされる」「習わされる」姿勢の子は、連日のように塾へ通ったとしても、成績向上を望むのはなかなか難しいでしょう。勉強に対して受け身の子は、ただそこに座っているだけで自ら考えることを放棄している場合が多いのです。
ここまで説明すればお分かりかと思います。
「あと1年でどれくらい成績が伸びるか?」を心配する前に、保護者がお子さんの「学習」姿勢をチェックすべきです。もしお子さんの学習姿勢が受け身であれば、その姿勢を保護者としてどういうスタンスでどういう働きかけをおこない改善していくのかを熟考すべきと考えます。
その上で、今後のお子さんの成績推移を慎重に見守っていき、現時点の第1志望校を目指すのか、あるいは、志望校変更するのかを決定すべきかと思います。
お子さんが前向きに学習に励み、成績をぐんと伸ばせることを願っています。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。