こんにちは。
中学入試国語の読解問題をみると、かなりの長文を読ませる学校が多いですよね。制限時間内に解答作業を終えるためには、確かに文章を「速く」読む必要性があります。
ですから、「速読」を謳うアプリやソフト、あるいは、そのための授業は何だか魅力的に感じられることでしょう。わたしも「速読」の手法が気になり、一度調べてみたことがあります。そして、小学生に「速読」の練習は不要であるという結論を出しました。
わたしは「速読」は「精読」の積み重ねでしか達成できないという立場です。
「精読」すらできない子の「速読」など、ただ文章を読み飛ばしているに過ぎない。わたしはそう考えます。
当たり前ですが、「読解」とは文章を「読み解いていく」ことです。文章の細部を丁寧に読まずして問題に太刀打ちできるわけはありません。
しかも、長い文章を読みなれていない、その経験がまだ乏しい小学生に対して、いきなり「速読」を求めるのは無理があると考えています。有益どころか、子にとって「害」になる危険性すら孕んでいると思うのです。
冒頭に書きましたが、中学入試段階では「速読」が求められます。「長文の内容を部分的にも巨視的にも理解しながら、速く読める」ように仕上げるには、多くの読解問題と格闘しつづけるしか道はありません。もちろん、それに加えて読書経験も必要不可欠でしょう。
お手軽に「速読術」が身につけられるマジックはこの世に存在しないのです。
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中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)。現在、AERA dot.やプレジデントOnline、ビジネスジャーナルなどで連載記事を執筆している。