矢野耕平先生の中学受験お悩み相談室

2020-10-30中学受験の勉強法

質問

小5の息子がいます。志望校の入試に作文が出題されるのですが、息子は作文がとにかく苦手で、自分の意見があるのにもかかわらず、それを文章でまとめるとなると、うまくいきません。対策本などを参考になるべく多く文章を書くようにしているのですが、進歩がないように思えます。文章力をあげる近道はあるのでしょうか。アドバイスをよろしくお願いいたします。


回答

 こんにちは。
 おっしゃるように、最近の中学入試の国語では受験生に「意見」を求める「自由記述問題」が頻出しています。たとえば、「この文章を読んであなたは筆者の意見に賛成ですか、反対ですか。それを明らかにした上で、その理由を述べなさい」とか「この物語文のつづきを考えて自由に書いてみましょう」とか、そういう類の問いがなされます。
 ちなみに、今春の中学入試で「自由記述問題(作文)」を課した主要校は次の通りです。

【男子校】
筑波大学附属駒場中学校、灘中学校、早稲田大学高等学院中等部、桐朋中学校、暁星中学校、サレジオ学院中学校、世田谷学園中学校、鎌倉学園中学校、城北埼玉中学校
【女子校】
桜蔭中学校、雙葉中学校、フェリス女学院中学校、吉祥女子中学校、頌栄女子学院中学校、東洋英和女学院中学部、香蘭女学校中等科、淑徳与野中学校
【共学校】
慶應義塾中等部、慶應義塾湘南藤沢中等部、神奈川大学附属中学校、市川中学校、栄東中学校(東大選抜)、芝浦工業大学柏中学校、大宮開成中学校

 わたしはこの「自由記述問題」は以下の2つのタイプに分類できると考えています。実際の問題例もあわせて紹介します。

「読解分離型」……文章とは関係なく、受験生個人の「意見」「感想」が求められるタイプ。
(2020年度入試問題例)
桐朋中学校(第1回)大問1・問10
※大山淳子『あずかり屋』さん(物語文)が題材。
問 さて、君自身は中一の最初の授業で問いかけられたとしたら、何をあずけたいと考えるだろうか。その理由とともに、くわしく述べなさい。(自分自身について考える力、君自身の内側から出てくる発想、それを伝える表現力を中心に採点します。)【読解分離型】

「読解融合型」……文章内容を理解した上で、記述しなければならないタイプ。
(2020年度入試問題例)
東洋英和女学院中学部(A日程) 大問2・問8
井上靖『穂高の月』(随筆文)が題材。
問 まさしく異国における一座建立と言うほかはない、とありますが、あなたはどのような出来事が「一座建立」であると考えますか。具体的な例をあげて、なぜそれが「一座建立」であると考えるのか説明しなさい。具体例は、自分の体験であってもなくてもかまいません。【読解融合型】

 各中学校の自由記述問題に目を向ける限り、「読解分離型」よりも「読解融合型」の問題の比率が高いように感じます。

 それでは、ご質問にあるように「文章力を上げる」近道はあるのでしょうか。
 わたしは定期的に「短作文」(100~200字程度)を息子さんに課し、「書く」ことに慣れさせることが大切だと考えます。文章の記述能力を向上させるには「近道」などありません。こつこつ取り組んでいくよりほかないのですね。
 なお、わたしの担当するクラスでは毎週この「短作文」を課し、その都度添削をして返却しています。
 とはいえ、このような課題の添削に塾講師が付き合ってくれるとは限りません。
 その場合は保護者が添削の上、指導をするべきかと思います。ただひたすら「書かせる」だけでは文章は上達しません。

 でも、どのような観点でチェック、アドバイスしたらよいか分かりませんよね。
 保護者にはぜひ大学受験の予備校講師が著した「小論文」の参考書を手に取って、それを熟読することから始めてほしいと考えています。息子さんを教えるためのヒントがたくさん盛りこまれています。
 わたしの推薦本は次の2冊です。

 ・中塚光之介『採点者の心をつかむ 合格する小論文』(かんき出版)
 ・小池陽慈『14歳からの文章術』(笠間書院)

 ともに、大変に読みやすく、かつ、実践的な作文例が数多く収録されていますので、息子さんを指導するうえで大いに役立つことでしょう。お手に取ってみることをお勧めします。

 息子さんが「書く」ことを楽しめるようになるとよいですね。応援しています。


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矢野耕平先生
大手塾に13年間勤めたのちに、2007年に中学受験専門塾「スタジオキャンパス」を設立。代表を務めるとともに国語と社会を担当。
2020年度より国語専科「博耕房」という新ブランドを自由が丘に出校した。
著書に『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)など多数。
現在、AERA dot.(朝日新聞出版)、ビジネスジャーナル(サイゾー)、プレジデントOnline(プレジデント社)などで連載記事を担当。
中学受験業界に精通されている矢野先生へ、ぜひ受験の不安や疑問などお寄せください!




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プロフィール

中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表。東京・自由が丘と三田に校舎を構える。国語・社会担当。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書)など多数。最新刊は『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(文春新書)、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)。現在、プレジデントOnline、こそだてオウチーノなどで記事を連載している。


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