2017-03-30

パスナビスペシャルインタビュー
2018年中学入試に勝利するために!中学入試の最新動向&合格対策をアドバイス

首都圏中学模試センター取締役教務情報部長北一成先生
首都圏中学模試センター 取締役教務情報部長 北一成先生

私立中学入試は1月10日の埼玉県を皮切りに、1月20日千葉県、2月1日東京都・神奈川県と始まります。現在の大学入試センター試験に代わる新テストの実施が2020年から予定されるなかで、2017年私立中学入試では新しい形の入試が目立ちました。 2017年の入試結果から、私立中学の入試状況、2018年入試の展望と合格対策を首都圏中学模試センターの北一成先生にお話しいただきました。

この記事は『2018年度入試用中学受験案内』(旺文社)より転載しました。

 2020年大学入試改革を前に、様変わりが目立つ中学入試

中学入試の多様化で間口が広がり、受験者総数は3年続きで増加

――小学校の卒業生数の減少が続いていますが、2017 年中学入試の受験者数と受験率は昨年と比べてどうでしたか。

 受験者総数については、当初昨年より微増の予想で集計を終えて3年連続の増加という予想通りの結果となりました。
 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の推定受験者総数は44,150 人、受験率は15.12%で7年ぶりに15%を超えました( 表1・図1)。推定受験者総数は、2/1AM入試〈表1〉の東京・神奈川の私立中の「実受験者数( 一部推定)」の総計36,867 名に一部国立中と公立中高一貫校の特別枠入試の実受験生334 名を加えた「37,201 名」を基準にして、中学受験生が最も集中する同日AM の入試を受けていない受験生数(約6,950名)を推定で加えて算出した数字です。受験率は、「推定受験者総数(44,150)÷ 小学校卒業見込者数(291,961)」で算出した数字です。
 2017 年入試では、特に2/1 午前の入試校の出願者における実受験率が100%に近い学校が多くなったことが目立っています。また、「Web出願」が増えたことも全体の実受験率アップを後押しする結果になりました。Web 出願は、入試前日や当日まで出願が可能ですから、出願をぎりぎりまで待って受験料を節約するという出願方法も増えています。
 例えば、2/5 試験日の出願がWeb で当日午前0時まで可能であれば、2/4 の受験校の結果発表を待って、2/4 の夕方から2/4 の24 時にかけて出願するというケースも多く見られました。

2017 年入試2月1 日出願状況による受験者数予想(含推定)2 月1日午後入試校、推定実受験者数(人)
2017 年入試2月1 日出願状況による受験者数予想(含推定)2 月1日午後入試校、推定実受験者数(人)

子どもの才能・資質・意欲を評価する新たな入試タイプの増加

――――入試科目は4科または2科、適性検査型や英語入試、今年はさらに新しいタイプの入試が増えてきました。

 今年の入試のいちばんの特徴は、入試科目の多様化でしょう。2/1 の入試を前に、新聞やテレビでもこの話題を一斉にとりあげていたのが印象的でした。
 適性検査型入試は公立中高一貫校を受験する子どもたちに合わせて、試験の腕試し的、あるいは受け皿的な試験でした。それは今でも変わりませんが、それ以外で優秀な子どもを掘り起こしたいという考えもあって2016 年入試の86 校から2017 年は120 校に増加しています。
 また英語入試は、もともと帰国生を対象にしていたものが、3 年ほど前から一般枠でも実施されるようになり、昨年の64 校から今年は95 校に増加しています。
 こういった動きは2年前までは中堅から中堅下位校で多かったのですが、今年は人気校でも採用するようになり、難関の市川中の英語選択入試(応募者男女合計20 名)が注目を集めました。

――――適性検査型入試、英語入試のほか、思考力入試やプレゼンテーション入試、タラント発見・発掘入試、未来発見入試などというのもありました。

 適性検査型入試の実施校では、試験の形式は公立中高一貫校とほぼ同じと考えてよいでしょう。一方、思考力入試としている学校では、もっとストレートに思考力を問う問題を出題しています。
 これまでの中学入試は、塾に2~3年通って受験するのが当たり前で、またそうでないと合格できない私学がほとんどでした。それが本格的な受験勉強をしていなくても、適性検査型入試なら受けられるということで、受験者が増えてきました。
 適性検査型入試の受験者数は、聖徳学園2/1 男193 人・女125 人、宝仙学園共学部・理数インター公立一貫2/1 男223人・女255 人、2/2男149 人・女180 人、トキワ松学園2/1・141 人、郁文館2/1特別奨学生男89 人・女89 人、横浜隼人2/1PM 男117 人・女69 人などで人気が目立ち、募集人数も多くないので倍率も高くなります。
 首都圏で減少傾向にあった私立中学受験生が、2015 年から増加に転じたのも、こういった新しい入試が増えて受験する生徒が増えたことによるのです。

新タイプの新設入試応募者数(一部抜粋)

公立中高一貫校との併願で2/4 以降の受験生が増加

――――首都圏の中学入試は、2/1 ~ 3 の3日間で決まると言われていますが、今年の受験生の動きはどうでしたか。

 従来、私立中学受験生の受験動向は前倒し傾向にありました。2/1・2 両日の午前・午後の短期決戦と言われていましたが、ここに公立中高一貫校との併願者が参入してきたことで、2/4 以降の入試にもチャレンジする受験生が多くなりました。
 明治大付中野八王子は、今年2/5 の午後にB 方式総合入試を新設したところ、400 人を超える応募者でした。2/4 以降の入試で応募者が集中したケースは、これまでは考えられませんでした。宝仙学園共学部・理数インターは特別入試を2/10 に、工学院大附も2/12 にハイブリッド思考力入試を追加実施しましたが、これらの入試は募集定員に満たないから実施するのではなく、公立中高一貫校は不合格だったけれど優秀な子どもたちをターゲットにしています。こういうタイプの入試には、試験日が後半であっても受験生が集まる傾向があります。
 従来型の4 科・2 科入試実施校は、2/3 までの入試で応募者は打ち止めとなります。いっぽう、公立中高一貫校の今年の入試は2/3、合格発表は2/9。2/4以降の思考力型の入試を併願受験するケースも出てきたことになります。入試はこれまで4科・2科受験生の2/1・2の2日間短期決戦型と言われてきましたが、公立中高一貫校受験生がチャレンジする後半の入試へとシフトしてきました。

――――2/1・2 の午後入試受験は今や当たり前ですが、今年の午後入試新規実施校の結果はどうでしたか。

 午後入試実施校が増えて、人気は分散してきています。一部の超人気校を除いては受験して合格しても入学手続きをしないという受験生さえいます。今年新規の午後入試実施校は、新しいスタイルの入試で人気を集めました。応募者は、清泉女学院2/1・2期「2教科か英語選択」264人、カリタス女子2/2「新3教科型」46 人、東京電機大2/4「得意科目選択型」男204 人・女72 人、明治大付中野八王子2/5「B 方式総合型」男235人・女202人でした。

Web出願校の増加で、出願数はやや減少

――――私立中学の受験生は1人平均何校に出願するのでしょう。

 先ほどもお話ししましたが、4科・2科受験生と新しいスタイルの適性検査型・思考力型入試の受験生の併願パターンは異なります。
 4科・2科受験生は、埼玉・千葉の1月入試で試し受験をして、東京・神奈川の2/1・2の午前・午後入試を受験する併願作戦をとります。2017 年の延べ応募者数が290,926 人、推定実受験者数が44,150人ですから、1人当たりの平均受験(出願)校数は6.59 校となります。併願校の数は、この数年間平均約6校と横バイ状態です。
 今年の新しい動きとしてWeb 出願導入校が増えましたが、Web出願は入試当日まで受け付けている学校もありますから、ぎりぎりまで様子をみて出願する保護者もいます。それが出願の絞り込みにつながっているのでしょう。Web 出願のよい点は家から出願できるので、親子でよく話し合って出願できることです。ただ、第一志望校は学校に書類を提出して受験票をもらってくるほうがいいと思います。

1 人当たりの平均出願校数
合格率 ※ 一部の共学校の男女別数が分からないため数字はすべて推定

 2017 年入試で応募者数が増えた学校トップ10

大学入試改革が近づき、大学付属校に人気が集まる

――――学校別の応募者数の増減はどうだったのでしょうか。

 男子校、女子校別、共学校の男女別トップ10を表にしました(首都圏の私立中学一般入試)。応募者数の増減については、受験生の隔年現象や大学進学実績などの影響も大きいのですが、最近は学校改革や新校舎建設など話題を集めた学校に人気が集まる傾向です。
 芝浦工業大附は、豊洲の新校舎に移転、校名も変更し予想通りの人気で、3回の入試とも多くの受験生を集めました。
 東邦大付東邦は高校の募集を停止(帰国生入試のみ実施)、中学入試で推薦入試を新設(募集人員30 名)、約600 名強の受験生が集まりました。

男子校「応募者数増加」入試TOP10
合格率 ※ 一部の共学校の男女別数が分からないため数字はすべて推定
合格率 ※ 一部の共学校の男女別数が分からないため数字はすべて推定

――共学化校の人気はどうでしたか。

 今年もその傾向は続いています。2015 年に共学化した三田国際開智日本橋、2016 年共学化の法政大第二、いずれも志願者数が増加しました。東洋大京北や2017年から共学になる青山学院横浜英和も高い人気を保っています。

――2020 年の大学入試改革が近づいてきましたが、中学入試への影響はありますか。

 2020 年の大学入試改革の影響も大きく、大学付属校人気が高まっています。付属校からも半数近くが他大学に進学していること、系列大学には行けるという安心感、また、ICT 教育やアクティブ・ラーニングに積極的に取り組みやすい点なども評価され、応募者が増えています。トップ10には入っていませんが、男子校の日本大豊山日本大豊山女子など日本大の附属校の応募者増が目立ちます。

――トップ10 に入っていない2/1入試実施校の受験生の動きはどうでしたか。

 男子校の増加校は、麻布967(前年908)人、早大高等学院407(376)人、桐朋第1回439(411)人、城北331(313)人、本郷第1回455(426)人、早稲田第1回787(759)人です。開成1,195(1,211)人、武蔵592(608)人はほぼ昨年並み、海城① 470( 513)人、駒場東邦532(606)人、巣鴨第Ⅰ期227(251)人、慶應義塾普通部566(604)人は減少しました。
 女子校では、学習院女子A226(207)人、恵泉女学園S 方式478(452)人、立教女学院288(248)人と増加、鴎友学園女子第1回463(452)人、晃華学園第1回116(123)人、雙葉366(356)人ではほぼ昨年並み、桜蔭516(538)人、吉祥女子第1回466(525)人、共立女子A日程393(458)人、女子学院676(695)人、東洋英和女学院261(306)人、洗足学園第1回339(432)人、フェリス女学院422(453)人と減少校が目立ちます。女子校では共学校に応募者が流れるという厳しい状況が続いていますが、新しい入試スタイルの実施校では人気回復しています。
 共学校では、渋谷教育学園渋谷第1回男186(196)人・女271(286)人、中央大附第1回男182(240)人・女225(201)人、早稲田実業男344(346)人・女195(188)人でした。2/1以降の日程では、青山学院2/2男360(360)人・女497(465)人、慶應義塾中等部2/3男85(1 912)人・女420(397)人、明治大付明治第1回2/2 男377(356)人・女302(294)人、慶應義塾湘南藤沢2/2 男319(365)人・女320(301)人と、特に大学付属の共学校で女子の増加が目立ちます。

新設の公立中高一貫校に人気が集中

――――私立との併願も増えた公立中高一貫校ですが、今年の人気はどうでしたか?

 新設の市立横浜サイエンスフロンティア高附には、募集定員80 名に男450人・女235人が応募、特に男子で高倍率となりました。ほかに目立った動きとしては、区立九段B 男304(254)人、都立富士高附女348(300)人、都立三鷹486(538)人、都立南多摩男359(397)人・女428(497)人、都立両国高附男382(501)人・女438(502)人、県立相模原男608(538)人・女624(508)人、横浜市立南高附男423(542)人・女602(737)人、県立東葛飾男493(585)人・女463(572)人です。横浜市立南高附は同じ市立校の横浜サイエンスフロンティア新設の影響を受けたため、男女合計で250人減少、県立東葛飾は昨年新設で高倍率だったため敬遠された結果、大幅ダウンとなりました。

――――2018 年以降の入試で新しい動きは何かありますか?

 2018 年、八雲学園青山学院横浜英和の2校が共学化します。青山学院横浜英和は青山学院大の系属校になった時点で志願者増となっていますが、八雲学園の志願者も増加するでしょう。
 2019 年には、埼玉県のさいたま市立大宮西中等教育学校が募集を開始します。また、慶應義塾湘南藤沢が2019 年入試から英語入試を導入しますが、他校へ影響を与えることが予想されます。

 2018年入試に向けて合格対策&受験アドバイス

2020年の大学入試改革をひかえ、中学入試も変わりつつあります。受験対策はどうすればいいのか、アドバイスをいただきました。

 2018年入試でわが子に 合った私立中学はどう選ぶ?

 最近の私立中学入試では、新しく教育改革を実施、共学校化、大学の附属校・系属校になった、新校舎を建設などといった新しい動きで話題を集めた学校に受験生の人気が集まる傾向が見えます。いっぽうで、昔から定評のある伝統校の人気にも相変わらず根強いものがあります。わが子の学校選びをする場合、どちらがいいか悩む保護者の方も多いことでしょう。
 学校選びは各家庭の価値観によります。難関の伝統校に合格する実力があり、それで満足できるのであればそれでよいでしょう。しかし、第一志望の伝統校が不合格で第二志望の伝統校に行くという状況であれば、教育改革を実施して人気上昇中の中堅校を視野に入れておき、そういった学校で学力を伸ばす可能性にかける選択を考えてもいいのではと思います。
 例えば、教育改革としてアクティブ・ラーニングを授業に導入した学校では、生徒の自己肯定感を伸ばすのに役立っていると述べています。他人と自分の違いを認め、自分のことも認められるようになることが最大の効果だと。学校が生徒の自己肯定感を尊重する姿勢で生徒を受け入れ、入学後はさらにそれを伸ばす環境にあるわけです。
 中学入試では、第一志望校に合格できる子どもは受験生全体の約3割、残りの7割は第二志望校やそれ以外の学校に進学するのが現状です。その7割の子どもたちが進学した学校をどれだけ好きになり、自己肯定感を持って中学高校の6年間を頑張ることができるかが最も大事なことでしょう。保護者が、わが子は第二志望校にしか行けなかったという気持ちを引きずっていると、子どもにも悪影響を与えてしまいます。進学した学校で頑張れる学校選びをすることが重要なのです。

 思考力入試・英語入試が増加、2科・4科でも思考力が問われる

 中学入試の現状は二極化しています。2017 年入試では、中堅校であってもさまざまな新しい取り組みを行っている学校の人気は高くなっています。
 いっぽう、伝統校においても従来型の授業にプラスしてアクティブ・ラーニングやICT教育を導入、入試でも思考力を問う問題を出題しています。
 2018 年入試においては、2科・4科入試校では各教科に思考力を問う問題を出題したり、また、思考力入試や英語入試といった新しいタイプの入試を採用する学校が増え、中堅校だけでなく難関校でも導入する学校が増えてくるでしょう。
 英語入試については、2020 年度から小学校5・6年生に英語が教科化されるため、中学入試で英語が必須とされるのでは、と心配する保護者の方も多いでしょう。しかし、小学校の英語はどちらかというと「話す・聞く」に重点が置かれているので、試験科目として必ず課されることはないと考えられます。
 思考力入試・英語入試などの対策としては、学校説明会で入試問題のサンプル問題を配布したり、過去問を解説したりしているので、それらを入手して検討することをおすすめします。塾任せにするのではなく保護者が積極的に情報を得ることで、子どもの学力に合った学校選びをすることができます。
 私立中学入試は、英語の資格や習い事などを評価する脱偏差値と呼ばれるスタイルも出てきて、塾通いをしなくても受験できるようになりました。2科・4科の受験勉強をしていないからと諦めることなく、わが子の可能性を伸ばせる学校を見つけてチャレンジすることをおすすめします。


プロフィール

北 一成(きた・かずなり)

中学受験界でのキャリア32 年。日能研、みくに出版『進学レーダー』編集局長等を経て日本Web 学校情報センターを設立。学校選びと合格へのアドバイスには定評がある。




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