2018-04-06

パスナビスペシャルインタビュー
2019年中学入試に勝利するために!中学入試の最新動向&合格対策をアドバイス

首都圏中学模試センター取締役教務情報部長北一成先生
首都圏中学模試センター 取締役教務情報部長 北一成先生

私立中学入試は1 月10 日の埼玉県を皮切りに、1 月20日千葉県、2月1日東京都・神奈川県とはじまります。2020年度から実施の「大学入試共通テスト」など大学入試改革の影響もあって私立中学の人気が続き、2018年入試では思考力型や英語入試の増加など変化も目立ちました。2018年入試の結果から、様変わりする中学入試状況と2019年入試の合格対策について首都圏模試センターの北一成先生にお話しいただきました。

この記事は『2019年度入試用中学受験案内』(旺文社)より転載しました。

人気傾向続く私立中学、2018年入試の受験者数は4年連続増加

適性検査型や英語入試の受験者増で、受験者数は4年連続増加

――大学入試改革をひかえて私立中学の人気回復が話題となっていますが、2018年入試の結果はどうだったでしょうか。

 東京都内の私立中学入試の2/1 午前の実受験者数総数については、2018 年は2017 年より全体で約1,000 人増加しています(表1)。
 個々の学校や入試スタイルを見ると、当然学校ごとに増減がありますが、全体的に見て実受験者数が増えている学校は、適性検査型入試を行っている学校や大学の付属・系列校、なかでも大学の知名度の高い学校です。
 千葉県では推薦入試を東邦大付東邦などで実施していますが、今年は成田高付で新設。推薦入試の実受験者数は昨年比100 人増加して2,231 人となりました。また、適性検査型入試を埼玉県や千葉県の学校でも実施していますが、浦和実業学園(1/11 男115 人・女107 人)や千葉明徳(1/20 男女173 人)などでは東京からの受験生が多く、こういった東京以外の周辺エリアの学校で、100 人、200 人単位で受験者数が増加しています。
 適性検査型入試は公立中高一貫校を受験する生徒を私立に取り込もうと始められたわけですが、公立一貫校受験生にとって腕試し的、あるいは受け皿的な試験となっています。2018 年に新設した学校も多く、さらには英語入試など新しいタイプの入試を導入した学校も増えていて(2018年に英語入試を受験した生徒は約1,400 ~ 1,500 人)、こういった状況の結果、2018 年度首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の推定中学受験者総数は45,000 人、受験率は15.82%と、4 年連続で増加しました(図1)。
 首都圏の中学受験者数は、今後も増加傾向が続くと予想されます。その背景となるのが、大学入試改革が近づき現実味を帯びてきたことです。
 保護者の大学入試改革に対する意識は高く、中学入試をめざす受験生は今後も増えると考えられます。

2018 年入試2月1 日出願状況による受験者数予想(含推定)2 月1日午後入試校、推定実受験者数(人)

2018 年入試2月1 日出願状況による受験者数予想(含推定)2 月1日午後入試校、推定実受験者数(人)

女子校の算数1教科入試など2018年も新タイプの入試が増加

――――適性検査型や英語入試の増加に加えて、昨年に続き2018 年も新しいタイプの入試が目立ちましたが。

 受験の多様化でいえば、算数1教科入試が注目を集めました。なかでも、今年は女子校2 校で新設され、品川女子学院2/1PM360 人、大妻中野2/3PM68人、このほか共学化した文化学園大杉並2/2PM 男4 人、女6 人という結果でした。特に品川女子学院の算数入試は、午前に桜蔭鴎友学園女子を受験した生徒もいて、午後算数1 科目だけの入試ということで人気を集めたと考えられます。
 男子校でも算数入試は、鎌倉学園2/1PM229人、高輪2/2PM272人、と昨年より受験生は減少しましたが人気を集めています。
 算数1 教科入試が行われる背景には、得意科目選択型入試の増加傾向があります。これは、4 科目のうち得意な2 科目、あるいは1 科目、なかには英語を入れた5 科目から1 科目を選択するものです。こういった入試スタイルの導入校で多くの受験者を集めたということは、逆にいえば、これまで私立中学受験生は塾で4科目あるいは2 科目をしっかり勉強して受験するというのが一般的でしたが、そういった受験生だけでなく、得意な1 科目で受験できる学校を探す受験生が増えてきたことを示しているわけです。
 2018 年の新しいタイプの入試では、他に芝浦工業大附の第一志望者入試(第1 ~ 3 回入試で不合格となった受験生のうちから学校側が選抜した受験生)2/6・229 人、女子美術大付の自己表現入試(作文と面接)2/2PM143 人、共立女子のインタラクティブ入試(英語を介したゲームや対話を通じて英語力をはかるインタラクティブ・トライアルと算数の2 科目)2/3PM68 人などが人気を集めました。

――――新しいタイプの入試の受験者数が増える一方で、従来型の4 科や2 科受験生は減ってきているのでしょうか。

 中学入試で4 科目をしっかり勉強して受験に挑んでいる受験生は全体的には減少傾向にあります。
 とはいっても、男子は開成、女子は桜蔭といったトップ校からはじまり、いわゆる4 科目の難関校を受験する層の人数は減ってはいません。さらには、大学付属校のなかでも人気の高い付属校は4 科目入試校ですが、軒並み受験者数を増やしています。つまり、4 科目を勉強している受験生の多くが難関校をめざし、一方で、中堅校から下の学校の4 科目入試の受験者は減少しているという二極化を示す結果となっています。
 そういった状況のなかで、三田国際学園が思考力型入試以外をすべて4 科目入試に変更し、また共学化した青山学院横浜英和も4 科目入試に変更しました。三田国際学園の受験者総数は2017 年より全体で少し減少しています。しかし、両校ともに4 科目入試で学力の高い優秀な生徒を取ろうという意図が読み取れます。

――――2018 年入試から始めた両校の4 科目入試と従来の実施校の4 科目入試では、出題内容は何か違っているのでしょうか。

 出題形式や内容に大きな違いは見られません。また、従来からの4 科目校でも、たとえば各科目の大問1 題を意図的に「思考力を問う」ものに変えてきた学校もありました。
 たとえば開成の国語では、1 題を形式的に適性検査型に似た問題に変更しました。これは大学入試改革を意識した問題へとシフトしたと見ることもできます。また同校の算数の問題が従来に比べかなり易しくなっています。以前から麻布海城などでは思考力型の記述問題を出題していて、全体的に思考力型の問題が多く出題される傾向にあります。

新たに2/1の午前入試・午後入試実施校も人気を集める

――――入試スケジュールで目立った動きはありましたか。

 入試スケジュールでは、これまで2/1入試を実施していなかった学校で2/1 の午前入試や午後入試を新たに実施し、受験生を集めているところが目立ちます(表3)。
 表3の掲載校以外では、鎌倉学園1次2/1AM253人、横浜女学院B-1 2/1PM116人、カリタス女子第1回2/1・77 人、などで多く集めました。ほかの日程新設校では、江戸川女子2/2PM179 人、巣鴨第Ⅲ期2/4・329 人、聖学院第2 回4 科2/2・75人、跡見学園思考力入試2/4・66人などでした。
 従来、私立中学受験生は、2/1、2 の両日の午前・午後入試の短期決戦といわれてきましたが、昨年あたりから公立中高一貫校との併願者で2/4 以降の入試にもチャレンジする受験者が増えたために、2/4 以降の新設入試にも受験生が集まっています。

2018 年入試2月1 日出願状況による受験者数予想(含推定)2 月1日午後入試校、推定実受験者数(人)

Web出願校が増加、1人平均出願校数は6.53 校

――――私立中学の受験生は、1人平均何校出願しているのでしょうか。

 私立中学入試でも、ここ数年、Web出願の実施校が増えてきました。Web 出願は入試当日まで受け付けている学校もあるので、先に受験した学校の合格発表を確認してからの出願が可能です。そのため、出願校数は絞り込まれる傾向にあります。
 2018 年の延べ応募者数が294,027人、推定実受験者数が45,000人ですから、1人当たりの平均受験(出願)校数は6.53 校となります(表4)。併願校の数は、この数年間、平均約6 校と横ばい状態です。
 併願作戦としては、1月に千葉や埼玉での入試を受け、2/1~2/3 の午前・午後入試、さらには2/4 以降から1~2校を受験するパターンがほとんどでしょう。

2018 年入試2月1 日出願状況による受験者数予想(含推定)2 月1日午後入試校、推定実受験者数(人)
2018 年入試2月1 日出願状況による受験者数予想(含推定)2 月1日午後入試校、推定実受験者数(人)

 2018 年入試で応募者数が増えた学校トップ10

2018 年入試でも目立つ大学付属校の人気

――――今年の入試で学校別の志願者数の増減はどうだったでしょうか。

 男子校、女子校、共学校の入試・男女別トップ10を表にしました(私立中学首都圏一般入試。2/6 現在公表分)。志願者数の増減については受験生の隔年現象や大学進学実績などの影響も大きいのですが、最近の傾向として学校改革や教育改革に積極的に取り組み、その情報を保護者に向けて発信している学校に人気が集まっています。
 また、今年は大学付属校に人気が集まり、なかでも早稲田大、慶應義塾大、明治大、中央大、法政大、日本大などの付属校での高い人気が目立ちました。トップ10 以外でも、慶應義塾普通部2/1・615(前年566 )人、早稲田第2 回2 /3・1419(1378)人、大妻第2 回2/2・750(685)人、大妻多摩第2 回4 科2/2・252(190)人、学習院女子一般生B2/3・414(366)人、明治大付明治第2 回2/3 女406(300)人、東京農業大第一第1回2/1PM女419(333)人・第3 回2/4女289(205)人、東京都市大等々力S 特選第2 回2/2PM 男430(348)人、慶應義塾中等部2/3 女492(420)人など多くの付属校で受験生の人気を集めました。
 今年共学化した学校は、文化学園大杉並八雲学園青山学院横浜英和の3 校ですが、いずれも受験者が増加しました。青山学院横浜英和では、入試科目を4 科目にした結果、女子の受験者数は減少しましたが、人気大学の付属校ということで男子の受験者数が増加した分、全体では増加しています。八雲学園文化学園大杉並は、21世紀型教育機構のメンバー校で世界水準の21世紀型教育に力を入れている学校です。
 共学化の影響と同時に、教育方針に注目する保護者が増えた結果、受験者増につながったと考えられます。

2018 年入試2月1 日出願状況による受験者数予想(含推定)2 月1日午後入試校、推定実受験者数(人)

――トップ10 に入っていない2/1 実施校の結果はどうでしたか。

 男子校では、麻布933(前年967)人、開成1,234(1,195)人、駒場東邦513(532)人、巣鴨第Ⅰ期252(227)人、成城第1回412(451)人、城北第1回372(331)人、桐朋第1回402(439)人、武蔵548(592)人と、あまり大きな変化はありません。
 女子校では、桜蔭533(516)人、女子学院760(676)人、雙葉307(366)人、立教女学院291(288)人、フェリス女学院397(422)人、横浜共立学園A355(358)人、東洋英和女学院269(261)人、洗足学園第1回4科374(315)人、横浜雙葉191(236)人、2/2 校では、豊島岡女子学園第1回1,106(1,062)人、白百合学園256(314)人という結果でした。
 入試結果を見てみると、神奈川県の女子校の志願者数の落ち込みが目立っています。神奈川県内ではこれまで中学受験に対する志向性が高かったため、各校とも新しい入試改革への取り組みにあまり積極的ではなかったため、伝統ある学校の良さが保護者に十分伝わらず、その影響が出てきていると考えられます。

人気続く公立中高一貫校。受験者数は高止まり

――――人気が衰えない公立中高一貫校ですが、今年はどうだったのでしょうか。

 首都圏全体で公立中高一貫校の総志願者数は18,000人ほどで、これは首都圏の私立中学受験者数の3 分の1に匹敵する人数です。しかし、合格者は約3,000人でかなりの難関となっています。公立なので学費が安いこと、新しい教育プログラムや国際交流、英語教育の新しいメソッドを積極的に取り入れている学校もあり人気を集めています。
 目立った動きとしては、都立桜修館男368(前年420)人、都立大泉高附男426(362)人、・女426(447)人、都立立川国際男294(326)人・女355(412)人、都立南多摩男407(359)人、県立相模原女683(624)人、昨年新設の横浜市立横浜サイエンスフロンティア高附男330(450)人、横浜市立南高附男352(423)人・女503(602)人、千葉市立稲毛高附男257(316)人・女319(362)人、県立東葛飾男424(493)人・女396(463)人でした。
 2019 年は、埼玉県にさいたま市立大宮国際中等教育学校が開校となりますが、応募者がどれだけ集まるか注目したいところです。

――――2019 年入試での新しい動きはほかにありますか。

 ほかの新設校としては、埼玉県の細田学園で中学校を、また都内ではドルトン東京学園中等部が開校予定です。桐蔭学園中等教育横浜富士見丘学園が共学校となります。
 入試科目では、2019 年入試で慶應義塾湘南藤沢が英語入試を始めますが、その影響を受け英語入試導入校が増えることが予想されます。

 2019年入試に向けて合格対策&受験アドバイス

入試の多様化で入試方式もさまざまとなり学校選択に迷います。受験対策や受験校の決め方などについてアドバイスをいただきました。

 親子で学校選び。ポイントは家庭の価値観に合った学校を!

 2018 年4 月からの小学6 年生が大学入試を迎えるときは、大学入試改革が5 年目となり、さまざまな改革の具体策が明確になり、また教育全体の変革もはっきりしてくるでしょう。それと同時に社会構造もAI 社会の本格的な到来とともに変化しているはずです。
 そういった社会情勢のなかで、私立中学や公立中高一貫校の教育内容・教育方針も変化していくことは間違いありません。
 さまざまな学校があるなかで、子どもに合った学校を選ぶにはどうしたらいいか悩む保護者も多いことでしょう。
 学校選びは、各家庭の価値観に合った学校や自分の子どもにとって向いている学校をまずは選択することが重要です。学校選びの大きな軸が決まれば、それに沿って複数の学校をピックアップすることが可能でしょう。その際、大事なことは、学校の偏差値や大学進学実績だけを重視するのではなく、保護者が納得できる教育理念を掲げる学校や、子どもの特性を伸ばせる学校を選ぶことです。そういった観点から学校選びをすれば、受験できる学校は多くなるでしょう。
 保護者の心理として、早めに合格を決めたいということで、早い時期の入試に目が向かいがちですが、新しいタイプの入試を導入している後半の入試日程実施校にも目を向けてみてください。子どもの得意分野で勝負できる入試があるかもしれません。
 中学入試では、従来の2・4 教科受験だけではなく、さまざまな尺度で優秀な受験生を取りたいと考え、新タイプの入試実施校が増えてきました。自分の子どもの良さが発揮できる試験を選べばうまくマッチできるでしょう。
 今後の中学入試では、子どもたちが小さいころからがんばってきたことや興味を持ってきたことをさらに伸ばすことが、ますます重要になっています。実際に、それを評価する入試が増えてきました。学校は学力だけでは測れない多様な可能性を持った子どもと出会えるというメリットがあるために新タイプの入試を実施しているのです。
 そういった意味で中学入試は、学力が優秀な子どもたちだけではなく、いろいろな面で優れた資質を持った子どもたちにとってもチャンスが増えたといえるでしょう。
 保護者の方は、受験の方針を親子できちんと決めたら迷わずに、ネットなどで調べて、子どものタイプに合う学校選びをし、無理なくあてはまる日程を決めるといいでしょう。

 子どもの力を発揮できる入試にチャレンジ!

 入試問題対策としては、時事問題にアンテナを張り巡らしてチェックしておく必要があります。難関校の場合は、時事問題の知識だけではなく、社会科や理科など関連する分野の知識を深めておくことが大切です。
 たとえば、国連が策定したさまざまな分野で持続可能な開発目標を「グローバル・ゴールズ」と呼びますが、環境やエネルギー、食糧、平和など17 項目について全世界の人が幸福になるための指標などが示されています。首都圏の公立中高一貫校で実施する適性検査型入試のテーマは、その多くが、「グローバル・ゴールズ」で取り上げられた諸問題がかかわる分野から出題されているのです。
 中学入試は、2 科・4 科の受験から得意な1科目や新タイプなどさまざまな入試形式で受験も可能となりました。保護者の方は子どもがどういったタイプの入試がいちばん力を発揮できるかを見極めて学校選びをし、チャレンジさせてほしいと思います。


プロフィール

北 一成(きた・かずなり)

中学受験界でのキャリア33年。日能研、みくに出版『進学レーダー』編集局長等を経て日本Web 学校情報センターを設立。学校選びと合格へのアドバイスには定評がある。




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