2016-04-07

パスナビスペシャルインタビュー
2017年中学入試に勝利するために!中学入試の最新動向&合格対策をアドバイス

首都圏中学模試センター取締役教務情報部長北一成先生
首都圏中学模試センター 取締役教務情報部長 北一成先生

私立中学入試は1月10日の埼玉県を皮切りに、1月20日千葉県、2月1日東京都・神奈川県と始まります。現在の大学入試センター試験に代わる新テストの実施が2020年から予定されるなかで、2016年私立中学入試では新しい形の入試も目立ちます。 2016 年の入試結果から、私立中学の入試状況、2017年入試の展望と合格対策を首都圏中学模試センターの北一成先生にお話しいただきました。

この記事は『2017年度入試用中学受験案内』(旺文社)より転載しました。

 難関校の人気変わらず、中堅校ですすむ入試の多様化

2年連続受験者数が増加、2016年私立中学受験率は14.68%に!

――小学校の卒業生数の減少が続いていますが、2016 年私立中学入試の受験生数・受験率は昨年と比べてどうでしたか。

 2015 年入試で数年ぶりに受験生が増えた私立中学入試ですが、2016 年入試でも昨年に続きやや増加した結果となりました。表1 に示しましたが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3 県)の推定実受験者数は43,700 人でした。これは2 月1 日入試の推定応募者総数61,252 人から午後入試の推定実受験者数21,291 人(表2)を差し引き、さらに1 月中に入試を終える埼玉県・千葉県だけの受験生と私立の適性検査型入試や英語入試など新しいタイプの受験生の推定値を考え合わせて算出した数字です。2016 年の受験者数は、2015 年の43,200人から約500 人増え43,700 人でした。

2016 年入試2月1 日出願状況による受験者数予想(含推定)
<表2>2 月1日午後入試校、推定実受験者数(人)

次に首都圏の小学校卒業生数に対する私立中学受験率を見ると、2016 年の東京・神奈川・埼玉・千葉の小学校卒業(見込み)者数は297,634 人で、2015 年より2,757 人減っています。私立中学の推定実受験者数が43,700 人ですから、受験率は14.68%(実受験者数÷卒業者数)となり、2012 年の14.80%に近づく水準に回復したといえます(図1 参照)。

<図1 >過去6 年間の私立中学受験者数の推移(推定)

――――2016 年入試で特徴的な傾向はありますか。適性検査型・思考力型入試、英語入試など新しい形の入試に対して受験生の反応はどうでしたか。

 適性検査型・思考力型入試の実施校は増加傾向にあり、2016 年は昨年の56校から86 校に、英語入試実施校は33 校から54 校と大幅増となりました。適性検査型・思考力型入試の応募者数も4年前は1,000 人だったのが2,000 人、3,000 人と増え、2016年は4,000人に達しています。

私立中入試で適性検査型入試が始まった背景には、もともと公立中高一貫校を目指していた受験生が試し受験として私立中を受験するというものでした。近年、適性検査型入試を思考力型入試として実施する学校もあり、実施校は中堅校に多いのですが学校独自の特徴を打ち出した入試を行い、学校側も将来の大学入試改革を見据えたものと説明しています。

千葉県内の学校では12 月中に推薦入試を行うところがあります。今年は千葉日本大第一が新設、応募者数は132 人でした。これまで推薦入試の実施校は多くなかったのですが、2016 年は増加傾向にあります。中堅・下位校で推薦入試の実施校が増え、自宅の近くに面倒見のよい学校があれば推薦入試で入学するという受験生が増えています。こうした従来にない形の受験も含めて中学入試の受験者総数は増えていると思われます。

――――教育界全体では、センター試験に代わる学力評価テストに象徴される「2020年文部科学省の大学入試改革」の動きがありますが、中学入試への影響はあるのでしょうか。

 先にお話ししました適性検査型・思考力型入試や英語入試実施校の増加などといった動きの背景には、もちろん2020 年から始まる大学入試改革の影響があります。

新しい大学入試のスタイルに対応した学校、さらには世の中が今後求めるであろう学力(21 世紀型スキル)を子どもに付けさせてくれる私学に注目が集まる傾向があり、保護者は新しい教育や入試を意識して情報を集め受験させています。

もちろん保護者には、まだ大学合格実績を重視した志望校選びをしている方が多いことも事実です。しかし、昨年、大学入試改革が実施されることが報道されたことにより、新しい大学入試に対応した学力を付けられる学校に入学させたいと望む保護者が徐々に増加してきています。そういう意味では、受験生は難関校をめざす超上位層と新しい試みをしている学校に注目している層との二極化に分かれているといえるかもしれません。

2016 年入試でも目立つ共学校となった学校への人気

――――2016 年入試では、神奈川の男子校の法政大第二が共学校となり話題を集めましたが、受験生の反応はどうだったのでしょうか。

 法政大第二は大人気でとりわけ女子の人気を集めました。応募者は第1 回2/2 が男606 人(応募倍率、以下同じ:6.1 倍)、女326 人(8.2 倍)、第2 回2/4が男536 人(10.7 倍)、女268 人(13.4倍)という結果でした。

昨年度、共学校となって人気を集めた三田国際学園開智日本橋学園も、学校改革が保護者にアピールし2 年目の2016 年入試でも増加しました。

――――2015 年入試では2/1 が日曜日となり、ミッション系の女子高が入試日を2/2 に移動するいわゆるサンデーショックで大きな影響を与えましたが…。

 昨年2/2 にした入試日を2/1 に戻した学校の応募者数は予想通り減少しました。女子学院695(昨年応募者数、以下同じ:971)人、東洋英和女学院A 日程306(372)人、立教女学院248(375)人、フェリス女学院453(476)人、横浜共立学園A 方式297(395)人と、各校とも一昨年並みに戻しています。

また、昨年増加した2/1 実施校も、桜蔭538(655)人、鴎友学園女子第1 回452(595)人、雙葉356(519)人と減少しています。

一方、昨年サンデーショックの影響を受けて受験生の減少が目立った2/2 実施校ですが、白百合学園314(203)人、豊島岡女子学園1 回1,110(828)人、共立女子B 日程736(570)人、また吉祥女子第2 回840(643)人、洗足学園第2 回771(477)人など、軒並み増加しています。2/2 校の応募者が大幅に増えた理由はもう1 点、鴎友学園女子が昨年まで実施していた2/2 と2/4 の入試をやめて2/1・2/3 の2回に変えたことで、受験生が他の2/2 校に流れたこともあげられるでしょう。鴎友学園女子の2/1 第1 回は減少しましたが、2/3 第2 回は約40 名の募集に対して517 人(12.9 倍)と高倍率になりました。

今年も人気を集めた2 月1・2・3日の午後入試新規実施校

――――毎年、午後入試を始めとして新しい入試を実施する学校がありますが、今年の新設入試で人気を集めた学校は…。

 一般的に新規に入試を実施すると受験生が多く集まる傾向があります。2016年入試最大のトピックスは、男子校の桐朋が入試を2 回実施して多くの応募者を集めたことです。第1回2/1は411人(3.7倍)、第2 回2/2 は672 人(9. 6 倍)の高倍率となりました。新校舎の完成や新しい教育の実施などの影響もあり、かつて三多摩地区の難関校だった桐朋の人気回復は間違いないでしょう。

午後入試の新設で人気を集めたのは、男子校の藤嶺学園藤沢2/1第2 回192 人、佼成学園2/3 第3 回特別奨学生165人、女子校の跡見学園特別入試2/2P 選考304人・2/1I 選考268人、共学校の日本大2/1A2日程804人などでした。

――――中学入試の受験生は1人平均何校に出願するのでしょうか。

 受験生の多くは、埼玉・千葉の1月入試で試し受験をして、東京・神奈川の2/1・2 の午前・午後入試を受験する併願作戦をとります。2016 年の延べ応募者数が294,660人、推定実受験者数が43,700人です〈表3〉から、1人当たりの平均受験(出願)校数は6.74 校となります。2/1・2の第1志望に合格すると、2/3 以降は出願しても受験しないケースがあるため、実際の受験校数はもう少し少なくなります

<表3> 1 人当たりの平均受験(出願)校数
<表4 >合格率 ※一部の共学校の男女別数が分からないため数字はすべて推定

 2016年入試での応募者数増加校トップ10は?

学校改革、入試改革実施校に受験生の人気が集まる!

――――2016 年入試で応募者数が大きく増えた学校をあげてください。

 男子校、女子校の応募者増加校のトップ10、共学校の男女別トップ20を日程別に表にしてみました。応募者の増減については大学進学実績や受験生の隔年現象など様々な要因が関係していますが、学校改革を積極的に保護者にアピールできなかった学校の人気は下がる傾向にあります。

男子校の難関校では武蔵の増加が目立ちます。武蔵はグローバル教育に力を入れていることのアピールや、伝統的に思考力を養う教育に人気が集まったのでしょう。他の2/1校では、海城① 513(461)人、1回655(591)人、慶應義塾普通部604(537)人などが増加。一方、麻布907(916)人、開成1,211(1,222)人、早大高等学院376(408)人、駒場東邦606(662)人、城北第1回313(415)人、世田谷学園1次189(230)人などは減少しました。男子校には、共学の人気校に志願者を取られて減少したところもあります。

男子校トップ10

女子校では、先ほどお話ししましたが、2015 年のサンデーショックの余波による増減が目立ちます。今年増えた学校は2/2 校がほとんどでした。

女子校トップ10

共学校では、グローバル教育を行っている渋谷教育学園渋谷と入試改革を行った東京都市大等々力の増加が目立ちます。また、1月入試で例年大勢の受験生を集める千葉の市川第1回1/20 男1,685(1,729)人、女1,013(1,010)人、埼玉の栄東A日程1/10 男3,122(3,796)人、女1,925(2,132)人は人数的には減っていますが人気は変わりません。学校改革や新しい教育を行っていることも人気の理由でしょう。

共学校トップ10

――大学の入試改革が話題となっていますが、大学附属校の人気はどうでしたか。

 2020 年の大学入試改革が実際にどうなるかまだ分からない不安からか、大学附属校なら安心という保護者の心理が働いたのでしょうか、応募者数が増えたところが目立ちました。表の掲載校以外の難関校では、慶應義塾普通部2/1、青山学院2/2 男360(280)人と増加、早稲田実業は男346(350)人、女188(194)人と昨年並みの応募者でした。

応募者の減少が目立つ公立中高一貫校

――――公立中高一貫校の人気も一段落ついた印象があります。2016 年は千葉県立東葛飾が中学を新設しましたが・・・。

 県立東葛飾は大人気でした。千葉県内の公立中高一貫校は他に2 校ありますが、千葉市立稲毛の男310(336)人・女365(419)人、県立千葉の男426(489)人・女367(423)人と2 校とも応募者減でした。一方、新設の県立東葛飾は男585人・女572 人と応募者が1,100人を超え14.5 倍の高倍率となりました。県立東葛飾に人気が流れた分、県立千葉が減少したといえます。

公立中高一貫校の応募者は、2 年連続で減少しているところが目立ちます。都立小石川で男550(504)人・女468(378)人と応募者増でしたが、他は、千代田区立九段区分B の男254(369)人・女377(469)人、都立立川国際一般枠の男290(339)人・女432(490)人、都立白鴎高附一般枠の男382(443)人、都立富士高附の女300(349)人、都立三鷹の男523(576)人・女538(564)人、県立相模原の女508(608)人、市立川崎高附の男女553(593)人、県立伊奈学園の男153(208)人・女276(334)人と軒並み減少しました。

公立中高一貫校の人気も落ち着いてきたわけですが、とはいっても応募倍率は4.5倍~ 9 倍台の高倍率です。公立中高一貫校は私立中のように合格者数を多く出しませんから、難しさに変わりはありません。

2017 年には、神奈川県の横浜市立横浜サイエンスフロンティアが中学を開校します。応募者がどれだけ集まるか注目したいところです。

 2017 年入試に向けて合格対策&受験アドバイス

2020年の大学入試改革をひかえ、中学入試も変わりつつあります。受験対策はどうすればいいのか、アドバイスをいただきました。

 厳しく変化の速い現代  失敗しない中学校選びは?

社会のグローバル化がすすみ、厳しく変化の速い時代にあってわが子の中学校選びも難しくなっています。今の子どもたちが社会に出ていくころには、仕事も世の中のしくみも価値観も現在とまったく違うものになっているかも知れません.そんな時代を生き抜き、これからの時代に通用する力をつけるための中学校選びをどうすればよいのか、悩むところです。教育改革の目的も子どもたちに“生きる力”をつけるためのものなのです。

こうした流れに私立中学も無縁ではありません。学校改革を行ったり、適性検査型・思考力型入試などの新しい形の入試を実施したりと、新しい教育をめざし変わりつつあります。

中学入試を受験するにあたって保護者の方は、まずこうした時代の流れを念頭におき、そして、わが子が10~30 年後に自分の力で生きていくためには何が必要か、どういった学力をつければよいのかを考えてください。

現代はひと昔前のような、難関大学を出て一部上場企業に入れば一生安泰という時代ではありません。これまであった仕事の多くを人工知能が人間の代わりにやる世の中になっていくことは間違いないでしょう。これまでの価値観が通用しない時代となることを前提に、子どもの将来を考える必要があります。

時代に合わせて私立中学も変わりつつあります。ただその変化の度合いは学校によって異なります。それをしっかり見極めるために保護者がやるべきことは、学校に足を運び自分の目で見て肌で感じることで、家庭の教育観や期待と合うかどうかを判断することです。わが子がいちばん可能性を広げることができる学校はどこなのかを選ぶことです。

私立中学のよさは、学習面だけでなく「心の教育」を実践する点にもあります。2016年入試では、「心の教育」を重視する学校の志願者が増えました。これまでの進学実績や合格偏差値を重視した学校選びという枠を外れ、別の価値観で学校を評価してわが子の受験校を決めるという選択が、保護者の間に広がり始めているのでしょう。

大学入試改革は中学入試にも影響を及ぼしています。大学入試はどう変わるのか、志望する中学の教育はどうなるのか、保護者の方はこれらの情報をキャッチし学校選びに生かしてください。説明会に行き雰囲気を肌で感じることで家庭の教育観に合った学校を選べるはずです。

 記述式問題が増加。自ら考え表現する力をつけることが大切

2016 年の中学入試では、資料を読んで考えて記述する適性検査型・思考力型入試、また自己アピールと作文・面接を実施した習いごと入試(ポテンシャル入試)などもありました。思考力型入試でなくても、入試問題は記述問題や、思考力を試す問題が増えてきています。記述式問題を以前から出題していた学校もありましたが、大学入試改革の記述式問題導入の影響もあって増加しています。

こうした新しい形の問題には暗記力や知識だけでは対応できません。もちろん基礎となる各教科の知識は、自ら考えるための根本となるものであり必須です。それらを身につけたうえで、さまざまな体験を通して自分で考える力をつけ、それを書く力、表現する力を養うことが重要でしょう。

そういった新しい学びを指導できる塾選びも必要となります。親子で力を合わせて合格を勝ち取ってください。


プロフィール

北 一成(きた・かずなり)

中学受験界でのキャリア31 年。日能研、みくに出版『進学レーダー』編集局長等を経て日本Web 学校情報センターを設立。学校選びと合格へのアドバイスには定評がある。




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