2021-05-19

パスナビスペシャルインタビュー
コロナ禍の2021年入試から 2022年入試を予測する!最新の入試状況&トレンドを知って、ベストな学校選びをしよう!

首都圏中学模試センター取締役教育研究所長 北一成先生
首都圏模試センター 取締役教育研究所長 北一成先生

中学入試は、子どもの将来を左右する最初の関門です。保護者には、子どもを合格というゴールまで無事に導くことが求められます。これは平時でも大変なことですが、コロナ禍という未曽有の出来事で、より困難さが増しています。
しかし、さまざまなトラブルや不安を乗り越えるには、正確な現状認識と必要な情報を漏れなく獲得することが必須です。今年の入試の現状と、来年の入試について、首都圏模試センターの北一成先生にお話を伺いました。

この記事は『2022年度入試用中学受験案内』(旺文社)より転載しました。

コロナ禍にもかかわらず今年も総受験者数は増加!

 昨年来続くコロナ禍により、今年の中学受験もとても大きな影響を受けました。
 昨年3月から5月まで、政府から全国の小中高校に休校要請が出された時点で、当初、今年の首都圏(1都3 県【神奈川、千葉、埼玉県】)での私立中学・国立中学入試の受験者総数は減少するのではと予測されました。ところが、実際には総受験者数は約50,050 人と、前年に比べ約650 人増えました。
 2018 年から昨年の入試まで毎年、約2,000 人ずつ受験者総数が増えていましたので、伸び率は下回ったものの、今年も微増したことで2015 年から7年連続の増加傾向が続きました。
 今年1月に首都圏で再び緊急事態宣言が発令されたことで、受験生やその保護者の間では、大きな動揺が走りました。しかし、それにもかかわらず受験者総数が増加したことには驚かされました。


1都3県の私立・国立中学の受験者数の推移

男女別の平均の出願校数は?

今年も私立中学人気が維持された理由とは?

 例年、1月に埼玉県と千葉県で首都圏の私立中学入試が始まりますが、今年は両県の各学校の総受験者数が減るという予測も当初、されていました。
 しかし、実際には埼玉県の入試の初日である1月10日に入試を実施した各校の受験者数は、一部を除いて増えました。それは、「コロナが心配だけど、入試に慣れておきたい」という心理が強く働いたからと思われます。一方、千葉県での入試の総受験者数は前年に比べて微減となりました。
 首都圏全体で、コロナ禍によるさまざまな影響下があったにもかかわらず、私立中学受験の人気が衰えなかった要因のひとつに、昨年3月から5月にかけて全国の小中学校が休校となった時期に、私立中学のほとんどがオンライン授業に素早く切り替えたことがあげられます。
 早い学校では2月末~3月初旬から、そして大半の私立中で5月半ばまでにはオンライン授業やホームルームがはじまりました。
 その間、生徒たちの学力維持はもちろんのこと、生活リズムや健康維持、担任から各生徒への声がけなどが行われたのです。
 これにより、休校中であっても教師と生徒たち、クラスや部活動の仲間との「つながり」が維持されました。こういったきめ細かい対処は私立中学ならではと言うことができます。
 一方で、これまで受験勉強をがんばってきた受験生と保護者たちが、コロナに負けずに初志貫徹して受験にチャレンジした結果なのは言うまでもありません。


入試にあたり各学校が実施したさまざまな措置とは?

 コロナ禍の影響で、今年の入試では各校ともさまざまな措置を取りました。
 入試当日の受験生全員への体温測定にはじまり、受験生の分散・時差登校、試験会場の座席の間引き、さらには保護者のために校庭を臨時駐車場にするなど、各校でさまざまな策が講じられました。
 例年、1月の入試で約6,000人もの受験生を集める栄東では、これまで1月10日に実施されていたA日程(第1回)入試を2回に分けて実施することで、多くの受験生を分散させました。
 そして、試験当日に発熱等で受験できなかった生徒に対し、追加入試や追加日程を組んだ学校が約30 ~40 校ありました。
 なかでも、開成が追試を行うことを発表後、準難関〜中堅校でも追試を行うところが一気に増えました。ところが実際には、追加入試を受験した生徒数はとても少なかったようですが、こういった措置を各学校が取ると発表したことで受験生や保護者にとっては安心材料のひとつとなりました。
 一方、1月になり再び緊急事態宣言が発令されたことで、急きょ面接の中止を発表した学校が全部で14、15 校にのぼりました。特に女子の御三家はすべて中止としました(桜蔭は記述型に変更)。また、これまで面接を重視してきた女子のミッション系の学校(フェリス女学院など)でも中止する学校が増え、全部で約10 校に達しました。こういった措置は、来年の入試でも引き続き行われる可能性もあるので注意が必要でしょう。

2月1日実施の東京・神奈川の入試を振り返る!

 2月1日に東京都と神奈川県で実施された午前と午後入試の実受験者数を下の【表2】にまとめました。
 両都県とも総数は昨年より増加しています。細かく見ると、午前入試は、東京都と神奈川県の男子校・女子校とも前年より微減しました。一方、共学校は両都県で前年より増えました。
 午後入試は、東京都では前年よりいずれも微増していますが、神奈川県では男子校・女子校が微減しました。
 コロナ禍で、子どもに負担をかけたくないという考える保護者が増えることが予想され、今年の午後入試の実受験者総数は減るのではという見方もありましたが、結果は全体として前年より微増となりました。


2/1の東京都と神奈川県の実受験者数(一部推定、単位:人)

大学入試改革に連動して中学入試も変化を続ける

 今年は「大学入学共通テスト」が始まりました。当初、予定していた記述式問題の出題や英語の外部試験の導入は見送られましたが、各教科で、これまでとは異なったタイプの問題が出され、知識に加えて思考力や表現力、判断力が問われる試験となりました。
 こういった出題傾向の変化の背景には、現代社会がICT(情報通信技術)の急速な発展に伴い、日本を含む世界全体で社会全体の構造の変化が起きていることがあげられます。また、さまざまな面でグローバル化が速いスピードで進んでいます。つまり、今後の社会で生きていくためには、さまざまな問題に対し自ら考え行動できる力が何より求められます。また、活躍の舞台は世界に広がることは間違いありません。
 各私立中学では、そういった社会に対応できる人材の育成に取り組んでおり、それに対応して中学入試の改革や中学・高校を通じてのカリキュラムの見直しなどに力を注いでいるのです。

オンライン入試実施校が増加。来年以降の動きも注目!

 コロナ禍の影響で、今年の入試ではオンライン入試の導入校が増えたことは特筆できます。まず、一般入試の前に行われた帰国生を対象にした入試でオンライン入試を実施した学校は10 校以上に達し、外国在住の受験生にとってはとても助かった措置となりました。
 一般入試でも、北鎌倉中学が面接をオンラインで実施し、昭和学院は今年から実施した算数1科目入試で、学校に来て受験するかオンラインで受験するかを選択できるようにしました。ほかにも日大豊山女子の英語インタビュー型入試をオンライン入試で実施しました。
 当初は一気にオンライン入試が増えることも考えられましたが、各教科の筆記試験ではオンライン入試での公平性や公正性が保てるかという議論もあり、都内の私立中学では今年は自粛する申し合わせを行いました。しかし、英語入試のインタビューや面接試験などでは、オンラインで行うことに支障はないと判断されたのです。
 来年以降、オンライン入試の導入に各校がどのような判断をするかは注目すべきでしょう。


新タイプ入試の導入校の増加傾向は続く!

 中学入試では、従来の4教科型・2教科型入試に加え、新タイプの入試を導入する学校の増加に、今年も拍車がかかっています。
 その代表的なものに「適性検査型(思考力型)入試」をはじめ「英語(選択)入試」、「プレゼンテーション型入試(自己アピール型)」、「プログラミング入試」などがあります。
 まず、「適性検査型入試」とは、各教科の枠を超えた問題に対し、自分の知識や思考力をもとに解答を導き出すというスタイルです。実施校は首都圏の私立中学で例年、増加しており今年は152 校にのぼり、全体でのべ約14,500 人の応募がありました。
 その背景に大学入試のスタイルが今後、「適性検査型入試」に変わること、さらには公立中高一貫校の入試が似たスタイルで実施されていることもあげられます。
 そういった意味で、今後の中学入試で「適性検査型入試」が増えることは間違いありません。
 また、「英語(選択)入試」を今年、実施した学校は全部で143 校(2019 年は125校)と、ここ数年、増加しています。そのスタイルはさまざまで、国語・算数・英語の3教科型、英語と国語か算数を選択する2教科型、英語1教科型となっています。
 「プレゼンテーション型入試」の内容もどんどん進化しており、宝仙学園中学高校共学部理数インターや聖和学院、日大豊山女子などの試験はユニークかつ斬新なものでした(下のコラム参照)。
 新タイプを実施する学校は中堅校に多く見られます。こういった学校では、従来の筆記試験だけでは測れない受験生の潜在的な能力などを評価したいと考えています。
 一方で、新タイプ入試にチャレンジする受験者の多くは、難関校を目指すために進学塾に通ってきたというより、何らかの習い事をしつつ私立中学受験にもチャレンジしたいと考える生徒が多いのも現状です。
 こういった動きは今後も続くことが予想されます。

男子校では獨協、女子校では鷗友学園女子の人気が上昇!

 男子校、女子校、共学校別で今年の入試で人気が高かった学校を見ると、男子校では、獨協が今年から2月1日午後入試を始め応募者が600 人を超えました。
 御三家では、開成、武蔵はほぼ横ばい、麻布は微減でした。
 女子校では鷗友学園女子が第1回、第2回ともに前年と比較して大きく応募者を増やしました。同校は豊島岡女子学園や洗足学園、吉祥女子と同様に御三家に続く難関校ですが、御三家を避けた受験生が多く集まったことが要因のひとつと考えられます。また、昨年も同じような傾向がありましたが、女子校のミッション系の学校の人気が戻りつつあるという傾向が続いています。
 共学校では、今年から共学校となった芝浦工大附属では、女子を受け入れることで男子の難度も上がりました。また、今年開校した広尾学園小石川は、広尾学園の姉妹校で、同学園と同等・同質の教育を行うことを発表し、多くの応募者を集めました。
 一方、共学校が多い大学付属校各校の人気は今年の入試でも続いています。それは、男子校・女子校でも同様で、女子校では日本女子大附属や女子美術大学付属などが今年も人気がありました。
 これまで付属校だと早慶をはじめMARCH の付属校人気が先行していましたが、ここにきて日本大学や東海大学の付属校各校の人気も上昇しています。
 大学付属校に進学すれば系列大学に進学できる可能性が高いという安心感があります。
 一方、ここ数年、付属校各校では大学受験だけにとらわれない特徴あるカリキュラムを導入する学校も増加し、それに共感する受験生を多く集めているという状況もあります。

ここ数年、数多く新設された公立中高一貫校に注目が集まる!

 今年の入試では、これまで続いてきた公立中高一貫校人気が、落ちついた感があります。
 しかし、茨城県は、今年、土浦第一高校と水戸第一高校が附属中学を開校したこと、さらには昨年から続く開校ラッシュも相まって、公立中高一貫校人気は高まっています。
 一方、これまで、公立中高一貫校は各都県のトップ高校の附属校に注目が集まっていましたが、ここ数年、開校した各校が取り組む先進的な教育方針が評価され、それにより人気が上昇するという傾向があります。
 たとえば、川崎市立川崎高校附属中学や平塚中等教育学校、大宮国際中等教育学校、さらには今年、開校した川口市立高等学校附属中学などがその好例です。

グローバル教育とSTEAM 教育推進校に注目!

 私立中学や公立中高一貫校のなかで人気が高い学校の特徴として、前述したように先進的な教育方針を積極的に取り入れていることがあげられます。その際のキーワードとなるのがグローバル教育とSTEAM教育です。
 グローバル教育の実例として、国際バカロレア機構が提供するプログラムを導入し定められたカリキュラムを修得し卒業すると、海外の大学の受験資格を得られる学校が増えています(IB認定校)。
 また、国内と海外の二つの学校の卒業資格を得られるプログラム(ダブルディプロマと呼びます)を導入している学校も複数あります。
 そういった学校は女子校や共学校に多く見られますが、男子校でも海城や聖学院はグローバル教育の先進校として知られています。
 さらに、昨年、巣鴨が日本で唯一、中学・高校教育で高い教育レベルを誇る全世界の有名校40 校が加盟するWLSA(ウルサ)に加入し注目を集めました。
 一方、STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering( 工学)、Art( 芸術・教養・創造性)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた造語で、科学的・数学的な思考力に加えて、芸術分野で求められる創造性、さらには、その基礎となる教養などをトータルに身につけさせることを目標に掲げる教育方針です。
 近未来社会では、科学技術が急速に発展し続けることが予測されます。そのような社会で、自ら考え行動し、新たな変化を産み出せるような人材育成を目指しており、全世界で広く注目を集めています。
 前述した芝浦工大附属は、この教育方針を強く打ち出し、世界で貢献できる技術者・研究者を養成することを教育方針に掲げ、とりわけ女子の受験生に高い人気を得ました。


【コラム】新タイプ入試のひとつ「プレゼン入試」では受験生の創造性などが問われる!

 本文でも触れましたが、新タイプ入試は、年々、増えると同時にその内容は多様化しています。
 たとえば、例年、多彩な新タイプ入試を実施している宝仙学園中学高校共学部理数インターでは、昨年の入試から「読書プレゼン入試」を2回、実施しています。その内容は受験生が自分の好きな本について、5分間プレゼンテーションを行い、その後、試験官2~3名との質疑応答が15 分ほど行われました。
 また、日大豊山女子では、課題発見型の新しいタイプのプレゼン入試を実施しています。これは、事前に自分が日常生活で感じている問題や課題をひとつあげて、その解決法などを10分間プレゼンし、その後で2名の試験官と5分ほど質疑応答をするというスタイルでした。学校側によると、「自分の言葉で論理的に話せるか。幅広い視野を持って物事を見ているか」などがチェックポイントとなっています。

2022年入試を乗り切るために
北一成先生からのアドバイス!

コロナ禍が続くなかでの中学受験で気をつけておくべきポイントとは

 コロナ禍の完全な終息がまだ見えない状況下、各校とも来年入試に向けてさまざまな対策を取ってくることは間違いありません。
 まず、学校説明会はほぼすべての学校がオンラインで実施することになるでしょうから、必ず参加することが求められます。
 その際、各学校のオンライン説明会がどれだけ丁寧に作られているかをチェックしてください。なぜなら、上手にオンライン説明会を開催している学校はICT 環境が整備され、それを使いこなすスキルが高く、在校生へのオンライン授業等の質も高いと考えてよいからです。
 今回のコロナ禍で各校ではオンライン授業を始めましたが、そのメリットを生かし、今後も積極的に取り入れていく傾向にあります。
 オンライン説明会は、ほとんどの学校で夏休み前くらいまでには実施されます。そういった意味では、自宅のWi-Fi などのネット環境は整えておいたほうがよいでしょう。
 一方、自分の目で学校の雰囲気や在校生たちの様子を見ることも欠かせません。現在では、少人数の学校訪問を受けつける学校が多いので、親子で参加するようにしてください。
 入試までのこれからの1年、受験生と家族のみなさんには、おおらかな気持ちで毎日を過ごしてほしいです。


プロフィール

北 一成(きた・かずなり)

中学受験界でのキャリア35 年。日能研、みくに出版『進学レーダー』編集局長等を経て日本Web 学校情報センターを設立。学校選びと合格へのアドバイスには定評がある。




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