2019-04-15

高い人気を誇る! 公立中高一貫教育校を知ろう!! 2020年度入試用

 近年、公立の中高一貫教育校が人気です。 私立校に比べてどのような違いがあるのでしょうか?

公立の中高一貫校って?

 文部科学省が中高一貫教育制度を打ち出して制度をスタートしたのは、1999年のことでした。中学3年間、高校3年間という従来の制度に加えて、生徒や保護者が6年間の一貫した教育課程や学習環境の下で学ぶ機会が選択できるようにすることで、教育の多様化をはかったのです。
 これを受け、全国各地で公立中高一貫教育校が設置され、下のグラフを見てもわかるように、年々公立中高一貫校は増え続けています。首都圏でも2005年に都立白?高等学校附属中学校が誕生して以来、次々と新しい学校が開校しました。
 中高一貫教育では、6年間を見通したカリキュラムが組めるため、効果的に授業が進められます。すでに導入していた私立中高一貫校では、受験指導を効率的に行えるため、大学入試において高い成果をあげてきました。東大合格者数上位校を見ても、私立中高一貫校がほとんどです。
 これまで私立に行くことでしか受けられなかったこのような中高一貫教育を、経済的負担が比較的少ない公立中高一貫校でも受けられるようになったため、その人気は高くなっています。

公立中高一貫校の推移

どんな種類の学校があるの??

 公立中高一貫教育校には、大きく分けて次の3 種類があります。3タイプのうち、私立校に最も近いのは1.と2.のタイプです。

1.中等教育学校

 中・高の6年間を通じて完全中高一貫教育を行います。高校の募集を行いません。中学の課程を「前期課程(1・2・3年)」、高校の課程を「後期課程(4・5・6年)」とし、学校独自の教科の設定が可能です。
 後期課程進級時に試験がなく、また外部からの生徒(外進生)が入ってこないため、緊張感がなくなったり、コミュニケーション力アップ、人間関係の構築にやや不安があります。

2.併設型

 都道府県などが設置する中学と高校からなり、一貫教育が行われます。もともとある高校に付属の中学校を新設するケースも多く見られます。
 中学卒業者はそのまま高校へ進学可能ですが、外部の生徒を受け入れるための入試も行われます。中学からの内部進学者(内進生)と高校からの外進生が交わることで刺激になり、中だるみしやすい中高一貫校のデメリットを解消できます。

3.連携型

 地域にある別々の中学と高校が協議し、教育の一貫性に配慮しながらカリキュラムを作成します。場合によっては、1校の高校に対して、複数の中学が連携するパターンもあります。
 中学には一般の公立中学校と同様に、決められた学区の学校に無選抜で入学します。連携校への進学には簡単な選抜がありますが、指定校推薦の枠が設けられているなどの特徴があります。

選抜方法は?都立中高一貫校の共同作成問題とは?

 私立校とのいちばんの違いは、その選抜方法です。公立の中高一貫校では、学校の特色に応じ、報告書、適性検査、面接、実技、作文などを組み合わせた選抜方法となります。
 首都圏では適性検査による選抜が一般的で、「受験」と区別して「受検」と呼びます。
 都立中高一貫教育校10校(小石川、白?高校附属、両国高校附属、桜修館、富士高校附属、大泉高校附属、南多摩、立川国際、武蔵高校附属、三鷹)では、共同で作成した問題(共同作成問題)と独自に作成した問題(独自問題)との組み合わせによる入試が行われます。
 共同作成をするのは、与えられた文章をもとに的確でまとまりのある文章を書く力をみる「適性検査Ⅰ」と、与えられた資料をもとに課題を発見し解決する力をみる「適性検査Ⅱ」です。
 適性検査Ⅰは大問1問、適性検査Ⅱは大問3問からなり、これら4問のうち1問または2問を各校独自問題に差し替えます。ただし、適性検査Ⅲ(独自問題)を実施する学校は差し替えは1問以内とされています。各校が共通作成問題と独自問題をどのように組み合わせて出題するかは募集要項に記載されています。
 都立中高一貫校の適性検査問題については「適性検査問題解説会」が実施されます。志望校のホームページなどで日程を確認して参加するとよいでしょう。

入学に必要な条件は?

 学校のある都道府県在住なら応募は可能です。たとえば東京都の場合、保護者と同居し、都内に住所があれば学区に関係なく都立の中高一貫校に応募できます。
 また、千代田区立九段中等教育学校では、千代田区民枠と都民枠にわけて募集を行っています。
 学校によっては、ある特定の教科に関する優れた能力、コミュニケーション能力、文化的な事柄に関する優れた能力などによって入学者を決定する特別枠や、海外帰国生徒枠などを設けている場合もあります。

学費はどうなっているの?

 中学校はもちろんのこと、中等教育学校の前期課程も義務教育であるため、学費はかかりません。高校においては、「市町村民税所得割額」と「道府県民税所得割額」の合算額が50万7,000円未満の世帯を対象に、授業料の支援として「就学支援金」が支給されるので、一部の家庭を除いては授業料の負担がかかりません。しかし、それ以外に教材費、給食費、修学旅行の積立金など年間20~30万円程度は必要になるので注意が必要です(首都圏の公立中高一貫校の学費については「公立中高一貫校&私立中 中学受験でかかる費用は?」を参照)。

大学入試の実績は?

 都立初の中高一貫校である白?高校が中高一貫校となって最初の卒業生の合格実績は、東京大学5 人、一橋大学2 人、東京工業大学3人、早稲田大学37人、慶應義塾大学15人、上智大学14人でした。その前の年はこれらの大学の中で合格者を出しているのは、早稲田大学の8人だけでしたから、当時は驚異的な数字として大変な注目を集めました。
 それ以来、翌年に初の卒業生を出した小石川、桜修館、両国をはじめ、どの中高一貫校も、大学への合格実績は大変良い結果をあげています。

私立校と公立校ではどちらがいいの?

 学費や入試制度の面から見れば、たしかに公立校のほうが魅力的な面もあるでしょう。しかし、公立の中高一貫教育校のもともとの設置目的は、「中学校と高等学校の6年間を接続し、生徒の個性や創造性を伸ばす」ことであり、決して大学進学を主眼としたものではありません。これは頭に入れておいてください。また、下の受検状況を見てもわかるように、募集人員が少なく受検倍率は相当高くなっています。
 現在、都立一貫校の選抜では以前のような「報告書」による事前の書類審査は廃止となり、全員が適性検査を受けられるようになっています。それでも、やはり厳しい入試になることを踏まえたうえで、慎重に検討されるのがよいでしょう。

公立中高一貫教育校 2019年度受検状況

※小石川の一般枠の男女別募集人員は、男子、女子各80 名から、特別枠での入学手続人員を、男女別に差し引いた数となります。
※白?高校附属の一般枠の男女別募集人員は、男子、女子各68 名から、特別枠での入学手続人員を、男女別に差し引いた数となります。
※白?高校附属と立川国際の「帰国等*」は、海外帰国・在京外国人生徒枠を表します。
※県立伊奈学園、さいたま市立浦和、さいたま市立大宮国際、県立千葉、県立東葛飾の受検人員は、一次の受検人員です。
※県立宇都宮東高校附属、県立佐野高校附属、県立矢板東高校附属の募集人員に対する男女の割合は、そのいずれかが6 割を超えないものとします。ただし、適性がある者を選定する際、男女いずれかが4 割に満たない場合は、この限りではありません

首都圏の2016年度以降開校予定 公立中高一貫教育校、連携型の公立中高一貫教育校
この記事は「2020年度入試用中学受験案内」(旺文社)より転載しました。



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