2020-05-28

教えて! 公立高校にはどんな学校があるの? 2021年度入試用

ひとくちに公立高校と言っても、さまざまな種類の学校があります。近年、公立学校改革が進み、単位制、総合学科、中高一貫教育校など新しいタイプの学校の設置も相次いでいます。受検生にとっては選択肢が広く用意されているわけですが、どんな学校があるかを知っていなければ、それも意味をなしません。ここでは、公立高校にかかわる仕組み、新タイプの高校などの概要を説明します。

Question1 全日制課程、 定時制課程、 通信制課程の違いは?

 高校には、学習する時間や修業年限などの違いによって、全日制課程、定時制課程、通信制課程の3種類の課程があります。それぞれの特色は次の通りです。

全日制課程

 授業は平日の午前から始まり昼間に行われます。卒業までの修業年限は3年です。高校の多くが、この全日制課程です。

定時制課程

 もともと、昼間は働いて夜でなければ学校に通えない生徒のための課程です。しかし、最近では、そうした生徒は少ないのが現状です。そのため個人の生活スタイルや学習のペースに合わせて授業を受けられるように、午前、午後、夜間と三部制で授業を行う昼夜間定時制の学校や、昼間に授業を行う昼間定時制の学校なども増えてきています。
 通常、これら定時制課程の卒業に要する修業年限は4年以上ですが、昼夜間定時制の学校などで、1日に学ぶ科目を増やせば3年間で卒業することも可能です。

通信制課程

 自宅で勉強をして決められた回数分のレポートを提出し、合格することで単位を修得する課程です。学習についての質問や指導を受けるためや、体育など学校に行かなければ受けられない授業のためなどで、月に2~4回程度は登校します。通常、卒業に要する修業年限は4年以上ですが、3年間で卒業できる場合もあります。

Question2 単位制と学年制は何が違うの?

 単位制の学校の説明の前に、まず単位について説明しましょう。単位とは、学習する授業の量を表す言葉です。一般に、50分の授業を週1回1年間学習して試験などで合格点を取って修得すると「1単位」、週に2回ある授業を1年間学習すると、「2単位」となります。
 一般的に単位制の学校では定められた単位数を修得すれば卒業ができます。入学年度による年次の別はありますが、学年の別がないため、同じ授業を違う年次の生徒と受けることもあります。単位を積み重ねて卒業を目指すというシステムなので、留年という概念はありません。しかし、必要単位数を取れなければ、3年間では卒業できなくなります。
 一方、単位制と対をなす制度が、なじみのある小学校や中学校のような、学年制です。学年制では、学年ごとで定められた単位数を修得しなければ留年となります。
 単位制の学校では必修科目以外に多くの選択科目が用意されており、生徒はそのなかから自分の学習計画や目標とする進路に応じて、自分だけの時間割を作成します。一方、学年制では、選択科目はあるものの、時間割のほとんどは学年別に学校が定めています。
 神奈川県立高校では、2017年度から単位制普通科を改編、「タイプA:生徒自らが時間割を組み立てる学校」と「タイプB:年次ごとの学びが中心となる学校」としています。

Question3 普通科、専門学科、総合学科─それぞれの特色とは?

 高校の学科には、大別して普通科、工業科・商業科などの専門学科、総合学科があります。

普通科

 普通教育を主とする学科で、設置数は最も多く「国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語、保健体育、芸術、家庭、情報」などの教科・科目を中心に学びます。理数コースや外国語コースなど、ある教科・科目を重点的に学べるコース制を設けている学校もあります。学力的には進学指導中心の学校やいわゆる進路多様校などさまざまです。

専門学科

 専門教育を主とする学科で、国語や数学、英語などの教科・科目に加えて、農業や工業、商業、産業、音楽、美術、体育などの専門知識や技術、技能を身に付けます。工業高校や商業高校などに設置された学科が代表的です。こうした職業教育や実技教育を行う学校のほかに、学習する内容は普通科とほとんど同じですが、特定の教科・科目を重点的に学ぶ理数科、外国語(英語)科、国際科といった進学指導中心の学科もあります。

総合学科

 普通科と専門学科の垣根を取り払い、双方で学ぶ内容が学習できる個性を生かした主体的な学習を重視している学科です。「国語や数学、英語だけではなく、商業や工業、コンピュータなどの専門科目も勉強したい」「まだ、将来の進路を決めていないので高校で勉強しながらじっくり進路を決めたい」といった人にぴったりの学科でしょう。自分の将来の目標とする進路や興味関心に応じて、数多く用意されている選択科目のなかから学びたい科目を選び、自分だけの時間割を作ります。こうした特徴のため、原則、単位制となっています。
 選択科目は、体系性や専門性などによって関連ある科目でまとめられ、そのまとまりを「系列」と言います。たとえば、「国際・コミュニケーション系列」「情報システム系列」「生命・自然系列」「ビジネス系列」などで、この「系列」の分類に学校の特色が表れます。
 先述の専門学科では、たとえば工業高校の機械科に入学すると、商業に関する勉強をしたくても実現が難しいのが一般です。しかし、総合学科では、興味のある複数の系列から、工業に関する科目と商業に関する科目を同時に履修できる点が特色です。
 1年次のカリキュラムはほとんどが必修科目です。「産業社会と人間」という科目を履修しますが、これは、自分はどんな人間なのか、職業とは何か、将来どんな職業に就きたいのか、高校卒業後にはどんな進路があるのか、そのためにはどんな勉強をすればいいのか、といった自分の生き方や将来の進路について考える授業です。この授業を履修したうえで、2年次からは、さまざまな選択科目から自分だけの時間割を作成していくことになります。

以上をまとめると下図のようになります。

高校の種類

Question4 中高一貫教育校ってどんな仕組みなの?

 中高一貫教育校とは、中高6年間をかけてじっくり学ぶことを目的とした学校です。私立学校では多く見られるスタイルですが、近年公立学校でも設置が相次ぎ、東京都には、2020年度現在17校(区立、連携型含む)あります。
 タイプは次の3通りがあります。

中等教育学校… ひとつの学校として6年間の一貫教育を行う学校。中・高にあたる3年ずつを前期課程・後期課程とするので、高校での生徒募集はありません。

併設型… 中高が接続されてはいますが、組織としては別々になっている形態。併設の中学校からは、入学試験なしで併設の高校に進学できます。高校での生徒募集もあります。

連携型…中学校と高校が、教員や生徒の交流、教育課程の編成などで連携している形態。

※「高校受験まるわかり」の読者の皆さんにとっては、高校募集があるという観点からすると、②③のタイプが要チェック校となります。

Question5 その他のタイプの学校について教えて!

 東京、神奈川、埼玉、千葉の各都県では、社会のニーズに対応した魅力ある公立高校を目指してさまざまな改革に取り組んでいます。昼夜間定時制課程の学校、単位制の学校、総合学科設置校、中高一貫教育校などが次々と誕生しています。ここでは、これまでに触れられていないキーワードを用いた学校について都県別に概要を説明しましょう。

東京都

進学指導重点校 … 難関国立大学等への進学を目指す学校です。国公立大学や難関私立大学等への進学を目指す「進学指導特別推進校」や、生徒の進学希望の実現を目指す「進学指導推進校」もあります。いずれも国公立大学等への進学に対応した教育課程の編成、土曜日や長期休業日等の補習・講習などの取り組みを行っています。2020年度の指定校は、進学指導重点校が7校、進学指導特別推進校が7校、進学指導推進校が13校です。

エンカレッジスクール …エンカレッジとは「励ます」「力づける」という意味です。学力検査による選考はなく、30分授業(1年次)や習熟度別授業、2人担任制、豊富な体験学習などによって生徒のやる気を育てる学年制の全日制学校です。

チャレンジスクール …小・中学校で不登校だった生徒や高校中退者などが、自分の目標に向けてチャレンジしていくことを支援する昼夜間定時制の単位制総合学科の高校です。

東京版デュアルシステム…在学中に企業で一定期間の就業訓練を行い、技術・技能を身に付ける職業教育のことです。工業高校のシステム導入校では希望者が、デュアルシステム科では全員が就業訓練を行います。企業での就業は実習の授業として単位認定されます。

産業技術高等専門学校 … 2006年4月に新たに設立された高等教育機関で2008年度から運営が首都大学東京に移管されました。5年間の本科を修了したあと2年間の専攻科に進学し、さらには、首都大学東京が設立した産業技術大学院大学に進むことも可能です。本科を修了して就職することも、大学3年次への編入学を目指すこともできます。

神奈川県

クリエイティブスクール … 学力検査によらない面接、自己表現活動など学ぶ意欲を重視した選考が行われます。これまで力を十分発揮できなかった生徒に対して、少人数授業や体験活動などによって、きめ細かい教育を行っていく全日制の学年制普通科の学校です。

フレキシブルスクール … 柔軟(フレキシブル)な学びのシステムを持つ単位制普通科高校です。一人ひとりが自分の興味・関心・進路希望に応じた学習計画をたて、卒業に必要な単位を考えて幅広い学習時間帯から自分の時間割を作ります。全日制・定時制を併置している高校では午前・午後・夜間から授業を選択でき、通信制を含む高校もあります。

埼玉県

パレットスクール … 昼夜開講、単位制の定時制高校の通称です。生徒は、自分の生活スタイルに応じて、午前部、午後部、夜間部のいずれかで学び単位を修得します。他部履修を利用して、授業の数を増やして単位を取っていけば3年間で卒業することも可能です。

千葉県

コミュニティ・スクール…保護者や地域住民が学校運営協議会を通じて、学校運営に携わっていくことで、地域に開かれた地域に支えられるより良い教育の実現を目指す学校です。

地域連携アクティブスクール…中学校で十分力を発揮できなかったけれど学ぶ意欲を持った生徒に対して、企業や大学など地域の教育力を活用しながら、学び直しや実践的なキャリア教育を行う学校です。地域とのつながりを重視した教育が特色です。

※各都県における「進学指導重点校」や上記の特色ある学校については、それぞれの公立高校一覧を参照してください。

この記事は「2021年度入試用 高校受験案内」より転載いたしました。

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