2015-10-10

【連載】編集部注目の学校 徹底レポート
広尾学園中学校・高等学校

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7月下旬、中学2年生全員が長野県飯田市の山中にある「大平宿」に滞在した。

「大平宿」は昭和45年に住民の集団移住により廃村となったが、「NPO活動法人 大平宿をのこす会」が保存活動をしている。 現在は「いろりの里大平宿」として、江戸時代の古民家で昔ながらの生活を体験できる施設となっている。

山の中のため、電波は入らない。携帯電話は一切使えず、インターネットも使えない。宿泊中に何かあれば、教員用に準備した1台の衛星電話だけが頼りだ。

施設には必要最低限の電気・水道が来ているが、基本的に電気製品は使えず、ガスは無い。

広尾学園大平宿内の様子


本研修は、広尾学園として初めての試みである。 都会に住む生徒にとっては滅多にない日本古来の暮らしを、生徒が体験する。

ICT教育やサイエンス分野などで最先端を走る広尾学園だが、 今あえて、その流れとは真逆とも見える研修をする意図は何なのか。

生徒に配布された宿泊研修のパンフレットに、その目的が書かれていた。

「生活体験学習を通じて、自律と共生の実現を目指す」

【1】 自ら行動することと、仲間との協力を通じて、自活できるだけの力強さを養う。

【2】 アナログ的な生活を過ごすことで、「あることが当たり前」から「ないことが当たり前」ということを実際に体験し、いかに自分たちが文明に頼って生きているかを実感する。

【3】 仲間との協力を通じて、人間は決して一人では生きていけないことを理解し、家庭を含めた一員であることを自覚し、共生の精神を学ぶ。


「編集部注目の学校 徹底レポート」連載の5回目は、この研修の様子の一部を紹介する。

広尾学園大平宿集合写真

現地に到着後、事務局の方から諸注意を聞く。うしろの建物はかつての学校だ。

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宿泊の準備をする。施設をぞうきんがけするなど、みんなで協力して掃除をする。


おなかがすいても夕食は出てこない。カレーの材料が提供され、グループで分担して調理する。

広尾学園大平宿カレー調理中

宿泊施設にガスが通っていないため、自分たちで火を起こす必要がある。

初めての人にとって薪に火をつけるのは容易ではない。新聞紙に火をつけると、新聞紙は勢いよく燃えるが薪に火はつかないことに気づく。どうすれば火がつくのかをみんなで考える。あるチームは野菜が入った段ボールに火をつけて薪にうつしたり、薪の重ね方を工夫して火をつけていた。そして、最終的には全てのグループが火を起こせた。

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炊飯器ではなく、かまどでお米を炊く。

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囲炉裏でカレーを煮る。うちわで扇ぎながら火加減を調整する。


風呂は薪で沸かすボイラー式である。ここでも火が必要だ。

広尾学園大平宿薪の火加減の調整

薪を動かしたり、吹く息の量を変えて、火の勢いを調整する。


この宿泊研修を計画した先生たちは、「ICT活用を決めた時からこういった生活体験プログラムを考えてきました。何もないところでの人と人の対話、火を見つめながら静かにもの思いにふけることなど、日常ではあり得ない環境の中に身を置くことで、真逆にある『豊かさ』を感じてもらいたい」と語る。

これから不透明な時代を生きる生徒たちに必要な環境、体験、学びとは何かを教職員たちが常に考え続けながら、広尾学園の教育プログラムは進化を遂げている。 今後も、様々なことを体験できる環境を生徒に提供していく予定だという。

最先端の教育だけでなく、様々な経験を通じて成長する広尾学園の生徒の今後が楽しみである。





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