2015-10-26

【連載】編集部注目の学校 徹底レポート 広尾学園
第6回 生徒全員が挑戦する「けやき祭」

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広尾学園の文化祭「けやき祭」が、10月3日と4日に開催された。今日は、編集部が訪問した10月4日の様子を紹介する。


活気溢れる爽やかなパフォーマンスで文化祭2日目がスタートした。 チアリーディング部「THUNDERS」の演技だ。

今年8月に行われた「JAPAN CUP 日本選手権大会」では、高校部門が6位入賞、中学校部門がフライデートーナメント出場という好成績を修めた。

けやき祭では、部員全員が笑顔を絶やさないでダイナミックな演技を披露した。


今年のけやき祭のテーマ「αgain(アゲイン)」を部員が彩った。ただし「α」はローマ字の「a」ではなく、ギリシア文字の“アルファ”を使っている。

「αgain(アゲイン)」には、3つの意味があるという。一つ目は、けやき祭全体そして生徒一人ひとりが今までの自分に「プラスα」すること。二つ目は、けやき祭を通して自分の成長の糧となるものを「gain(得る)」こと。三つ目は、成長する生徒一人ひとりや変化するけやき祭が、今までの自分の延長線上にあることを忘れず、過去を「again(継承する)」ことだ。

そのテーマどおり、けやき祭は楽しいだけのイベントではなく、生徒たちの日頃の学習成果を発表する「挑戦の場」であることが、取材を通して分かった。

けやき祭の特徴の一つに、全生徒が挑戦するプレゼンテーションがある。
テーマは各学年で異なり、中1が「興味・関心」、中2が「創造される職業」、中3が「平和」、高1・2が「研究」だ。 生徒一人ひとりがスライド資料を作成して来校者に向けて発表する。

この中2生は「退職後にも働きたいお年寄りのための転職先」をテーマに、人生経験が豊富な高齢者に向いている適職を考え、3つの職業を提案した。高齢化が進む日本で社会とのつながりを保つために、お年寄りが働ける環境を増やすことも大切であると語っていた。


高校生はもちろん、プレゼンの経験はまだ少ないはずの中1生も、手元の資料を見ないで堂々と発表していた。


インターナショナルクラスは、中1生から英語で発表する。
入学後はじめて英語を勉強し始めた生徒にとっては大きな挑戦だろう。

数分間の限られた時間内で、テーマを選んだ理由や内容などを説明し、自分の意見を語り、来校者に伝えるのは簡単ではない。来校者に質問を投げかけて興味関心を引きつけるなど工夫もあった。


帰国生として入学した中1生の中には、すでに100回以上プレゼンやスピーチを経験している生徒もいた。


医進・サイエンスコースの生徒たちの発表は、「DNA型鑑定」、「人工知能」といった普段耳にするテーマから、「白金代替触媒としてp型半導体を正極に利用したフレキシブル色素増感太陽電池の開発」、「プラナリアにおける幹細胞関連遺伝子の発現解析」、「多段階励起反応を用いた高性能DSSCsの開発」など高度なテーマまでさまざまだった。


▲各教室には、プレゼンテーションのタイムテーブルが貼られている。

発表後は来校者との質疑応答時間があるため、その雰囲気は文化祭というよりも学会の研究発表のような感じだった。


▲ 個人発表の様子の例 「DNA型鑑定」(医サイ2年生)

科学捜査の仕事に興味を持っている生徒の発表だ。DNAとは何かという点からDNA型鑑定の現状や今後の課題までを発表した。


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▲グループ発表の様子の例「質の良いiPS細胞をより効率的に作る方法」

山中伸弥教授のノーベル賞受賞をきっかけにiPS細胞に興味をもち、現在研究している高校1年生のグループだ。iPS細胞には、ES細胞と比べて倫理的な問題が無く、拒絶反応が起こらず移植治療ができるメリットがあるが、移植後にがん化を引き起こす可能性や、iPS細胞の作製効率が低いことが課題に挙げられている。

iPS細胞の作製効率には、「iPS化を促進する因子だけでなく、抑制する因子が関わっている」という点に注目して論文を探したところ、細胞の初期化を抑制する遺伝子を人為的に抑制することで100%の効率でiPS細胞を作製できたとする論文にたどり着き、その内容をプレゼンしていた。すべて英語で書かれている科学誌NATUREの論文を読み解き、自分たちの研究につなげていくというレベルの高さだ。


けやき祭では、プレゼンテーション以外に部活動などの諸団体もさまざまな企画で参加していた。


◆ ディベート部

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渋谷教育学園幕張中学高等学校の生徒を招待し、熱い議論を交わしていた。
けやき祭でのテーマは「日本の中学・高校は文化祭を廃止にすべきである。是か非か」だ。来校者にも分かるように、適宜ディベートのルール説明があり、「立論」「質疑応答」「第一反駁」「第二反駁」と続いた。

普段考えることが少ないであろう「文化祭の本質的な意義」をじっくり考える機会になった。


◆ 鉄道研究部

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コンテストで受賞したジオラマが並ぶ。来校者は走行体験もできた。


◆ 美術部

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作品の展示のほか、幼児から楽しめるキーホルダーの作成や、美術部の部員が似顔絵を描いてくれるコーナーもあり、1枚ずつていねいに描いていた。


◆3Dプリンタのワークショップやドローンの実演(ICTルーム)

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◆ Film Clubによる制作作品の上映会

Film Clubにはインターナショナルコースの生徒15名が所属している。今年、第1回「TELL Anti-Bullying Video Contest」において審査員賞と視聴者部門で1位を獲得した。約2週間という短い期間で作品を考案し、撮影・編集まで行った。 ※受賞作品はこちら



全生徒のプレゼンテーション以外にも、クラス全員が協力してオリジナル劇やダンスなどユニークなパフォーマンスを披露していた。


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高1生の劇「スクール シンデレラ」は、シンデレラが現実の学校に来るというオリジナルストーリーだ。恋愛シーンありユーモアありの台詞に会場が笑いに包まれた。


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インターナショナルコースの高1生は、リズミカルな英語の音楽にあわせてダンスを披露した。


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さらに、在校生だけでなく在校生の保護者も積極的に参加されていた。
「広尾ママ&パパの手作りコーナー」でオリジナルグッズを販売したり、「お父さんの模擬店」は本格的な豚丼、カレー、ホットドッグなどを提供していた。

広尾学園の生徒たちが、明るく元気に、そして真剣な眼差しで文化祭に取り組む様子が伝わってきた。エネルギッシュなパワーと新たな学びを得られる充実した文化祭である。






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