2016-10-05

【連載】編集部注目の学校 徹底レポート
第9回 全国大会で活躍!少林寺拳法部


芝中学校・高等学校の少林寺拳法部は、2002年に創設しました。創設当初から顧問である早川正信先生は、幼少の頃から少林寺拳法を続けていらっしゃるそうです。現在の部員数は全部で30名。柔道部や剣道部などと道場をシェアしながら、通常は火~金曜日に練習しています。

少林寺拳法部は毎年全国の大会に出場し、好成績を収めています。今年6月には東京都中学校少林寺拳法大会で、中学3年生の生徒たちが団体演武の部で優勝し、8月に全国中学生少林寺拳法大会に進みました。

7月には中学校・高等学校だけではなく、街なかの少林寺拳法道場から大学まで、すべての拳士が出場できる東京都大会で東京都代表として推薦され、10月に大分県別府市で行われる全国大会に出場します。

また、毎年8月には香川県多度津町にある少林寺拳法連盟本部で、全国から中学生・高校生拳士が集い合宿が行われます。約400名ほどの生徒が集まり、3日間にわたって開催されるこの合宿にも参加しています。


芝少林寺拳法

少林寺拳法部の気合があふれる練習風景。

芝少林寺拳法


初めに、早川先生に少林寺拳法とはどういった武道かについて、お聞きしました。


【早川正信先生】
少林寺拳法は、1947(昭和22)年に創始者・宗道臣によって、自信と行動力と慈悲心を持った社会で役立つ人を育てる「人づくりの道」として、香川県で創始された日本の武道です。もともと護身術のため、相手を倒す「勝ち負け」ではなく、「演武」による技の正確性が技術点として評価されます。
勝ち負けがない分、手と手を顔の前で合掌する「合掌礼」だけで皆と気持ちを通じさせることができ、誰とでもすぐに打ち解け仲良くなれます。
今回の学園祭でも、私の先輩の少林寺拳法・世界連合の指導員に、たまたま来日中だったインドネシアの選手を紹介していただき、少林寺拳法部の発表で行なわれた演武にも参加してもらえました。少林寺拳法は、子どもたちの人格形成において非常に良い影響を与える武道だと考えています。


芝少林寺拳法

少林寺拳法部顧問の早川先生。「少林寺の魅力は、仲間や友達がたくさんできるところ」と語る。


取材に伺った日は学園祭でした。この日は、中学3年生と高校2年生の皆さんにお話を伺いました。

芝少林寺拳法

写真左から 中学3年生:深見君、菊地君、駒形君、相澤君、原田君

芝少林寺拳法

写真左から 高校2年生:近野君、岩井君、田口君



-少林寺拳法部に入ったきっかけは何ですか?

岩井君
友達に誘われて少林寺拳法部を見学した時に、先輩たちの練習風景や演武を行っている姿を見て、「かっこいいな」と思ったのが入部したきっかけです。

田口君
私の場合は、ほかの中学では少林寺拳法部についてあまり聞いたことがなかったので、珍しいなと思って興味を持ちました。

近野君
帰り道が同じだった先輩から教えてもらったのがきっかけです。「少林寺拳法は、おもに護身用なんだけど、他の格闘技とは違った面白さや、変わった投げ技がある」と聞いて、興味を持ち、入部しました。

原田君
私はもともと幼稚園の頃から少林寺拳法をしていました。小4くらいで一度辞めてしまったのですが、芝中学校(※以下「芝」と略します)に入学後また始めたいと思い、入部しました。

相澤君
私は小さい頃から空手をやっていたのですが、には空手部がないので、代わりに少林寺部に入りました。

菊地君
に入学した理由は、じつは「落語」がやりたかったからなんです。落語は小学校1年生から4年生まで続けていたのですが、受験を機に辞めていました。入学後に、落語部を見学したのですが、思っていた雰囲気と違っていたのでやめました。そこで、ちゃんと運動したいと思い、色々な部に仮入部してみたのですが、ここが一番皆の仲が良くて、先輩たちも優しかったので入部しました。父親が少林寺拳法をやっていたこともあって親近感を感じたことも一因です。


-部活動を続けてきて感じる、少林寺拳法の魅力について教えてください。

菊地君
少林寺拳法の技は600以上あるんです。技のレベルが上がると、より難易度も高くなるのですが、一段階難しい技ができたときに、とても大きな達成感があります。また、後輩に技を教えることによって自分もより成長できます。少林寺拳法のそういうところが面白いと感じています。
今日も、学園祭にインドネシア人の拳士の方がいらしているのですが、少林寺拳法をとおして、他の学校だけでなく他の国の人たちとも仲良くなれることのも魅力です。


原田君
練習を続けることで、単純に強くなれるというのもあります。それと、少林寺拳法では、互いに礼儀をあらわす「合掌」を行なうのですが、これを交わすだけでわかり合えるのも、ほかの武道にはない魅力のひとつです。


-部活動をするなかで、大変だったことはありましたか?

岩井君
少林寺拳法は、ほかの武道と違って筆記試験があります。この勉強が大変なのと、技数が多いので覚えることがたくさんあり、新しい技を覚えていくと、最初のほうの技を忘れてしまうこともあります。試験はこれまで習ったところ全てが範囲ですので、復習するのに苦労しています。


芝少林寺拳法


-練習ではどのようなトレーニングを行なっていますか?

菊地君
腕の筋トレ、腹の筋トレといったように、部位別にトレーニングするのですが、最終的には体の軸の部分、体幹を鍛えることに趣をおいています。どれだけ外側の筋肉を強くしても、すべての筋肉は体幹につながっていますから、内側を強化する必要があります。体幹がしっかりしていないと猫背になったり、怪我が治りにくくなったりします。ただ、こうした筋トレを行なうときは、部員それぞれの体力、力、技の上手さになど、実力に応じて実施しています。練習はこういった筋トレから、演武を中心に行なっています。


-少林寺拳法を続けてきて、自分の中で変わったと感じたことはありますか?

原田君
少林寺拳法には「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」という自分の靴だけではなく、他人の靴も揃える教えがあります。小さいことですが、少林寺拳法を始めて、自然に靴を揃えることができるようになりました。


菊地君
私は「強くなりたい」という気持ちが強くなりました。以前より格闘技が好きになり、動画を観たり、個人的にヌンチャクを始めたりしています。こんな風に打ち込めるものができたことは自分にとってプラスになっていると感じます。自分の中で、一本芯が通せるものができたことで、ほかのことも同じようにつき通せると思っています。


原田君
中1の頃から変わったことといえば、けっこう筋肉がつきました(笑)。部活動中は、攻撃を受けるため、それに耐えられるようにと筋肉を鍛えました。少林寺の突きは、表面だけではなくて、中にひびく感じの重い突きなので、下手にくらってしまうと、かなり堪えてしまうんです。


岩井君
私は挨拶ができるようになりました。もともとシャイな性格なこともあり、小学校の頃は挨拶ができなかったのですが、少林寺を始めてからは、近所の人にも自然に挨拶ができるようになりました。


菊地君
少林寺を始めて、開脚ができるようになりました。初めは60度くらいしか開かなかったのですが、今は160度くらい開きます。お風呂あがりに自主的に柔軟するなど、日常生活の中でもトレーニングをするようになりました。


-皆さん、大会に出場されたことはありますか?

原田君
はい。あります。一人で行なう「単独演舞」というのがあるんですが、始めた当初はかなり緊張していました。


菊地君
中・高生は、大会では主に「演武」を行ないます。演武には、単独で行なう「単独演舞」2人一組で行なう「組演武」、6人一組で行なう「団体演武」があります。
単独演武のときは自分ひとりで行なうため、好きなようにできるのですが、逆に言えば頼れる相手はいません。組演武の場合は、2人で意見を出し合って、これまで習った技を組み合わせてゆくので、より演武を高めることができるんです。組演武は、相手を拠り所にできるため、単独演武よりは、精神的には楽ですね。
演武では、難しい技を使えば高いポイントを狙えるのですが、技の完成度が低いとマイナスになってしまうこともあるので、自分の力量を考慮しなければいけません。
また、これはすべての演武に言えることなのですが、常に相手がいることを想定して行います。つまり、目線は相手のいる位置からはずさずに行うのが演武の基本です。


田口君
服装と気合も評価の対象になります。気合というのは大きな声を出すことです。


芝少林寺拳法


-勉強はいかがですか?少林寺拳法との両立はできていますか?

全員
とくに問題はないですよ。勉強には支障はないです。


近野君
私は普段朝の6時に起きるんですけど、部活があって疲れて早めに寝てしまった時は、朝4時に起きて勉強することもあります。


-芝や少林寺拳法部の魅力を教えてください。

岩井君
男子校はとても気楽です。女子がいると互いの目を気にして、そんなにはっちゃけられないっていうのもあるんですが。いじめとかもあるかもしれないですし…。でも男子はいい意味でも悪い意味でも、思考回路が単純なんです。

原田君
中1で少林寺拳法部に入部したときは、初めだけ怖い思いをしました。武道ですから、練習中は蹴りや突きが飛んできたときに恐怖を感じたんですけど、練習が終わると、皆優しい先輩だとすぐにわかりました。

菊地君
最初のうちは先輩からバンバン突きがきてたんですけど、いま思えば、先輩たちも本気でやらないと、こちらも本気で守らないので、真剣な駆け引きをきちんと教えてくれたのかなって思います。部活動では後輩も先輩も皆、本当に仲が良いです。少林寺拳法部の合宿中で、銭湯に行くときは先輩・後輩が一緒に行くこともあります。
は、学校全体がおっとりしている雰囲気があります。ガツガツしていないっていうか…。先生たちにも、「こうしろ、ああしろ」的な威圧感はありません。生徒にゆだねる部分もあるし、先生が助けてくださる部分もあって、ちょうど良い関係です。そんな中でも、勉強しなくなったらそれは自分の責任なので、皆勉強は頑張っています。

芝少林寺拳法


芝少林寺拳法




■取材を終えて(編集部)
普段はあまり接する機会のない少林寺拳法部の取材でしたが、顧問の早川先生をはじめ、部員の皆さんから少林寺拳法の魅力を丁寧に教えていただきました。創始者の「人づくりの道」の言葉どおり、礼儀を重んじる武道とのこと。お話を聞きながら、肉体面の強さだけでなく、精神面も鍛えられている印象を受けました。
また、インタビューの中でもたびたびふれられていますが、部員たちの仲の良さや、生徒たちを温かく指導する早川先生の様子がしみじみと伝わってきました。
芝中学校・高等学校の持つゆったりとした雰囲気の中でも、生徒自身が自立心を持ち、メリハリを意識している姿がとても印象的でした。



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