2020-06-22

【連載】編集部注目の学校 徹底レポート
芝中学校
中学2年 「つくば研究学園都市」での校外学習に参加した皆さんにインタビュー


はじめに


2月14日、芝中学校・高等学校の中学2年生(現中学3年生)は、3学期の校外学習として、つくば研究学園都市内(茨城県)の研究施設を見学しました。
生徒さんたちは、事前に下記14の施設のなかから興味のあるところを選び、約2か月ほどかけて事前準備を行ったそうです。
当日は「つくば駅」に各班ごとに集合、そこから各々の目指す施設に徒歩や公営バスを利用して移動し、施設では約2,3時間ほどかけて見学しました。
今回は、生徒さん3名(3年A組 塩谷知洋君/3年E組 鬼丸真大君/3年E組 福井康生君)と、当校外学習を企画された上條唯志先生(生物科)、大澤雅仁先生(地学科)にお話を伺いました。


【校外学習・研究施設】
・食と農業の科学館
・土木研究所
・防災科学技術研究所
・高層気象台
・農林水産業研究センター
・地図と測量の科学館
・KEK コミュニケーションプラザ
・JAXA 筑波宇宙センター
・理化学研究所
・建築研究所
・物質材料研究機構
・サイバーダイン・スタジオ
・つくば実験植物園
・サイエンススクエア+地質標本館


芝学園
鬼丸君[上]、塩谷君[左下]、福井君[右下]。(今回のインタビューはオンラインで行いました)。


――本日はよろしくお願いいたします。はじめに今回の校外学習の趣旨についてお聞かせください。


大澤先生
校外学習では、次の2つを目的としました。

① 最先端の研究現場を見ること。
└普段の学校生活では触れることの難しい、本物の世界と研究者の方から多くを感じ取る。
② 自ら考えて訪問施設を選択し、行動計画を立てて実行すること。
└自分の興味に耳を傾け、十分に下調べをした上で、考え抜いて施設を選ぶ。各施設への訪問については、教員引率のない所もある。当日は自主的に行動する。

私ども教師も、授業で様々なことを教えることはできるのですが、実際の研究者の本音などは当人に聞くのが一番です。生徒たちに「本物を手に取って見る」という経験から、興味のある分野を探究してほしいという思いがあり、今回の校外学習を企画しました。


上條先生
生徒たちには、事前学習でしっかり研究の内容について予習するよう指導しました。
当日は研究者の方に直接質問する時間を用意していましたので、「本物の研究者のところに行くのに、適当な知識で臨むのは失礼にあたる」と伝えていました。
校外学習後は、感想も含めたレポートとして「取材ノート」という冊子を制作することになっていましたので、生徒たちは真剣にメモを取っていました。
今回の校外学習では、事前も事後もやることがたくさんあったと思います。


――なるほど。皆さんはどの施設にいらっしゃいましたか? 印象に残った展示や難しかったことがあれば教えてください。


塩谷君
私は『地質標本館』と『サイエンススクエアつくば』を回りました。

地質に関しては元々興味のある分野でした。夏休みの自由研究でも取り上げたので、調べたことと重ね合わせることができそうだと思い、希望しました。
地質標本館は、多くの鉱物や化石、岩石の標本や日本と世界の地質、火山などの模型が展示されています。
普段、資料集などでは地質の表面だけしか見ることができませんが、「地質のはぎ取り標本」では立体的な展示が見学できたので、深い理解が得られました。
また、巨大な日本列島の模型に地質に関する様々な情報をプロジェクションマッピングで投影する展示物では、地形の観察ができてとても面白かったです。

サイエンススクエアつくばでは、最先端の科学技術に触れることができました。
ここでは海水をシャーベットにする「海水シャーベット氷」の技術や「3D触力覚技術」などを見学しました。
何もない空間に作り出される感触を体験できる「3D触力覚技術」は、五感をつかった展示方法が面白かったです。
ほかにも、アザラシ型のセラピーロボットが展示されていたのですが、班のメンバーと「なぜ猫や犬じゃなくてアザラシなんだろう⁉」と盛り上がりました。
ただ、「メタンハイドレード」に関する技術については専門的すぎて、理解するのが難しかったです。



芝学園
『地質標本館』でのプロジェクションマッピングによる展示。

鬼丸君
私が見学したのは、『物質材料研究機構』です。
この研究所のコンセプトは「新しい世の中に役立つ物質を作る」ことでした。
もともと科学が好きだった私は、YouTubeで「形状記憶物質」や「超撥水」などの研究を紹介する動画を見て興味を惹かれ、この施設を選びました。

当日は研究者の話を聞くだけでなく、研究所で作り出された物質を肌で感じることができたのがとても良かったです。事前に動画で見ていたものが、CGではなくて現実だったことに感激して、思わずスマホでも動画を撮ってしまいました。

印象に残った研究テーマは「超撥水」です。
これは表面張力によって発生するのですが、説明を聞いて面白いと感じたのは、研究者がこの技術を開発したきっかけでした。それは、蓮の葉が水をはじくのを見て、「これは何かの技術に応用できないか」と考えたことだったそうです。これまで自分が日々生活していて「撥水」なんて当たり前のようにあるものだと思っていましたし、蓮の葉を見ても「水滴がついていないな…」くらいにしか思わないのに、そこからこうした技術を思いつくのが本当にすごいなぁと、感心しました。
この「撥水技術」は、「錆」や「凍結」防止等にも応用されたり、船の側面に施して摩擦を少なくし、船の燃費をあげるなど様々なことに使われているそうです。
こうした説明を聞いて、いま勉強していることをそのまま受け取るだけでなく、そこから応用できるようになれたらいいなと思いました。今回の経験は、今後生きていくうえで大いに参考になりました。


上條先生
鬼丸君の見学した物質材料研究機構でも、専門家の先生に質問する時間があったのですが、かなりマニアック(笑)な内容を用意してきた生徒がいました。すると、担当の方が「質問内容を専門に研究している先生を連れてくるので、直接聞いてみましょう」と、会議中の研究者の方を呼び出してきてくれたのです。
生徒も感激していましたし、研究者の方もこうした質問をとても喜んで、気さくにわかりやすく説明してくださったシーンが印象に残っています。


芝学園
『サイエンススクエアつくば』での記念撮影。

福井君
私は『KEKコミュニケーションプラザ』を回りました。
この施設では物理を専門に研究しています。

ここでは「超電導」と呼ばれる「磁石が浮く」現象や、宇宙の起源の様子を見学しました。とても広い施設で、東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせたサイズとのことでした。

私は小学生の頃から「カミオカンデ」がすごく好きで、興味を持っていました。見えないものを研究することにロマンを感じるというか…。宇宙にも興味があったので、今回はここが一番自分に近そうな研究所だと思い選びました。

研究所では、初めに「超電導」について学びました。
特定の金属や加工物を非常に低い温度で冷却すると、電気抵抗がゼロになり磁場も追い出します。その結果、磁石が浮くのです。
レールの上を超伝導物質のコースターが滑走している展示を前に説明を聞いたのですが、正直すごく難しかったです。
この技術は身近なものだと、リニアモーターカーに使われています。
最新の研究では、電気を送る「送電技術」に応用され、実用化に向けて実証試験が繰り返されているそうです。
同じ班の皆で「不思議!面白い!」と、盛り上がりました。ただ、難しすぎて「?」状態になってしまうこともありましたが、わかるまで質問させていただきました。

宇宙の起源については、地下の施設で直径1キロメートルくらいの最先端の大型粒子加速器を使って再現し、研究しているそうです。今回見学はできませんでしたが、この装置を測定する部分は見ることができました。

研究者の話で印象に残ったのは、「『こうあるといいな』ということを目標に設定したら、そこに向かってつっ走ろう!」でした。これは自分の日常生活でも大いに参考になる話だと思いました。ありがたいことを教えていただきました。



――皆さん、とても専門的なお話を伺ったのですね!先生たちは生徒さんを見ていて感じたことや印象に残ったエピソードはありますか?


大澤先生
生徒たちは、それぞれ興味を持って希望した施設を見学したこともあって、説明を受けているときの“食いつき具合”に驚かされました。どの子も、目を輝かせて一生懸命メモ取っていました。もちろん授業のときもみんなよく聞いてくれるのですが、より一層引き込まれている様子でしたので、私としてもこのくらい食いついてもらえるよう、授業を頑張ろうと思いました。


上條先生
今回、講義を聞く施設も多かったのですが、大澤先生もおっしゃっていたように普段の授業の何倍も集中して聞いている生徒たちの姿が印象的でした。こうした様子を見ていて、子供たちが外部の大人たちと関わるのはとても大事なことだと感じました。

事前に、教師たちだけで各施設を見学したのですが、私たちも夢中になって見入ってしまう内容でした。大人も楽しめるというのは本物だからこそと感じました。今回の経験から刺激を受けた子の1、2名でも、将来研究者になってくれたら嬉しいなぁと思っています。



――興味ある分野ならではの生徒さんたちの反応ですね。将来研究職に興味を持った方はいますか?


福井君
実際に接してみて、研究職の大変な面も見えました。将来どうするか迷いますね…。


塩谷君
研究者の実情がわかったことで、研究職というものがこれまでより身近に感じるようになりました。一方で困難な作業も多いんだろうなと感じました。


鬼丸君
どうしたらこの研究所に入れるのかを質問した友達がいました。「博士課程を取る」、「英語を専門的な用語も含めて、きちんと話せるようになる」など、具体的に教えていただきました。大変そうなので、本当にできるのかなぁと思いましたが、成功したらすごく楽しそうです。将来の選択肢のひとつに入りました!


――素敵なお話をありがとうございました!最後に芝学園に進学を志望している受験生の方にメッセージをお願いします。


塩谷君
芝では化石の発掘や今回の校外学習など、本物を見る機会が数多く与えられます。こうした経験から、より身近に科学の力を感じることができると思います。


福井君
芝は良い意味で“自由”が多いです。本物に触れる機会もたくさんあるし、自分たちの力で達成するというのが良いところなので、とっても楽しい学校生活を送っています。友達との仲も良いです。


鬼丸君
校外学習だけじゃなくても、理科の実験は多いほうだと思います。数学の授業などでも質問がしやすい雰囲気ですし、自己主張のしやすい環境かなという印象です。


芝学園
「本物の世界」に触れる機会が多い学校生活。

 芝中学校の基本情報はこちらから。





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