2020-12-15

【連載】編集部注目の学校 徹底レポート
第73回 学園祭の様子をお伺いしました!


はじめに


芝中学校・高等学校の第73回学園祭が11月1日に開催されました。
例年9月に開催される学園祭ですが、今年は新型コロナウイルスの影響により、生徒のみで行われました。学園祭実行委員長の5年(高2)D組・伊藤功薫(のりゆき)君、学年主任の早川先生、生徒会顧問の小室先生にお話を伺いました。


芝学園
写真左から 小室先生、伊藤君、早川先生


コロナ禍の影響で、生徒のみでの開催に…


――本日はよろしくお願いいたします。今年はコロナ禍の影響で、学園祭・文化祭が通常開催できない学校も多いですが、芝学園ではどのような経緯で開催を決定されたのでしょう。


小室先生
本校は、今回のコロナ禍の影響で5月まで休校が続きました。6月以降、授業は再開したのですが、部活動や学園祭活動はできない状態でした。「8月からは活動できるかもしれない」という希望も持っていたのですが、7月から感染拡大の第2派が到来したため、その後も活動できない状況が続きました。
本来ですと学園祭は9月2週目の土日に開催するのですが、その時期は難しいだろうということになり、生徒のみでの開催とし11月1日に延期しました。
例年は前年の学園祭が終わった時点から、1年がかりで準備を行いますが、それができず、これまで積み上げてきたことも生かせない…。その状況で開催するか否かの検討を重ねました。
最終的に開催を決定し、職員会議でも許可されたのが9月28日ですから、準備期間は正味1か月程度でした。


伊藤君
学園祭の組織委員が発足したのは去年の学園祭が終わった後、10月頃でした。そこからコロナ禍に入る2月くらいまでは下地作りを進めることはできたのですが、その後は活動がストップしていました。ですから、最後の調整も含め準備期間は1か月と少ししかありませんでした。


――準備期間が1か月とは…。開催を決めるまで紆余曲折があったのですね。生徒のみでの開催ですと、通常とはまったく異なるでしょうね。


小室先生
本校の学園祭は規模が大きく、おかげさまで毎年1万5千人前後のお客様に来校いただいております。そのため、実行委員も300人から構成されます。携わる人数が多いため、毎年分厚いファイルを用意して、企画の提案から決定事項までのやり取りをすべて書類化しファイリングしているのですが、今年は参加団体や企画が少なかったため中身がスカスカで…。これを見ると寂しい気持ちになります。高校生が大好きなライブ演奏も中止になりましたし…。
例年どおり、先輩の軌跡を辿ることができないことに加え、感染症対策はどれが最新なのかといったことを考えながら、とにかく一歩一歩慎重に進めていったという感じでした。


――なるほど…。そんな中、今年は学園祭のパンフレットを全面リニューアルしたようですね。また、ブログも拝見しました。


伊藤君
これまでのパンフレットはフォーマットや字体が揃っていなかったため、見づらいところがあったのですが、今回調整を行いすっきりとした見た目にしました。
通常は、来校された方に情報を伝えることがメインの用途でしたが、今回は終わってから「今年の学園祭はこんなことやったよね」と、振り返ることができる“記念品”としての要素が強くなりました。
ブログに関しては、公式ではありませんが、広報部のメンバーが制作しました。
内容は各部署の仕事内容を記した、後輩向けの“引継ぎ”がメインになっています。今年は学園祭の準備期間が極端に短かったため、例年に比べて先輩の仕事を見る時間が少なかったからです。その分、文章で実行委員のニュアンスを伝えたいと考え、ブログにまとめました。



芝学園
第73回学園祭のパンフレット表紙(上)、同ポスター(下)

――学園祭では具体的にどういった感染症対策を行いましたか?


小室先生
対策については、時期によって内容が次々に変わるため苦労しました。基本的に文部科学省が発表しているガイドラインを元に、「マスクの着用。こまめな手洗い。部屋の換気は1時間に2回程度」といったことを『芝の学園祭ガイドライン』として、生徒に提示しながら進めていきました。
また今回の学園祭は、午前と午後で入れ替え制にしました。午前中は中1・2生向け、午後は中3・高1・2生対象といった具合です。講堂での発表時も密にならないよう、座席をひとつずつ空けて着席してもらいました。展示で使用する教室も一つおきにしました。


伊藤君
2部制だと、人数が少なくて寂しいかなと初めは思いましたが、当日はちょうどいいくらいでした。あれ以上混雑してしまうと逆に心配だったと思います。



今年ならではの、芝生自身が楽しめる学園祭に!

――学園祭当日はどんな様子だったのでしょう。


伊藤君
毎年たくさんのお客さんが来校するため、芝生が見ることのできない展示も数多くあります。今年は生徒のみの開催でしたので、普段は見ることのできない部活動の様子やお化け屋敷、ダーツ、射的、ストライクなどを皆で楽しめました。それは今年だからこその良かった点でした。
毎年好評いただいている技術工作部の機関車型の大型模型も、通常の半分の長さのコースにして走らせました。当日は生徒や先生も乗っていて、とても楽しそうでしたよ。
食品関連のお店は全面的に中止にしたのですが、唯一芝学園の校章が入った名物の“芝どら焼き”は持ち帰り用のお土産として販売することができました。



芝学園
例年の半分のスペースで大型模型を走らせた

小室先生
ギターや吹奏楽部の演奏は講堂で行いました。また、例年通り階段や廊下にステンドグラスを飾ることもできました。



芝学園
講堂でのギター部の演奏

――お化け屋敷も開催できたのですね!


小室先生
お化け屋敷を開催するにあたっては、賛否両論ありました。「換気しないといけない、生徒が壁を触ってはいけないので道幅を広くとる。転んだら危ないので暗くしてはいけない」など…。これはもう開催するのは無理なのではないかと思っていたのですが、それに対して生徒たちからたくさんの提案が出ました。「サーキュレーターを1時間に2度回して換気する。例年設置に使う段ボールを黒のビニールで覆って感染症対策をしたり、触っても壊れたり倒れたりしない安全な設計にする」など、様々な工夫を凝らしてきたのには驚きました。


伊藤君
今回のお化け屋敷は「サイレントチェインバー(静かな館)」というテーマで実施しました。参加者は「声を出すと幽霊が寄ってくる」というストーリーに沿って回るので、声をあげられないんです。


小室先生
生徒たちからのガイドラインには「大きい声を出さない」と書いてありました。「お化け屋敷は大きな声を出すので駄目ということでしたが、叫ばせません!」という。脅かすほうも声を出さず、静かに脅かしていました(笑)。中学生たちは入場するために行列をつくっていて大盛況でした。とても面白かったみたいですね。


――芝生自身が楽しめる学園祭になったのですね。実行委員は立候補制ですか?


伊藤君
そうです。学園祭終了後、実行委員になりたい生徒が立候補し、各部署のメンバーが面接を行い選定します。 僕は去年(高1生の時)装飾部に入っていました。 実行委員は委員長1名、副実行委員長が2名、本部会計・レンタル会計が1名ずついるのですが、この5名は高1生、もしくは中3生から実行委員の経験がある人しかなれません。


――芝生自身が楽しめる学園祭になったのですね。実行委員は立候補制ですか?


伊藤君
そうです。学園祭終了後、実行委員になりたい生徒が立候補し、各部署のメンバーが面接を行い選定します。
僕は去年(高1生の時)装飾部に入っていました。
実行委員は委員長1名、副実行委員長が2名、本部会計・レンタル会計が1名ずついるのですが、この5名は高1生、もしくは中3生から実行委員の経験がある人しかなれません。


――伊藤さんが立候補した理由は何ですか?


伊藤君
学園祭は例年2日間行いますが、最終日に『フィナーレ』という出し物があって、そこで委員長や本部のメンバーが全校生の前で挨拶をします。校内生にとってはその時が一番の山場ということもあり、それを見て心を動かされる人も多いのです。
学園祭を開催するのは本当に大変です。先輩方が僕たちには知りえない苦労を重ね、学園祭を完成させるので、それが挨拶時の言葉や雰囲気に表れるんです。僕もそれを見てとても感動し、それが一番の動機となって立候補しました。


――先輩たちのスピーチには重みがありそうですね。今年は無事にフィナーレを迎えることができましたか?


伊藤君
例年、フィナーレはステージ上で行うのですが、今年はステージ自体作ることができませんでした。フィナーレを行うかどうかは、最後の最後まで検討を重ねました。感染症対策で、マイクの使い回しができないため、使用する本数を確保可能かといった問題等がありましたが、最終的にはクリアできて、無事にスピーチを行うことができました。


芝学園
実行委員長挨拶。今年はステージではなく朝礼台で行った


危機的状況下だからこそ、多くのことを学ぶ機会を得る

――苦労した点についてお聞きしてもよろしいですか?1か月間で学園祭の準備するのは大変だったと思います。


伊藤君
これまでは、例年の基本に沿いつつ、一部を自分たちなりに発展させて独自の個性を表した学園祭を作り上げていました。
今年の学園祭を木にたとえると、幹が揺らいでしまったので、幹自体を一つ一つ確認し、それを元に調整しながら進めることにとても苦労しました。
また、何かひとつ企画しようとすると、問題がわきあがってきて、解決したと思うとまた次の問題が…。“もぐらたたき”式に問題が噴出してくる感じでしたが、ひとつひとつ克服していきました。1か月という時間の制約もあり、「間に合わないことが、まだこんなにたくさんある!」と焦ったりもしました。
そんな中、各部のチーフたちが本当によくがんばってくれて、考えもつかないようなアイデアを出してくれました。
先ほど話にも出たお化け屋敷も、初めは開催は厳しいかもしれないと、クイズ企画への代替え案も出ていました。そんなとき、装飾部が『感染予防のガイドライン』の壁を乗り越えるためにいくつも案を出してくれて、開催にこぎつけることができました。
また、今年はステージでのダンスが中止になったのですが、企画部が知恵を出し合ってくれて、代わりに講堂を使ったり、普段は使用しないサブグラウンドでほかの企画を行ったりしました。


――今回の学園祭を通してどんな収穫がありましたか?やりがいを感じた点は何でしょう。


伊藤君
今回は、これまでの学園祭の運営について要点を絞り出してみました。すると、今までは気づかず進行していたなかに、問題点が浮かびあがってきました。そういったことを改善し、今後の学園祭をよりよくしていけるポイントを見つけられたことは大きな収穫だったと思います。
『新型コロナ』と聞くと、悪い面ばかりがフォーカスされると思うのですが、これは逆に良い面だったと思います。
また、この危機的状況で、芝生の仲間に今までは知らなかった能力に長けた人たちがいることにも気付くことができました。その能力を引き出せる場所があれば、想像もしてなかったような素晴らしいものが生まれるということも大きな発見でした。
実行委員のミーティングは放課後3時間ずつ行いましたが、それだけでは足りないので、帰宅後参加できる人だけでライン通話などを使って話し合いを続けたこともありました。ときには意見が対立して口論することもありましたが、とことん話し合い最後はとても仲良くなりました。
とにかく、皆で協力して1か月で学園祭を作り上げたという感想です。じつは僕は“仲間と協力し合う”ということが初めての経験でした。とても楽しかったし、その過程で多くのことを学ぶことができました。



芝学園
皆の力を終結!実行委員の仲間たち

――学年主任の早川先生に、感想をお聞かせいただけますか?


早川先生
彼らの学年とは、中1の時から学年がもちあがってきたこともあり、非常に気心が知れています。芝高校では“修学旅行”と“学園祭”という2大イベントがあります。修学旅行は残念ながら予定した月には行けず来年3月に行う予定なのですが、コロナ禍とは言え、とにかくこの2つのイベントをやり遂げさせたいと考えていました。
学園祭が中止になったとしたら生徒たちは本当に悔しい思いをするだろうと思い、学年会でも開催の実現に向けて話し合いを重ねました。
開催が決まり、私も実行委員の会合に何度か足を運んだのですが、本当によくやっていたと思います。先ほども伊藤君が話していたように、様々な問題が噴出していたのですが、実行委員長が「これでいこう!」と、決定事項を出すと周りの仲間たちが協力して支えようとする姿勢が見えました。その姿を目の当たりにして「この子たちはこんなに成長したんだな」と、とても嬉しい気持ちになりました。
学園祭当日は幸い天気もよく、参加した中学生に聞くと、すごく楽しかったと話していました。「普段だと、お化け屋敷にはいれないんでしょ?僕たちはラッキーだったね」という言葉が返ってきました。
例年お客様が多く、私たち教師も展示を見て回ることがなかなかできないのですが、今回は全て見学できたことは、大変よかったです。
本当は校庭企画やダンスなどを大勢のお客様の前でやらせてあげたかったな、とも思いましたが、それでもよく頑張ってくれて大変頼もしく感じました。


――小室先生、学園祭を終えての感想をお伺いできますか?


小室先生
私は毎年学園祭を担当する係ですので、「今年はどういうコンセプトでどこを大事にするか」を主軸に見るのですが、今年は例年のパターンがまったく通用しませんでした。これまでの学園祭を見てきた彼らが目指すものと全く異なるものになるかもしれないのに、このまま進めて良いものかと非常に悩みました。しかし、今年何にもイベントができないことだけは避けよう、何とか実施しようということになりました。
実施準備では、今までどおりではできないという局面で生徒たちが互いに知恵を絞り、様々な手段をとって前向きに行動していました。困難に立ち向かっていく姿勢が明確に見えた学年だったと思います。「どうにかしてこの困難を乗り越え、次のステップにいきたい!」という強い思いが伝わってきて、私たち教師もその気持ちに応えなければという気持ちになりました。


――素敵なお話をありがとうございました。最後に芝学園に進学を志望している受験生の方にメッセージをお願いします。


伊藤君
仲間が協力的で、絆が強いところが芝の良いところだと思います。
また、同様に先生たちとの間のつながりもたくさんあると感じています。僕たちがやりたいことを相談すると、それに対して第三者の視点から問題点などを指摘してくれて、その後アドバイスをくださいます。ときには厳しい意見のときもありますが、それも僕たちが最終的に目指しているゴールにうまくリードしてくれるからこそだと思っています。



 芝中学校の基本情報はこちらから。





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