2009-11-17

(A) あれほど約束したのに。費用も高いんだし、ダメッ!行きなさい!

(B) 自分で行きたいと言うから賛成したのに、途中でやめたいなんて、お母さんガッカリしちゃった…。

(C) 塾をやめたくなったんだね。

少し難しかったでしょうか?解説を読んでいきましょう。

 

(A) は、「子どもが悪い」と非難し、行動を指示(命令)しています。
叱ることも親の愛情のひとつですが、この言い方では「ダメ」と考えている親の理由が子どもに伝わらずに非難だけが伝わってしまいます。また、なぜやめたいかを聞かずに命令をしています。


(B) は、親の本音・感情がわかりやすい表現です。
親である「私」が、どのように感じたかを素直に伝えています。子ども自身が、自分の行動がもたらす影響を考え省みるきっかけになります。

親と子どもも、一対一の人間同士。子どもが、親には受け入れられない発言や提案を口にすることもあるでしょう。そんな時にも感情的にならずに心を落ち着けて、非難めいた調子や嫌味にならないように表現や声のトーンに注意をはらいましょう。


(C) は、子どもから進んで発言がしやすいように親が子どもの言葉をくり返すことで、子どもの気持ちを受けとめたことを表し、その先を子どもが進んで発言できるように促す効果があります。


それでは、(C)のパターンによる、その後の会話を見てみましょう。


E子:「あの塾にはもう行きたくない。」

母:「塾をやめたくなったんだね。」

E子:「うん…。だって、周りは私立の子ばかりで進むのが早いから大変なの。」

母:「そう。進むのが早いから、ついていくのが大変なのね。」

E子:「学校の宿題も塾の勉強もしなくちゃいけないから、自分の時間がなくなっちゃう。」

母:「学校の宿題と塾の勉強、両方だと時間が足りないのね。」

E子:「もっとゆっくりしたペースで進むクラスがあればいいんだけど…。塾の先生に、違うクラスがあるか聞いてみようかな。」

母:「塾の先生に、違うクラスがあるかどうか聞いてみようと思うのね。」


いかがでしょうか?子どもが自分から「塾をやめたい。」と思った理由を語り、解決策を出してきました。親は「勉強がイヤでわがままを言っている。」と決めつけがちですが、子どもの側にもきちんとした理由があったことがわかりました。



聞く ~親業のコミュニケーションメソッド~

子どもが自分から話し出してくれるためには「聞く」という行為が重要です。 質問や尋問ではなく、「聞かせてほしい」という態度で会話に臨みましょう。
親ができる3つのポイントをまとめました。

(1) 話しやすい環境を作る。

急に「話をしよう」と言っても、すぐに会話ができるものではありません。子どもが話しやすい環境を用意しましょう。
具体的には、家でティータイムをもつ・一緒に食事をとる・子どもの部屋に行き会話をする・テレビを消す・子どもの友人も交えて一緒に話す…などの方法があります。

(2) 途中で口をはさまない。

子どもの悩みを耳にすると、親は意見やアドバイスなど、つい口を出したくなります。子どもが悩みのサインを出しているのかな、と感じたら、まずは子ども本人がどんな問題を抱えているかを聞くことに専念します。

(3) 子どもの話に共感する。

子どもの意見を「幼い」と感じても、まずは意見を受け入れ共感しましょう。
具体的には繰り返す・言い換える・気持ちをくむ、といったことを意識すると効果的です。

(例)
子:「どこを第一志望にすればいいのか決められないよ。」
親:「どの学校を第一志望にすればよいか決められないのね。」 (繰り返す)
「受験校の選択の仕方がわからないのね。」 (言い換える)
「自分の力がどのぐらいかわからなくて不安なのね。」 (気持をくむ)


以上、「聞く」ためのレッスンでした。
ぜひ、普段の会話の中に取り入れてみてください。すぐにうまくいかなくても、少しずつ子どもとの会話の機会を増やしていきましょう。


次回は、子どもが期末テストで悪い点数を持ってきたケースをもとに「話す」ことについてお伝えします。

内山睦美(うちやまむつみ)

Profile

内山睦美(うちやまむつみ)

親業訓練インストラクター

都内を中心に親業訓練講座、講演を行っている。また、読み聞かせを通じ地域の子育て支援活動に参加。幼児教育にも関わる今、親業で自分も周りも満足できるコミュニケーションの輪を広げるのが目標。中学、高校生の母。

 



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